株式会社EduLab 四半期報告書を提出 しかしまだ、追加調査?

EduLabは再延長後の提出期限である10/15、「特別調査委員会の(中間)報告書受領及び追加調査継続に関するお知らせ」などを公表しました。同日、第3四半期報告書の提出も完了させたようです。かなり、暫定的な四半期報告書ですね。

中間報告の概要

そもそもの調査対象だった連結子会社と取引先における取引の経済合理性については、取引対象の実在性自体には疑義は生じておらず、大事には至りませんでした。

一方で、上記調査の過程で発覚した、子会社間の別件取引。これが対価に見合う役務提供があったとは認められないと。報告書ではそういう用語は使われていませんが、まぁ、架空取引の類ですね。さらに、類似の疑義のある取引も複数検出されているようです。

これらに関する調査を「追加調査」と呼んでいて、そもそもの調査対象に関する調査は完了したので、調査報告書に基づき四半期報告書を完成、提出しました。。。という少々強引な整理になっているようです。

そして、さらに、同社の連結範囲の決定に際して、連結財務諸表に表示される連結業績を意識した、意図的な調整が行われていたとの指摘も受けているとのこと。で、同社としては連結範囲を見直すことで監査法人を説得したんでしょうか。

投資家目線で

同社の監査人である「あずさ監査法人」は、過年度分も含めて「結論を表明する根拠となる十分かつ適切な証拠を入手できていない」としており、意見不表明のついた監査報告書と各四半期報告書について結論不表明のレビュー報告書を出しています。

近々見直しが入ることがほぼ間違いない四半期報告書。提出期限に間に合い、上場廃止の危機も解消。四半期報告書の内容を見てもそれほど大きな影響はなかったし、ここらで買ってみようか、、、なんて投資家がいるかもしれません。こういうやり方ってどうなんですかね。

ラック 不正入札 日本貿易保険が訴訟の提起

株式会社ラックは10/14、「当社に対する訴訟の提起のお知らせ」を公表しました。ラック、懐かしい名前です。この事件については当ブログでも3年前に取り上げました。両社の関係、まだこじれたままだったんですね。

おさらい

ラックが日本貿易保険のシステム構築を受注するにあたり、日本貿易保険の元顧問が審査基準を漏らすなど、ラックの落札に有利に働くよう不正に関与したというもの。元顧問は公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕されました。

ラックの側でも外部弁護士を含めた調査委員会を設置して、同事件に関する調査を実施しましたが、同社の社員が元顧問の不適切な行為に不当に関与した事実は認められないと結論づけられていました。

なお、元顧問が逮捕された時の報道では、ラックの社員も書類送検されたとのことでしたが、その後どうなったのかについては情報がありません。

訴訟の提起

開示によると、訴えの概要は、「請負代金返還等請求訴訟」で、訴訟の目的の価額は58億384万3,880円。ラックに不正行為があったなどとして、当該請負契約の解除、不法行為等を主張し、同社に対して既払金の返還、違約金の支払、損害賠償、不当利得返還等を求めています。

ちなみに、システム開発請負契約は47億円ということでしたね。で、2年以上もめてることから、ラックは前期決算において、このシステム開発請負契約について、長期滞留仕掛品評価損12億4831万円を特別損失として計上していました。

お互いに2年以上真っ向から対立、そしてついに訴訟。調査委員会の再設置とかあるんでしょうかね。落としどころはどこらへんでしょうか。

株式会社カンセキ 役員の不正行為 第三者委員会を設置

株式会社カンセキは10/8、「当社役員による資産の流用発覚に伴う2022年2月期第2四半期決算発表の延期および第三者委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。役職員の不正行為で決算発表の延期。このところまた増えてきましたね。

カンセキ

カンセキは栃木県およびその隣接地域を主たる商圏として、ホームセンター「カンセキ」を中核にアウトドアライフ専門店「WILD-1」などを展開する小売チェーン。業務用食品などを販売する「業務スーパー」も運営しているようです。

主力事業がホームセンターやアウトドアライフ専門店ですから、新型コロナの感染拡大でむしろ業績を伸ばしており、直近期では過去最高益を記録しています。

不正の概要

同社の連結子会社である株式会社バーンへの内部監査において、帳簿上の残高と実際の残高に現金720万円の不一致があることを認識したことから、同社および株式会社バーンにおいて調査を進めたところ、当社役員が資産の流用を行っていた事実が確認されたとのこと。

「不足しておりました現金720万円につきましては既に弁済されております。」とありますので、一応この件については一件落着の様子。親会社による子会社監査で見付かってしまうような事件ですので、この件以外に大きく拡大していきそうな気配ではなさそうですね。

とはいえ、役員(開示文では取締役かどうかは不明)の不正行為。第三者委員会を設置して、類似事案の有無等について調査を行うとしています。この開示の翌営業日には第三者委員会の委員の選任結果についても開示しています。

役員の不正行為ということで、同社の役員一覧を探したんですが、同社ホームページには掲載されていませんでした。ホームページ上では不正を働いた役員を消してみたり、表示を最下位に移動させたりとかで、この人かぁ、って分かったりするんですけどね。

株式会社EduLab 四半期報告書提出期限10/15

過去の取引における経済合理性及び連結子会社と同社関連会社との間の一部取引の実在性等を調査していたEduLab。10/8、「『令和4年度全国学力・学習状況調査』に関する委託事業(小学校事業)落札のお知らせ」を公表しました。

最悪の場合上場廃止

第3四半期報告書の提出期限(再延長済み)が10/15に迫るEduLabですが、そんな場面で上記の委託事業を落札。同事業を16億円強で受託したといいます。この開示を受けて株価は急反発。前日比339円高の2,697円まで買われました。

下手すると上場廃止の危機さえありうる企業の株がこれだけ買われるとは。。。こういう開示をして、多くの新しい株主を作っておいて、上場廃止します、、、はマズいですね。なんとしてでも四半期報告書、週末10/15までに間に合わせないと。

気になるもう一つ 文部科学省

全国学力・学習状況調査に関する委託事業というのは、文部科学省が実施する委託事業のようです。受託するのは株式会社教育測定研究所(EduLabの連結子会社)です。現時点で少なくとも経済合理性が疑われる取引について調査対象となっている企業。

そして場合によっては大きな信用を失ってしまう可能性のある企業に、文部科学省はいとも簡単に事業を委託してしまいました。この辺りの感覚ってどうなんでしょうね。架空循環取引なんかが出てくる可能性もあります。普通は応札企業から除外するんじゃないかと。

まぁ、調査結果が出てきて、ヤバいと思ったら委託の取消し。ってのもありかもしれないけど。だったら10/15まで待って判断もできたでしょうに。そしてさらに、今回不祥事で業績を悪化させるEduLabを儲けさせるための事業委託か?、なんて見え方になってしまうかもです。ん~、なんともスッキリしない事件?です。

第一カッター興業 調査結果報告書を公表

不正資金流用疑惑について、第三者委員会を設置して調査を行っていた第一カッター興業は10/8、「第三者委員会の調査結果報告書の受領に関するお知らせ」を公表しました。委員会の設置が8月上旬でしたから、約2カ月間の調査となりました。

調査結果の概要

同社連結子会社の㈱光明工事において、一部の役職員が内部書類の偽造等による旅費の過剰計上により、「旅費交通費」の名目で資金を引き出し、この資金を接待等に費消していたという事案(不正な資金流用疑惑)。

そしてもう一つが、㈱光明工事と㈱バランスコントロール(本社:愛媛県松山市)との間において、物品の発注や外注工事の発注が行われており、その一部に利益相反取引に該当する取引や不適切な取引が含まれていた(利益相反取引等)。

調査の結果明らかになったのは以上2事案でした。役職員と表現されている通り、役員も絡んでいます。ただ、報告書では同役員に関して業務上横領罪や特別背任罪を認めるに足りる証拠はなかったとしています。

実名の報告書

通常、調査結果報告書を開示する際、取締役Aとか取締役Bなどと表現するものですが、同社の報告書はほぼ実名で記されています。各取締役の責任の有無に関する記述も全部実名。これって結構珍しいですよね。

今回の不祥事の重さをしっかり受け止め、これを機に会社を変えていこうと、敢えて実名で公表することを選んだんだとしたら、これは非常に評価できることだと思います。

報告書にもありましたが、同社は老朽化した社会インフラの維持や修繕に不可欠なサービスを提供する、社会貢献度の高い企業。ココから本気で社会貢献していただきたいものです。