関西スーパー 統合手続き差し止め 神戸地裁仮処分決定

11/22、神戸地裁は関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をしました。当ブログでも取り上げましたが、統合を決めた臨時株主総会の手続きを巡り、食品スーパーのオーケーが示していた疑義を認めた格好です。

差し止めの主張

オーケー側は検査役の報告書に基づき、全ての株主の投票を締め切った後で特定の株主の投票内容が棄権から賛成に変わり、一度は否決されていたH2Oと関西スーパーとの株式交換が可決へと覆されたと主張していました。

オーケーは

オーケーは11/17、差し止めを求めていた関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリンググループとの経営統合について、申し立てが棄却された場合は株式買い取り請求権を行使し、保有する関西スーパー株を売却する方針を発表しました。

また、差し止めが認められた場合は関西スーパーのTOB(株式公開買い付け)に乗り出すことも改めて明らかにしています。つまりTOB再開ということですね。

オーケーは関西 スーパー に対するTOB価格を2250円としていましたから、24日の株式市場では関西スーパー株はストップ高比例配分。TOBの話題で2,200円台まで買われ、エイチ・ツー・オーとの統合ということで1,200円処まで売られたと思ったら、TOB復活でまた再上昇。

相場としては面白いんですが、この争い、最終的にどうなるんでしょうね。個人的には関西スーパーの自爆(総会決議の不正な操作)で、旧経営陣が一掃。オーケーの手に落ちてしまうのでは、という気がしています。

株式会社ニップン サイバー攻撃で第2四半期報告書の提出期限延長

ニップンは11/12、「2022 年 3 月期第 2 四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。当ブログでも取り上げたサイバー攻撃によるサーバー等のデータ暗号化。同社システムは壊滅的な状況のようです。

被害の状況

サイバー攻撃を受け、システムは暗号化により起動そのものができず、復旧に向けた技術的手段もない状態だったとあらためて説明されています。オンラインでバックアップを行っていたサーバも同様だとしています。

しかしながら、調査を通じてランサムウェアやマルウェアは見つかっていないということで、攻撃者がシステムに対して直接不正な操作を行った可能性があるとしています。このパターンは珍しいですね。外部よりアクセスされた痕跡はあり、情報が流出した可能性も払拭できていないようです。

第2四半期

今回延長を申請した第2四半期決算にあたっては、従来自動的に処理されていた帳票の作成などを、人手で処理しなければならず、より多くの業務負荷が生じているようです。作業を終えるのは同社において12月中旬、グループでは11月下旬を見込んでおり、監査人によるレビューも通常より時間を要する。というのが延長申請の理由です。

最近では鉄建建設以来の大きなダメージでしょうかね。ニップンではパソコンやサーバを最新の状態に保ち、不正侵入検知システムやマルウェア対策ソフトを導入していたなど、セキュリティ対策を講じていたとしています。

一般的なサイバー対策を取っていたからといっても、攻撃からすべてを護れるものではありません。これ、マジで他人事じゃないです。

コンピューターウイルス エモテット 攻撃再開

世界中でで猛威を振るったコンピューターウイルス「エモテット」。国際捜査で運営グループが一斉停止に追い込まれたはずでしたが、摘発を逃れた一部の仲間が再び攻撃を始めたようです。JPCERTコーディネーションセンターが17日、公式ツイッターで注意喚起しました。

エモテット

メールの添付ファイルを開くことなどで、ウイルスに感染したコンピューターはマルウエアをインストールされ、情報を次々に送信したり他のウイルスの感染を広める踏み台にされたりしてしまう。エモテットは2019年後半から猛威を振るいました。

エモテットは、メールをきっかけに相手方のサーバーから盗んだ情報を公開すると企業を脅す、「暴露型」としての活動が特に多くの企業にダメージを与えてきました。

制圧

今年1月27日、ユーロポールと欧米各国の共同作戦によりエモテットは制圧されました。サーバーを差し押さえ、メンバーは逮捕。その後、感染端末が無害化ファイルで自動的に更新され、以降、感染がほぼ観測されなくなりました。これが事実上のエモテットの完全制圧と言われていました。4月のことです。

再開

制圧したはずのエモテットでしたが、11月中旬には新たな中枢サーバー2台が稼働し、攻撃の再開が確認されたということです。サーバーの設置場所は不明ですが、再び各地に中継地点を確保して拡散を続けているといいます。

今回再開したエモテットは、摘発を逃れた組織関係者が関与している可能性が高いと言われています。今後、日本でも攻撃が広がる可能性も十分考えられます。オフィスでのメールのやり取り、在宅勤務でももちろん一緒です。気を付けていきましょう。

前田建設工業 役員によるインサイダー取引に課徴金(現インフロニア・ホールディングス)

証券取引等監視委員会は11/19、前田建設工業株式会社役員による内部者取引について検査し、法令違反の事実が認められたため、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行いました。インフロニア・ホールディングス株式会社もこの事実を同日公表しています。

インフロニア・ホールディングス株式会社

インフロニア・ホールディングス株式会社は、準大手ゼネコンである前田建設や、前田道路、前田製作所の3社が共同株式移転の方法により、3社の完全親会社として設立(21年10月1日付)した持株会社です。同社が上場することで、前田建設、前田道路、前田製作所は上場廃止になっています。

前田建設の役員

前田道路を子会社化する際にはいろいろ揉めましたよね。インフロニア・ホールディングスが設立されるまでのプロセスは、前田建設が主導してきました。その前田建設の役員が今回のインサイダー取引の主役です。

監視委員会の公表によると、同社役員のインサイダー取引は計3回。まずは前田建設の増配と自己株取得の事実を公表前に知り、同社株を買い付けた行為。2019年2月の行為です。

二つ目は、前田建設工業が前田道路の株式を公開買付けすることについての決定を知りながら、公表直前に前田道路株式を買い付けた行為。2020年末から2021年1月にかけての行為です。

そして三つめが、前田建設工業、前田道路および前田製作所の共同持株会社設立(共同株式移転)による経営統合に関する事実を知りながら、その公表直前に前田道路株式を買い付けた行為。2021年2月の行為です。

要するに、インフロニア・ホールディングスが設立されるにあたり、内部者情報を知りえた場面全てでインサイダー取引で儲けていた役員。ということですね。課徴金の額は402万円と大したことはありませんが、行為そのものの悪質性はメチャデカいです。

期待したい新技術 無線給電

今月上旬の日本経済新聞の記事に「ソフトバンク、基地局から無線給電 イヤホン電池不要に」という記事がありました。無線給電の技術、かなり進化していってるようですね。無線で電気を送る新たなインフラの登場は、多様な機器やサービスの開発につながりそうです。

無線給電とは

無線給電とは、離れた場所にある電気機器や電気自動車(EV)などに、電源コードを用いることなく、ワイヤレスで充電する技術です。ワイヤレス電力伝送(WPT)とも呼ばれます。有効伝送距離が数10cm程度の「近接結合型」と、10m以上離れたデバイスにも電力伝送が可能な「空間伝送型」に分けられるんだそうです。

スマホへのワイヤレス充電なんかは既に実用化されていて、日経の記事のソフトバンクは、後者の空間伝送型ということになりますね。携帯電話の基地局に送電用の機器を設置し、高速通信規格「5G」に使う28ギガヘルツの高周波帯域を使って電気を送るんだそうです。

人体に影響がないよう、まずは1ミリワット程度の小さな電力を半径10メートルほどの範囲に飛ばし、距離は将来、100メートル程度まで伸ばせるんだとか。ん~、とても便利そうな技術なんだけど、なんだか人間が電子レンジの中に居るようで、ちょっと気持ち悪さも。

料金はどうするんかな

伝送範囲の中に入ると給電が始まるわけですが、その給電の料金ってどんなふうに課金するんでしょうね。携帯電話の使用料みたいに、毎月いくら、、、みたいな課金になるんかな。契約のある機器をどう判別するのか、、、とか、まだまだいろいろ分からないことが。

大阪万博の会場では、太陽光や風力で生み出した電気を無線給電で小型ボートに送る技術を実用化するみたいです。とにかく期待値は大、だと思います。