日野自動車 特別調査委員会を設置

3/4、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスおよび燃費に関する認証申請において、エンジン性能を偽る不正行為があったこと、さらにそのエンジン性能に問題があることも公表した日野自動車。3/11には、「特別調査委員会の設置について」を公表しました。

特別調査委員会

中型エンジン「A05C(HC-SCR)」、大型エンジン「A09C」および「E13C」)に関して、排出ガスおよび燃費に関する認証申請において、エンジン性能を偽る不正行為があったということでしたが、小型エンジン「N04C(尿素 SCR)」についても、不正の有無は判明していないものの、実際の燃費性能が諸元値に満たないことが判明したようです。全滅ってこと?

設置した特別調査委員会の委員長は、榊原一夫氏。元大阪高等検察庁検事長、弁護士という肩書で、アンダーソン・毛利・友常法律事務所に所属されてるのかな。この方、昨年発覚した日本軽金属の認証不正に関する特別調査委員会の委員長もされてました。あの時は同委員会の委員長が途中で交代してこの方になったんですよね。どういう経緯だったのか知りませんけど。

日野自動車の経営陣

日野自動車の筆頭株主はトヨタ。50.11%を保有しています。連結子会社っていうことですね。現経営陣を見てみると、代表取締役社長がトヨタから来られた方のよう。取締役6名のうちトヨタ出身者は社長ともう一人の2名という体制のようです。

他に社外取締役が3名いらっしゃいますが、トヨタとは関係なし。監査役は常勤2名に非常勤2名の計4名。常勤、非常勤ともに1名ずつのお二方がトヨタ出身の方ですね。

取締役2名と監査役2名で子会社を監督してきたわけですが、不祥事が発覚しました。よくあるパターンだけど、今後経営陣にトヨタ出身者が増えそうです。ひょっとしたら完全子会社化なんてのもあるのかな。

グローリー株式会社 従業員の不正行為 調査結果を公表

グローリーは3/14、「社内調査委員会による調査結果公表に関するお知らせ」を公表しました。2/9に公表していた、連結子会社における元従業員による金銭横領について調査してきた結果ですね。やはり、かなり酷いことになっていたようです。

グローリーサービス株式会社

不正行為の舞台となったのは、グローリーサービスという子会社でした。コインロッカーのオペレーション・メンテナンス付リース・レンタル・販売・保守を行う会社です。コインロッカーの利用により投入されたお金の回収などもやってます。他にも保険代理店事業も。

行為者と行為の概要

金銭横領等の行為者は、最終的に総務課長代理兼姫路事務所長という肩書ですね。行為の期間は2009年頃より 2022年2月3日までの間だそうです。なんと13年間にわたって行われていました。完全に同従業員単独での行為だとしています。

売上金や保険料を、従業員から直接預かったまま、銀行口座への入金をせずに着服するといった原始的な方法で現金を横領していました。2020年以降は、同社当座預金口座に預け入れられている預金を、ネットバンキングを利用して、個人口座に振込送金を行うことによる着服も。

前者の現金横領で、被害金額は合計 569百万円。後者の預金横領で、被害金額は合計 1,586百万円だそうです。合計21億円超、、、メチャ、デカいですね。隠ぺい行為もあったということですが、13年間も発覚しなかったってのが信じられません。

行為者はこの大金を、競馬の馬券購入費用、日常的な飲食代や遊興費として費消していたとのこと。ちなみに、馬券購入に使われたのが17億円だそうです。凄すぎます。

アジャイルネットワークス ダイワボウホールディングス アップデート

先週は、過去に取り上げた不正事案に関する逮捕者が立て続けに出ましたね。アジャイルネットワークスとダイワボウホールディングスの事案です。両社ともに逮捕の事実を開示しています。とうとう逮捕、、、逮捕の事実を知った企業側の人達ってどんな気持ちなんでしょうね。

アジャイルネットワークス

アジャイルネットワークスは3/10、「当社元役員の再逮捕に関する報道について」を公表しました。既に2/14に業務上横領の疑いで逮捕されていた元CFOの石動力氏。今度は特別背任の疑いで再逮捕ということらしいです。同社はあくまで報道について報せるのみで、事実関係には言及していません。

一旦事案に関しては終結したわけだけど、こうした元自社役員が逮捕されるといった報道、同社の役職員はどう感じているんでしょうね。再発防止策を粛々と進めているんでしょうが、同社が再生できるのかどうか、こればかりは分かりません。

ダイワボウホールディングス

ダイワボウホールディングスは3/8、「子会社元従業員の逮捕について」を公表しました。旧ダイワボウノイ株式会社の元従業員が、3/8付で大阪府警察本部に逮捕されたとの事実を確認したということです。

2月下旬に刑事告訴していたものの、警察の捜査に支障をきたすおそれがあることから、逮捕まで公表を控えていたようです。同社も既に実施している再発防止策を継続して推し進め、その実効性を高めることで、再発防止に努めていくとしています。

マジで両社の役職員の皆さんはかなり肩身の狭い思いのはず。悪いことしたヤツはそれぞれ逮捕された奴らなんだけど、自社を再生していくのは残された人たちです。二度とこんなことが起きないよう、頑張ってほしいものです。

サイバー攻撃の拡大がヤバい コロナの次はEmotet

新型コロナの感染拡大がやや収まってきたかと思っていたところに、今度はサイバー攻撃(Emotet)の拡大がヤバいことになってきています。先日、フクシマガリレイでのEmotet感染について取り上げましたが、各種団体や企業がどんどん感染を公表しています。

復習 Emotet

Emotetとは、感染者のメールに関する情報を収集してなりすましメールを送り、添付したWord文書ファイルなどを開かせることで感染を拡大させるマルウェアです。さらに、Emotet以外のさまざまなマルウェアを呼び込んで感染させる機能をも併せ持っていたりします。

日本では、2019年10月にEmotetによる感染が爆発的に拡がりましたが、その後下火に。定期的に拡大を見せてきたEmotetですが、今まさに再拡大中です。

公表した企業等

フクシマガリレイのほかに、上場企業ではシンフォニアテクノロジー株式会社や株式会社マクロミル、株式会社きんでん、加賀電子株式会社などが感染を公表。これらはいずれも3/4に公表されています。3/7にはNTT西日本も。

少し遡って、3/2には、栗田工業株式会社やシグマ光機株式会社でも同様に感染を公表しています。2月には西部電機株式会社も公表していました。

気を付けましょう

Emotetに感染したこれらの企業等から、なりすましメールが送られます。メールを受け取った方が対処を誤るとこちらも感染。こうして感染を拡大していきます。なので、取引先や顧客など、上記企業からのメールには細心の注意を払いましょうね。メールを受け取った場合は、ファイルを開くことなく、それが正規のメールであることをまず電話等で確認しましょう。

日野自動車の次は いすゞ自動車は大丈夫か

先日、当ブログでも取り上げたように、日野自動車がエンジン性能を偽る認証不正を公表しました。公表後、同社株価は2日間で241円の下げ。公表直前の株価から26.9%の下げとなりました。エンジン性能にも問題があるということですから、しょうがない下げですかね。

下落率を検証

2日間の下げには日経平均株価の急落も影響しています。ウクライナ問題や原油高などの影響を受け、2日間の日経平均の下げは1,194円安で4.6%の下落でしたから、やはり日野自動車の下げは強烈でした。

一方で、もう一つ気になる動きをしたのがいすゞ自動車株式です。同じ2日間で234円安しており、下落率は15.4%でした。日野自動車ほどではないにせよ、日経平均の下げ率の3倍以上です。

業界の常識?

皆さんのご記憶にもあると思いますが、自動車業界って不正が出てくると芋づる式に同業他社でも出てくるんですよね。少なくとも過去はそういうことを繰り返してきました。国内の普通トラックではシャアを争うトップ2の両社ですから、「いすゞでも同じことが・・・?」という連想が働いたとしても不思議ではありません。

公表から3日目以降は、日野自動車が続落する一方で、いすゞ自動車は自律反発しています。が、横並び意識の強いこの業界、この後いすゞ自動車が「弊社でも実は・・・」という発表があってもおかしくありません。当面同社(その他の自動車会社もか)からは目を離せませんね。