ナカノフドー建設 海外連結子会社で不適切な会計処理

ナカノフドー建設は4/12、「内部調査委員会の設置及び令和4年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社の海外連結子会社タイナカノにおいて、不適切な会計処理が行われていたことが発覚したということです。

ナカノフドー建設

ナカノフドー建設は民間建築分野が主力の総合建設会社です。国会議事堂や日本橋、浅草寺など歴史的建造物の施工実績を有しているらしい。東南アジアを中心に海外拠点を展開しており、海外売上高比率が3割を占めています。

株式会社中野組が不動産事業に進出。2004年、不動建設の建築事業の営業を譲り受け、現社名に商号変更したんですね。東証スタンダード市場上場企業です。

不適切な会計処理

海外連結子会社タイナカノにおいて、平成31年3月期から令和4年3月期にかけ、複数工事での原価付け替えにより費用が繰延べられていたことが、タイナカノの社長(日本人・同社からの出向者)からの報告により発覚したとのこと。

原価の付け替えにより費用が繰り延べられていた、、、足元の業績を良く見せるための操作なわけですから、不適切化会計処理ではなく、会計不正そのものです。現時点で判明している費用の繰延べ額は総額約240百万円で、追加の原価計上が必要となりそうです。

この事案の調査と共に、類似事案の有無の確認等が必要であるため、調査委員会を設置して、グループ横断的な調査を実施するとしています。5月13日に予定していた2022年3月期の決算発表については延期となりました。内部調査の結果と再発防止策については、5月下旬を見込んでいるとのことです。

東レ 有識者調査委員会の調査報告書を公表

東レは4/12、「有識者調査委員会による調査報告書の受領および今後の対応について」を公表しました。ABS 樹脂やエンプラにおける米国UL認証登録に関する不正行為を公表し、ここまで有識者調査委員会で調査を行ってきました。その調査結果ですね。

結果の概要

家電や車部品などに使う樹脂製品の一部について、燃えにくさを示す「難燃性」の認証を米国の第三者機関「アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)」から受ける際に、指定された品質等級と異なるサンプルをつくって提出するなどの不正行為がありました。

東レ製品の462品種がUL認証を受けていましたが、そのうち122品種で不正行為が認められたようです。不正行為があった樹脂の1つであるABS樹脂では、30年以上前から現場が不正を認識していたと指摘しています。

2017年8月頃に当時の経営層の一部にUL認証において不正行為があるとの報告がなされたものの、見過ごされてきたそうです。報告書では経営による隠蔽行為も否定できるものではないと指摘しています。

再発防止

同委員会の再発防止に向けた提言の中に、「経営陣が本気度を示す行動を強化・継続すること」というのがあります。これ、かなり重要だと思います。改善のための施策を従業員に強いるだけでは会社は良くなりません。

同委員会の提言を引用しておきます。「経営陣は常にコンプライアンスの重要性について発信するとともに、自己のコンプライアンスにおける責任・使命を宣言。」これがガバナンスの一丁目一番地、というヤツです。ちなみに、「一丁目一番地」って、おじさんビジネス用語らしいっす。

アジャイルメディア・ネットワーク 第三者委員会の調査結果を公表

アジャイルメディア・ネットワークは4/11、「第三者委員会の調査報告書の公表について」を公表しました。同社台湾子会社において、不適切な会計処理が行われていたことを認識し、2/1に第三者委員会を設置して調査を進めていました。

おさらい

CFOだった元取締役が同社の資金約3億5000万円を流用していたという事件を起こしました。その詳細を調査するために第三者委員会を設置して調査。調査を終え、過去の決算等の修正を終えたのが昨年6月のことでした。

それからわずか半年後の今年2月に台湾子会社での会計不正が発覚。これを調査していた2度目の第三者委員会による調査結果が、今回公表されたということです。

会計不正の概要

複数社との間での架空取引や不適切な収益認識、不適切な費用の繰り延べなどが報告されています。さらに、旅費交通費等の不適切な会計処理なんかも出てきますね。最もインパクトのある架空取引は既に逮捕された元CFO取締役が主導していました。

さらに、同社代表取締役に関しても、架空取引に関与していたということです。元CFOから口裏合わせをして欲しいとの依頼を受けたもう一人の取締役も・・・。その取締役が疑義を抱いて社外監査役に相談。しかし、社外監査役も具体的な是正措置を行うための行動を採っていなかったと。ボードメンバーまったく機能せずという状態です。

旅費交通費等の不正については、同社マーケティング部部長がカラ出張などによる不正請求を行い、資金を着服していたというもの。トップから部長クラスまで、、、マジで腐ってますね。

日野自動車以外は不正なし?

日本経済新聞は4/9、「日野自以外『不正なし』  トラック・バス6社、調査結果を報告」と報じました。国土交通省は国内で型式指定を取得しているトラックとバスの生産や販売、輸入を手がける7社に対し、日野自と同様の不正がなかったか調査と報告を求めていたということです。

6社は不正なし

報告を求められていた7社のうち、いすゞと三菱ふそうのほか、UDトラックス、トヨタ自動車、日産自動車、ヒョンデモビリティジャパンの6社については、自社の排ガス評価試験などで不正は見つからなかったとのこと。

ただ、1社だけ、スカニアジャパンは報告を提出したうえで、「国交省の公表前の回答は控える。調査には全面的に協力している」と述べ、詳細を明らかにしなかったそうです。なにやら気になる対応を見せてますね。スカニアは北欧スウェーデンを本部とする世界的なトラック、バス、産業用エンジンメーカーです。

国交省による報告命令の内容が分からないので何とも言えませんが、「日野自動車と同様の不正がなかったか」という質問だとかなり調査報告の対象範囲が限られますよね。日野と似てはいるが同じではない不正については、報告が上がってこない可能性もありそうです。

とりあえず不正なしは朗報

とまぁ、詮索してしまうわけですが、業界にとってはとりあえず朗報。いすゞ自動車株式は4日ぶりに反発して、この記事を書いている時点で1500円台を回復しています。しかし、この業界で「次」が出てこないのって、かなりレアなことですよね。個人的にはまだまだ信用していません。

豪裁判所 トヨタ車に欠陥があったと認める判決

日本経済新聞は4/7、豪裁判所がトヨタ自動車のピックアップトラック「ハイラックス」などのディーゼル車向けの粒子状物質低減装置(DPF)に欠陥があったと認める判決を出した、と報じました。

対象車種など

対象となった車種は、2015年10月から20年4月にかけて販売されたハイラックス、多目的スポーツ車(SUV)「フォーチュナー」、「プラド」とされており、DPFに欠陥があり、排ガスから悪臭が生じ燃費も低下したといいます。

判決で連邦裁は、約26万台について欠陥があると認定。消費者が支払った平均価格の17.5%の価値が毀損されたとしたそうです。対象車種を購入したすべての消費者がトヨタに支払いを求めた場合、トヨタの支払額は20億豪ドル(約1800億円)を超える可能性があるとのこと。

このニュースを受けてトヨタ自動車は一時4%近く下げる場面もありました。2兆円を超える最終利益を出す企業ですから、このままずるずる下げることはないでしょうが、やはり気になるニュースです。

日野自動車との関係は

このニュースを聞いて気になったのが連結対象子会社の日野自動車の不正との関係。直接的な関係はないんだろうけど、同じディーゼルエンジン絡みだけにねぇ。

日野の件を受けてトヨタの関係者がメディアに語っていたこと。「トヨタ自動車と比べて10年は遅れているという印象だ」。「トヨタでは起こり得ない」。「トヨタではエンジンの開発プロセスにおいて不正ができない仕組みを構築している」、、、など。

トヨタの件は認証不正ではなさそうですが、開発、製造の工程で何かしらの問題はあったのかもしれません。当のトヨタはこの件について、ホームページも含め一切の開示を行っていません。