通信エラーがほぼ発生しないプラスチック製の光ファイバー

9/28付けの日本経済新聞の記事です。タイトルは「通信エラーほぼゼロ、プラ製の光ファイバー 慶大が開発」。慶応義塾大学の小池康博教授らの研究チームが、通信エラーがほぼ発生しないプラスチック製の光ファイバーを開発したという記事です。

記事のタイミング

この記事、株式投資の材料としても面白そうだと考え、少々調べてみました。ところが、このニュース、研究チームからのプレスリリースは9/24に行われており、日経も9/24に記事にしていました(おそらく電子版)だけだと思われます。

で、紙面で伝えたのが9/28ということのようです。タイミング外して書くな、とは言いませんが、せめて9/24にはいったん伝えた記事であることの注記ぐらいはあっても良いですよね。

開発の状況と関連銘柄

同教授と組んでいると思われるのは日東電工(6988)という会社。ずいぶんと前から研究を重ねてきているようで、2017年9月には「慶応大学の小池康博教授のグループと日東電工は、高精細な『8K』放送の普及に欠かせない大容量の光ケーブルを開発した」と報じられています。

今回はそのプラスチック製光ファイバーの品質を向上させ、データセンター、車、医療等の短距離通信で課題となっている通信エラーを、ほとんど発現しないプラスチック光ファイバー(エラーフリーPOF)を開発したということです。今回のプレスリリース等には日東電工の社名は出てきませんが。

このプラスチック光ファイバーにより、通信システムの発熱、遅延、コストの問題を一気に解決することができるとのこと。データセンターの省電力化のみならず、自動車、医療、ロボティクス等における大容量リアルタイム通信への道を切り拓くものであり、次世代情報産業のコアテクノロジーとなることが期待されます。と、プレスリリースは自画自賛していました。日東電工、注目です。

証券取引等監視委員会 スカイプレミアムインターナショナル社を金融商品取引法違反行為で

証券取引等監視委員会(SESC)は9/17、「SKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE.LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社)及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて」を公表しました。

スカイプレミアムインターナショナル社 ライオンプレミアム

同社が取り扱うライオンプレミアムという商品。投資した資金がFXで運用され、年利約30%もの利回りになるとか。全国各地及びオンライン上において、エージェントが講師となって投資セミナーを開催したり、エージェントが個別に投資家に対し商品内容等の説明を行うなどの方法で勧誘を行っているようです。

監視委員会の公表資料によると、これまでに約2万2,000人の一般投資家(会員)に対して当該商品(前身の商品を含む。)の契約締結をさせており、当該契約に基づく一般投資家からの投資総額は、これまでに約1,200億円だそうです。ただ、これまでのところ被害の報告はないみたい。

監視委員会の対応

今回の申し立ては、金商法に違反する行為(業務)の禁止・停止でしかありません。無登録で投資助言・代理業を行っているためですね。なので、このことをもって同社が行っているのが投資詐欺であるというわけではありません。

が、しかし、どう考えても無理のある投資商品ですし、いずれ近いうちに破綻するスキームでしょう。おそらく、新たなお金が集められなくなったら回らなくなるわけで、今回の監視委員会の申し立てが引き金になる可能性もあります。

しかし、1,200億円はデカイですね。無登録業者に監視委員会が業務禁止命令を申し立てた事案のなかでは過去最大らしいです。

OKK株式会社 監理銘柄(確認中)の指定

9/17、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表したOKK。9/22には、「2021年3月期有価証券報告書および2022年3月期第1四半期報告書の提出遅延および当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。

提出遅延

2021年3月期有価証券報告書および2022年3月期第1四半期報告書について、関東財務局より提出期限の延長の承認を受けていましたが、延長後の提出期限までに提出できない見込みとなったとのこと。

過去の会計不正とこれへの対処において見えてきた取締役の不適切な対応。さらに前期末で会計監査人が退任し、今期の会計監査人の目途が立っていないということのようです。東京証券取引所も、投資家の注意を喚起するため、9/22付けで、監理銘柄(確認中)に指定しました。後任の会計監査人が決まらないというのはちょっと気になりますね。

上場廃止

延長承認を受けた法定提出期限の経過後、休業日を除き8日目の日までに提出しなかった場合、東京証券取引所は同社株式の上場廃止を決定することになります。前期の有価証券報告書は10/6が最終期限。第一四半期報告書については10/12が最終期限です。

もちろん、両方の期限に間に合わせなければなりません。9/22時点の株価はなんとか400円台でしたが、9/27終値で288円まで下げてきています。一時会計監査人が決定したとの開示もありませんし、上場維持、かなりヤバいかもしれませんね。

株式会社ビーブレイクシステムズ 監査役に払い過ぎちゃった件

株式会社ビーブレイクシステムズは9/24、「株主総会決議を超過する社外監査役報酬の支払いについて」を公表しました。ちょっと珍しい開示ですねぇ。上場企業でもこんなことが起こるんですね。思わず吹き出してしまいました。

ビーブレイクシステムズ

ビーブレイクシステムズはクラウドERP(クラウド技術を用いた統合型基幹業務パッケージ)の開発および販売を行うパッケージ事業が主力で、主に顧客が構築するシステムの受託開発やIT人材の派遣を行うシステムインテグレーション事業(SI事業)も手掛ける東証マザーズ上場企業です。

監査役の報酬

監査役の報酬等は、定款においてその額を定めていないときは、株主総会の普通決議によって決定されます(会社法387条1項、309条1項)。この「報酬等」には、月額報酬だけでなく、賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益すべてが含まれます。

ビーブレイクシステムズでは、定時株主総会において、「監査役の報酬額を年額2,000万円以内(うち社外監査役600万円以内)」という金額で承認されていたとのこと。今回問題となったのはこの「社外監査役600万円以内」という部分です。

期中に社内監査役1名が退任し、社外監査役1名が就任したことにより、2021年6月期について、社外監査役の報酬上限(600万円以内)を超過していたことが判明したということです。

以前、kuniが所属していた企業でも、取締役の報酬総額が総会で承認された額を超過したことがあって、大慌てしたことがありました。大笑いのお話ですが、中の人にとっては結構大変でして。臨時株主総会を開催しましたけどね。

未上場企業の場合は株主数も少なく、こういった対応が可能ですが。ビーブレイクシステムズは上場企業ですので、総会決議をやり直すって訳にもいかず。なんと上限超過部分について、社外監査役に対して返還請求するんだそうです。トホホな話ですね。

トヨタ 個人情報の不適切な取扱い 無断登録

トヨタ自動車は9/15、「トヨタ販売店におけるお客様の個人情報の不適切な取扱いについて」を公表しました。8/19に公表した、トヨタ販売店における個人情報の不適切な取扱いについて、全国257社の再点検を実施した結果を発表したかたちですね。

無断登録

今年3月、福岡トヨペット株式会社で、本人の同意を得ずにTOYOTA/LEXUSの共通ID発行のために、顧客の個人情報を登録したことが判明したのがきっかけでした。その後、全国の販売店において同様の事例がないか、調査を開始しています。

8/19時点の調査結果では、販売会社9社において、同IDの発行のために3,318名の顧客の個人情報を、本人の同意を得ずに登録していたことが明らかになりました。さらに全国257社の再点検を実施した結果、販売会社27社において、5,797名の顧客においても同様の無断登録があったということです。これが9/15公表分です。

合計36の販売会社で、9,115顧客の個人情報を無断で登録していたんですね。TOYOTA/LEXUSの共通IDとは、トヨタ自動車の各サイトが提供する様々なサービスを利用するための会員認証サービスです。

つまり、販売会社が入手した顧客の個人情報を、顧客に無断で入力して、別の会社であるトヨタのシステム(サービス)に会員登録してしまったということ。このことをトヨタは「個人情報の不適切な取扱い」と呼んでるんですね。いやいや、「無断登録」でしょう。

メディアも相変わらず

トヨタモビリティ東京が運営するレクサス高輪で不正車検」の記事でも書きましたが、トヨタはやはりこの件も適時開示していません。そして意趣返しを恐れるメディアはやはり大きく取り上げようとしません。いつも通りとはいえ、なんだかなぁ、、、です。