三井住友信託の元行員、詐欺容疑で逮捕

金融商品の販売を巡って虚偽の説明をして勧誘し、顧客から数千万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は11/2、三井住友信託銀行の30代の元行員の男を詐欺容疑で逮捕しました。被害額は7億円超に上るといいます。

発覚は昨年12月

調べてみると三井住友信託は今年1/22、「元社員による不祥事件の発生について」を公表していますね。ホームページで確認できます。「昨年12/9、当社の元社員(30代・男性)が、複数のお客さまに対して、架空のキャンペーンを持ち掛ける等の方法により、お客さまのご資金を着服し、生活費や遊興費等に使用していたことが判明」、となっています。

この時点で既に判明している被害総額は約3億7千万円となっていて、警察にも相談しているとしています。この犯人、名古屋駅前支店、横浜駅西口支店、岐阜支店、新百合ヶ丘支店と異動しており、最後は管理職だったそうです。

手口はチープなんだけど

被害額は7億円超としているのは、3億7千万円(顧客は22名)のほかに、いったんお金は詐取するものの、その後別の顧客のお金で返金しているものが、約4億5千万円(顧客は36名)あるということのようです。

この手の話、定期的に出てきますよね。今年だと第一生命のおばちゃんの事件がありました。手口はどれもこれも似たようなもんで、「普通の預金では考えられない破格の利回り」が売り物です。普通に考えればありえない話なんですが。

リテールの金融って、どれだけお客さんに気に入ってもらえるかなので、そのお気に入りの営業員には騙されてしまうんですね。kuniも若いころ、同期入社の社員が数億円着服してクビになるのをみました。なかなかのイケメンで、被害に遭ったのはほとんど女性顧客でした。皆さんも気を付けましょうね。あなただけ特別に、、、なんてありませんから。

山口フィナンシャルグループ 臨時株主総会開催 金融庁から報告書徴求も

元会長の辞任勧告やら、執行役員の解任やらで揺れている山口フィナンシャルグループは11/1、「臨時株主総会開催日等及び付議議案の決定に関するお知らせ」を公表しました。臨時株主総会の開催日はなんと、12/24。クリスマスイブです。

付議議案

付議される第1号議案は、「取締役 吉村猛氏 解任の件」です。もういいでしょう、今回は実名を書きます。元会長ですね。取締役会で辞任勧告を決議してから続報がありませんので、元会長としては「承服しかねる」ってところでしょう。株主総会に諮られることになりました。

新銀行設立に関することから、女性問題まで、議案の提案理由としてまた不細工な話が語られています。ちなみに第2号議案は取締役1名の選任の件。吉村氏の解任が可決された場合に、社内取締役が1名のみになるため、社内から1名の取締役を選任しておくということです。

銀行持ち株会社ということもあって、大株主は機関投資家だらけ。良識や世間体を気にする投資家だけに元会長には不利ですかね。さて、株主の判断はいかに、ってとこですね。

金融庁

山口FGの一連の騒ぎ、というかクーデター?さすがに金融庁も動きを見せたようです。金融庁は1日までに、山口FGに報告徴求命令を出しました。日本経済新聞によると、今後の対応などについて報告を求めているとのこと。報告期限は月内とみているようです。

また、山口FGは1日、新銀行設立に向けた検討を中止すると発表しています。「地方創生に資するビジネスモデルに整合しない構想」だと判断したということです。しかし不思議なのは、この新銀行設立中止発表だけはTDnetに開示してないんですよね。なぜでしょう。

日本軽金属ホールディングス 特別調査委員会の委員変更

本来JISマークを表示してはならない製品に、製品の出荷時に添付する現品票にJISマークが表示されていたとして、特別調査委員会による調査を進めていた日軽金HD。11/1に「特別調査委員会の委員構成の一部変更に関するお知らせ」を公表しました。

特別調査委員会

特別調査委員会設置の決定が6/9でしたから、既に5か月が経過。10社ある子会社にどんどん飛び火していってるような感じでしたが、なんと、ここにきて委員会メンバーの変更だそうです。

今回の開示ではその理由を、「調査の進捗に伴い、その検討事項が増加していることを踏まえ、更に迅速かつ徹底した調査活動を行うため」、と説明しています。業務量が増加していて、さらに徹底した調査を、、、ということなんですが、なんだか変な感じ。

設置時に委員長をお願いしたN弁護士に代わって、前大阪高等検察庁検事長だった方が委員長になるそうです。N弁護士が委員長を降りる理由については説明なし。というか、N弁護士が降りることすら触れられていません。

なんで委員減らすの?

委員長が変更になり、さらに委員だった社外取締役と社外監査役のお二人が外れる形になってます。結局委員は5名から3名へ。検討事項が増加しているのに、なぜ委員会メンバー縮小なんでしょうね。もちろん、委員ではない補助者とかを増やすのかもしれませんが(そのことについては触れられてない)、なんか不自然です。

委員会と経営の間で何か揉めたりしてるんでしょうか。委員会の中で委員同士が揉めてたりするかもしれませんね。日軽金の調査、さてさて、いつまでかかるのやら。

東光高岳 新たな検査不正も

キュービクル形ガス絶縁開閉装置およびガス絶縁開閉装置における検査不正を公表していた東光高岳。10/29には、「当社製ガス絶縁開閉装置の不適切事案に関する再発防止策について」を公表しました。

調査を継続

調査結果って公表されたんだっけ?と思いましたが、今回の開示の中で調査結果についても触れていました。同社は外部の人間を入れた〇〇委員会みたいなのは設置しておらず、製品の開発・製造・検査に直接従事していない内部監査部を主体とした調査チームで調査を進めているんですね。

その調査の中で今回発覚したのが、自動開閉器用遠方制御器の一部の機種において、お客様仕様で定められた試験を実施していなかったというもの。まだ不正の対象製品は広がりそうな感じですね。

調査方法と対象

外部から委員を入れた第三者委員会などを設置した方が、経営等からの圧力がかからず、公正な目線で調査ができるというのはありますよね。ただ、調査を委嘱する際の「対象製品の範囲」や「対象期間」を意図的に限定するなどしていては意味がありません。そういう対応をしている企業、意外に多いです。

東光高岳の場合は委員会を設置せず、あくまで自社の機能の中で調査を進めています。この場合、経営がどれだけ本気で膿を出し、再生していくのか、の本気度が重要です。

同社の調査チームによる調査対象は、「全事業本部の全製品ならびにグループ会社の製品」と、定義されていて、本気度は伝わってきます。

脱線しますが、、、8/24に設置したのは「非常事態対策本部」と説明されていましたが、今回の開示では「リスク対策本部」となっています。これ、間違い?

昭和電線ホールディングス 調査結果を公表?

子会社の昭和電線ケーブルシステム株式会社における検査不正を調査していた昭和電線ホールディングス。10/29、「当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告について」を公表しました。

調査結果の要旨

7/21に特別調査委員会を設置していますから、約3カ月間の調査になりましたね。調査の対象としたのは7製品。で、うち5製品については特別調査委員会とは別に設置した調査委員会が調査を担当、という妙な構図になっています。これ何で?

開示(調査結果の要旨)を読むと、従業員および元従業員に対して行ったインタビューによると〇〇でした。というまとめられ方になっていて、具体的な情報がほとんどありません。例えば、「1991年頃から抜き取り試験自体を行わずに過去の試験で得られたデータを流用するようになったという証言がありました」。みたいな感じです。

具体性に欠け、詳細情報は不明。発生原因なども現場の行為者の問題として片付けられていて、経営の問題には触れず。とにかく、今回のこの開示でさっさと、すべてを丸く収めようという意図を強く感じさせる報告となっています。と、kuniは感じました。

報告書は?

検査不正等に関する調査委員会の調査期間として、3カ月間というのは決して短くはありません。報告書は数十ページから100ページを超えるものも。ところが今回のケース、調査結果報告書自体は開示されていないんですね。

これってどうなんでしょう。たしかに開示のタイトル、「調査結果の公表」ではなく、「調査結果の報告」になってます。最後に親会社と子会社の代表取締役社長の役員報酬減額が記されていてお終い。なんともあっさりした終結宣言です。