グレイステクノロジー 架空売上や架空外注費で利益操作

グレイステクノロジーは1/14、「特別調査委員会による調査の継続、2022年3月期第2四半期報告書の提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。昨年11月から不適切な会計処理を調査していた特別調査委員会でしたが、、、。

調査委員会の中間報告

同社は会計処理の適切性につき外部からの指摘を受け、事実経緯の確認のために社内調査を進めた結果、一部の取引について会計処理の適切性に疑念があることを認識しました。これを受け、利害関係を有しない外部の専門家で構成される特別調査委員会を設置したんでしたね。

で、もともとこの1月中旬に調査結果を得る予定だったんですが、残念ながらよりマズい不正が出てきてしまって、今回は中間報告にとどまってしまったという流れ。

調査の過程で、①架空売上を計上し、その架空取引に係る売掛金を当社役職員の自己資金を用いて仮装入金等していたこと、②売上の前倒計上をしていたこと、③利益操作目的で架空外注費を計上していたこと、④これらを実現する手段として偽装工作している状況が多数発見されたといいます。

最も致命的なのが、これらを主導したのが経営そのものであること。調査委員会からは、「元代表取締役及び元取締役が関与する重大な経営者不正が発見された」との報告がありました、と綴られています。

株価急落が示していた

11月に不適切な会計処理を公表した直後、二日間で株価が半分になってしまいました。不祥事発覚で株価は下げますが、ここまで強烈な下げは珍しい。前回取り上げた際も書きました。やはり上記のような最悪の不正が行われていたというわけです。EduLab(エデュラボ)級の衝撃です。

ラサ工業 三本木工場で爆発事故(その2)

ラサ工業は1/13、「三本木工場における爆発事故に関するお知らせ(第3報)」を公表しました。消防、警察、労働基準監督署による合同実況見分が行われたのち、同日より同社による被害状況の調査が開始されたということです。

事故の概要

1/6午前8時50分ごろ、高純度赤燐工場の原料黄燐中の不純物を除去精製する工程において、熱暴走反応によると思われる爆発が生じたということです。爆発により飛散した黄燐の自然発火により、しばらくして制御盤及び制御盤に接続する電線の一部が燃焼しました。

高純度赤燐の原料となるのが黄燐なんですか。ふーん、よく分かりません。事故発生2時間半後には、飛散した黄燐の自然発火が無いことを確認し、消防による放水により制御盤等の火災は直ちに鎮火したそうです。被害はそう大きくなかったんですかね。

被害の状況

消防他の実況見分終了後、同社による被害状況確認の許可が出たため、13日より被害状況の調査をはじめとした復旧に向けた調査を開始したとのこと。人的被害については、第1報では「負傷者 1名(当社社員)」となっていましたが、今回は「負傷者2名(当社社員)。(現在、1名は火傷により入院中。軽症者1名は、通院後業務に復帰」と修正されました。

高純度赤燐以外の製品の供給に与える影響はなく、製品在庫への影響も軽微だったとのこと。1/17より出荷可能な製品在庫を順次出荷再開する予定だそうです。高純度赤燐は、半導体デバイスの製造に必要な原料。大事に至らなくて良かったですね。

神東塗料 試験データ改ざん 認証不正の疑いが発覚

神東塗料株式会社は1/12、「当社製の一部製品に係る不適切行為について」を公表しました。鋳鉄製の水道管に使われる合成樹脂塗料で試験データを改ざんし、不正に認証を取得して製造出荷していた疑いが発覚したということです。

神東塗料株式会社

神東塗料は、水性・無溶剤・粉体など環境対応型塗料に強みを持ち、自動車、家電、建材など幅広い分野に製品を展開する企業。金属を浸して通電させることで塗膜を形成させる電着塗料で高い技術を持っています。住友化学の持分法適用関連会社で、創業80年を超える東証1部上場企業です。

不正の概要

対象となる製品は、水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料なるもの。公益社団法人日本水道協会の認証規格に沿わない方法で検査し、認証を取得。同規格認証品として販売・出荷していた疑いが確認されたとのこと。また、同規格に記載されていない原料が使用されている疑いもあるようです。

これを受けて、同社は、不正の疑いが確認された対象製品についての出荷を停止。また、水道協会において、これら不正認証品について、認証マーク等の使用停止を検討中とのこと。この事案、同社の開示では明らかにされていませんでしたが、昨年11月に内部通報があり、発覚したようです。

外側だけじゃない

問題となったこの塗料、地中に埋設する水道用鋳鉄管の外側に塗って腐食、さびを防ぐものです。が、しかし、水道管の接合部分では、塗料と水が触れる構造なんだそう。妙な成分が入っていたりすると、水道利用者の身体に入ってしまうかも。

この件を受けて、自治体が実施している老朽化した水道管の更新工事が停止されたといいます。昨年和歌山で大規模な断水がありましたよね。老朽化した水道管問題。更新工事は待ったなしというところに、困った事案が発生したものです。

株式会社EduLab 東証がマザーズへ市場変更 上場契約違約金の徴求も

東京証券取引所は1/11、EduLabに対する、「改善報告書の徴求、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求について」を公表しました。1ヶ月後の2/12からマザーズ市場へ降格されることになったんですね。

おさらい

昨年8月以降、不適切な会計処理に関する特別調査委員会を設置して調査をしてきました。2019年9月期から2020年9月期までの間、虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正を実施することに。

さらに、2018年のマザーズ上場前から子会社の連結範囲の意図的な調整を行うなど、不正会計を繰り返していたことも判明。これらを受け、東証は情報開示体制を改善する必要性が高いと判断したということです。1月25日までに改善報告書の提出を求め、上場契約違約金4,800万円も徴求します。

東証は

東証は今回の公表の中で、「同社の適時開示を適切に行うための体制の不備に起因して、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたもの」とバッサリ切り捨てています。

しかし、降格してマザーズ市場ってのもいかがなもんですかね。上場のための基準をいくつか満たしていないからマザーズ市場に上場するその他の企業。それでも中には不正などせず着実に成長している企業もたくさんあります。

悪さして信用できない会社だからマザーズ市場へ、、、というのはその他のマザーズ上場企業に失礼では?マザーズってお行儀の悪い企業の上場市場みたいじゃないですか。特設注意市場銘柄への指定で良かったのでは?

パナソニック 不正アクセスによる情報漏えい

パナソニックは1/7、「当社ファイルサーバへの不正アクセス発生について(第2報)」を公表しました。第1報は昨年11/26に公表されていたんですが、11/11に不正アクセスを受けた事実のみという内容で、被害状況等の情報はまったくありませんでした。

パナソニック

今さらではありますがパナソニックは、映像・音響機器、白物家電、住設機器、住宅事業など幅広い事業を手掛けている日本を代表する総合家電メーカー。半導体などの電子部品、FA関連など企業向けのビジネスも展開しています。松下電器産業という名称から、2008年、社名をパナソニックに変更しました。

被害の状況

第三者が、同社海外子会社のサーバを経由し、日本のファイルサーバに不正アクセスを行った事実を確認。当該ファイルサーバ以外の業務システムへの不正アクセスは確認されなかったということです。

確証を得る事実は見つかっていないとしながらも、同社として不正アクセスを受けたファイルが流出した可能性があるとして、次のようなコメントを出しています。

一般消費者のお客様関連の情報については、情報流出の可能性はないとしています。一方で、採用応募者関連、インターンシップ関連の情報については、同社内の一部の事業部門が管理していた情報が含まれている可能性があるとしています。

さらに、お取引先の役職員の個人情報に関するファイルが含まれていることが確認されているといいます。流出した可能性のあるファイルサーバに、以上の情報が格納されていたものの、流出したかどうかは分からない、、、という何ともはっきりしない開示です。