サカタインクス 子会社従業員等が架空循環取引で逮捕

当ブログでも取り上げてきたサカタインクス子会社における不正取引。その子会社の阪田産業から約2億4,000万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は10/12、同社の元嘱託社員(64)と、共謀した別の会社の役員を詐欺容疑で逮捕しました。

報道では

報道によると、2人は2010年から架空の循環取引に関与していたといいます。逮捕された会社役員が経営する省エネ機器販売会社が、阪田産業を経由して同容疑者の知人の会社と取引があるように見せかけるという手口。

2人は共謀の上、2021年8~9月、太陽光発電関連機器などに関する架空の商取引を装い、阪田産業から知人の会社の口座に商品代金の名目で計約2億4500万円を送金させ、だまし取ったという容疑です。

架空の取引は2010~21年で約10社が関わり、計約1500回、総額100億円以上に上るそうです。10年以上かけてということではありますが、1,500回で100億円以上ですよ。なんでこれだけの不正が昨年12月まで発見できなかったのか。異常としか言いようがありません。ちなみに坂田産業は資本金1,000万円。年商は2億5,000万円というサイズです。

サカタインクスは

この原稿を書いている時点で、サカタインクスからの新たな開示は行われていません。坂田産業は1947年設立の連結子会社。親会社としてのサカタインクスの子会社管理も問われてしかり、ですね。

サカタインクスの現役員に坂田性の役員はいません。が、坂田産業の社長は2代目ですが坂田性。創業者一族が経営する子会社だったことが子会社管理を難しくしていたという事情でもあったんでしょうかね(まったく裏取れてません)。

日本電産 自社株買いで不適切な対応

日本経済新聞は10/12、「日本電産株、一時10%安 自社株買い巡り報道」と報じました。同社が自社株買いを巡って不適切な処理をしている疑いがあると一部で報じられ、同社株が急落したという話題です。この報道を巡っては日本電産もコメントを発表。一切事実ではなく、当該報道機関に対して法的措置を含めて対応を検討中、としています。

日本電産株式会社

日本電産は、精密小型から超大型までの幅広いラインナップを誇るモータを中心に、モータの応用製品・ソリューションへも展開。既存ビジネスの育成に加え、M&A(合併・買収)にも積極的な日本を代表する企業です。創業者である永守氏は経営者としても高く評価されてきた方でした。

不適切な対応

「一部で報じられ」、というのは、どうやら10/7の東洋経済オンラインの報道のようです。このところ日本電産に関して言われている「後継者問題の迷走ぶり」にも焦点を当てつつ、自社株買いで永森会長自身が自社株買いの条件を事細かに指示していたのでは、、、という指摘です。

経営に関する情報を握っている者が自社株買いをその情報に基づき実施するってことは、いわゆるインサイダー取引そのものなわけです。それを永森会長自身が事細かに指示していたということらしいんですね。経営と自社株買いセクション(同社の場合は信託銀行に委託)には情報隔壁が求められています。それを飛び越えて会長自身が指示。

東洋経済は四季報を発行するメディアで、かなりの老舗。多くの投資家からも信頼されている企業です。かなり細かな情報を持っているようで、当該報道を読んだ感じでは限りなく「黒」に近いのではないかという気がします。御年78歳の名経営者、いったいどうしちゃったんでしょう。

ルーデン・ホールディングス株式会社 調査報告が遅延

ルーデン・ホールディングスは10/7、「外部調査委員会の報告書提出遅延のお知らせ」を公表しました。子会社で調達したはずのBITCOINが行方不明になったということで、調査委員会を設置(5月)して調査を続けてきたようですが、ここにきて調査報告が間に合わないという開示です。

またまたとんでもない理由で

この件を主導し、積極的に取扱っていた当時の元取締役が、難病指定がなされた疾病を患っており、事件の実態を聴取する事が困難な状態。とか最初の開示で言ってましたが、今回もまたとんでもない理由で遅延したと言ってます。

「理由その1」 委員会設置後の7月、同社総務担当社員が退職したことにより、各種資料の外部調査委員会への提出が遅れたこと。
「理由その2」 フォレンジック業者を選定する過程で、メールアプリケーション及びグループウェアの関係で技術的な問題による辞退等があったこと。

そしてさらに、フォレンジック調査の過程で新たな検討課題の発生や追加資料の要請及び追加質問の発生が予想されることから、本調査終了は11月末を予定する。んだそうです。

報告の仕方も

部下を叱るときにこういう言い訳する奴いますよね。7月に退職したなら今までどんな対応をしていたの?とか、難病指定だからなに?もっと詳しい状況を説明できないの?みたいな疑問がどんどん湧いてきます。結局は調査結果を報告するとしていた10/9直前になって「間に合いませんでした」ってことです。

もし部下がこういう報告してきたら、なんで今まで何の報告もなかったんだ?ってことになります。株主に対する報告だって同じでしょ。などと思ってしまうのはkuniが歳をとりすぎたせいでしょうか。

ソニー生命 子会社従業員の詐欺で大儲け

日本経済新聞は10/3、「返還、円安で50億円多く ソニー生命不正送金事件」と報じました。ソニー生命保険の海外子会社の銀行口座から約170億円相当の資金が不正送金された事件で、同社側に被害金を約50億円超上回る約221億円の資金が返還されたということです。

儲かっちゃった

この事件、ソニー生命保険海外子会社の銀行口座から、同社元従業員の男性(33歳)が当時の為替レートで約170億円の資金を不正に送金したという事件でした。不正送金で得た資金で「悠々自適な生活を送ろうとした」という動機で行った犯行でしたね。

当人は不正送金された資金で投資を行おうとしていたようですが、今年6月には被害金が交換されたビットコインが押収され、ソニー生命側への返還手続きが進められていると言われてました。

為替とビットコイン相場で

犯行が行われた2021年5月当時、ドル円相場は109円50銭ほど。で、約170億円相当の資金ということですから、約1億5,500万米ドルってことですね。これが今の為替レート140円で計算してみると約217億円。つまり、為替(このところの円安)だけで約47億円の儲けという計算になります。

実際にはドル円相場は円安に振れ続けていますが、ビットコインの方はダラダラ下げ続けていますので、どのタイミングで評価するかによりますね。しかしまぁ、50億円の利益と報道されてますから、ひとまず「めでたし」ということで。

犯人は不正送金した資金で投資を行おうとしていたようですから、ここまでじっと我慢できていて、かつ、円建てで評価するのであれば、なかなか上手な投資になっていたのかもしれません。不謹慎な話ですが。

野村証券 大和証券 仕組み債販売を停止

日本経済新聞は10/7、「野村・大和、仕組み債販売停止 個人向け、高リスク懸念 証券業界も見直し加速」と報じました。販売方針を見直して、大和は9月28日、野村は10月3日に公募型の販売を停止したということです。

当局の動きに対して

今年の夏ごろ、金融庁と証券取引等監視委員会が、苦情が相次ぐ「仕組み債」について、メガバンクや地域銀行、証券会社などの販売実態を総点検している、なんて話題がありました。そうした当局の動きに合わせて、メガバンクでは三井住友銀行が、地銀でも常陽銀行などを傘下に持つめぶきフィナンシャルグループや千葉銀行が、インターネット証券大手の楽天証券などが、既に販売を停止しています。

とうとう本丸も

そしてとうとう証券大手である野村、大和までが販売を停止するということになりました。という日経の記事なんですが、本文では、「公募型の販売を停止した」と書かれています。公募型を販売停止です。つまり、「私売り出し」や「私募」と呼ばれる販売形態をとる仕組み債については、停止するとは言ってないわけです。

当局の顔を立てるために、世間に対しては公募型の販売停止を宣言しますが、「私売り出し」や「私募」については今後も販売するということですね。ここ、重要で、証券会社のいつものやり口です。

ちなみに公募型は一口100万円から購入できますが、「私売り出し」や「私募」は通常一口1000万円から2000万円で、顧客ごとにオーダーメイドで商品設計され、提供されます。

やれ、テスラの株が暴落してEB(仕組み債)で数千万円損したとかっていいますが、そういう巨額の損失が出るのは、「私売り出し」や「私募」の方なので。。。ただ、公募がなくなれば、小口の(金融資産が少ない)顧客が巻き込まれるケースが減少するのは間違いありませんが。