ひらまつ 2021年3月期決算発表

高級フレンチのひらまつは5/28、2021年3月期の決算を発表しました。売上高が前期比-36.6%、最終利益も41億円の赤字。新型コロナの影響をもろに受けた格好で、非常に気の毒な数字となりました。

創業者との問題

当ブログでも取り上げてきたように、同社は創業者である平松氏との間ですったもんだし、ようやくこの問題が片付いたのが今年3/2でした。その直後の3/21には緊急事態宣言も解除され、事業環境が一気に好転するかと期待されました。

が、しかし、4/25には再び緊急事態宣言が発出され、その後5/11までとされていた期間が延期され、6/20までということになっています。創業者とコロナでかなり痛い目に遭ってますね。

ひらまつの事業

高級フレンチのひらまつ、と当ブログでも紹介してきましたが、事業内容を見るとこれまた同情してしまいます。同社が短信等で公表しているセグメントとはちょっと違いますが、大きく見て3つの事業からなっています。

主力はレストラン事業。続いてブライダル事業。そしてホテル事業です。外食業界がどういう状況になっているか、今さら説明は要らないでしょう。フライダル業界も同様。5月末にはワタベウェディングが他社に飲み込まれて上場廃止となりました。ホテル業界にしても同様。

主力のレストラン事業から事業展開した他の事業もことごとくコロナの影響を大きく受ける事業ばかり。そこで第4の柱として、「テイクアウトやデリバリー、EC、百貨店等でのインショップ販売、法人営業など、新しい販売チャネルの開拓を行っていく」とのことです。

ん~、これもどうなんでしょう。「高級」が売り物の同社だけに、こうした販売チャネルが伸びるのか。まぁ、世の中にはお金持ち沢山いらっしゃるんで、これもありなんでしょうかね。

大黒屋 役員退職慰労金制度を導入

大黒屋ホールディングスは5/28、「役員退職慰労金制度導入に関するお知らせ」を公表しました。同日の取締役会で決議済み、6月29日開催予定の同社第112期定時株主総会に付議することにしたとのこと。

大黒屋

大黒屋ホールディングスはご存知の通り、バッグ、時計、宝飾品など中古ブランド品の買取と販売を手掛ける東証2部上場会社です。意外なところでは、防爆型照明器具などの製造・販売もやってるようです。

役員退職慰労金制度

以前一度、当ブログでも役員退職慰労金制度を取り上げました。その時は、役員退職慰労金制度の廃止を決定する企業が、最近目立ってきました、というお話でした。そんな指摘をしたところに、同制度の導入の話題が出てきたわけです。

試しにTDnetで5月一カ月間分の開示情報を検索してみると、役員退職慰労金制度の廃止を公表した企業は12社ありました(4月もたしか5社が表明していました)。一方、新たに導入する企業は大黒屋のみです。なかなかのチャレンジャーですね。

「役員報酬制度の見直しの一環として、後払い的要素が強い本制度を廃止し、業績との連動性を高めた報酬制度設計へ移行する」というのが、各社の説明。時代の趨勢と言ってもいいでしょう。そんな中、なぜ故逆行しようとしているんでしょうね。

株価

同社の株価は40円台。今期は黒字を予想しているようですが、前期までは5期連続の赤字(日経で確認できる範囲で)で、当然無配継続中です。株価は低迷、配当もなし。株主が現経営陣を評価しているとは思えません。

そうした状況で、現役員たちが退職する際に退職慰労金をもらう制度の導入とは、、、。会社の残り少ない資産を持ち逃げされるようには映りませんかね。株主総会はかなり荒れそうです。

グローム・ホールディングス 島津製作所との業務提携情報を誤発信

グローム・ホールディングス株式会社は6/2、「当社子会社による情報の誤発信に関するお知らせ」を公表しました。子会社のグローム・マネジメントが株式会社島津製作所との業務提携基本契約を締結した旨、Webサイトに掲載したんですが、これが何と誤発信だったというもの。

グロームホールディングス

グロームホールディングスは不動産関連事業(不動産サブリースが祖業)の企業でしたが、同事業から病院関連事業へ事業分野を転換。医療法人の病院運営に関する経営支援業務などの拡大を進めている企業です。

グロームマネジメントは100%子会社。というか、ホールディングスは持株会社ですので、同社が実質的なメインの事業会社でしょう。両社ともに住所は一緒。入居しているビルのフロアまで一緒です。そのグロームマネジメントが業務提携情報を誤発信してしまったというお話。

島津製作所

お知らせによると、「6/1、15:05頃にホームページに掲載し、6/2、9:20頃に同掲載を消去」したそうです。「子会社内の連絡ミスにより生じたものであり、現時点において業務提携基本契約を締結した事実はない」とのこと。しかし、火のないところに煙は・・・、と言いますよね。

株価の動向は

上場しているグロームホールディングス株の動きを見てみましょう。6/2、寄り付きから買われています。1863円(40円高)で始まったのち、13時過ぎには1900円辺りまで買われ、13:10に「実は誤発信だった」ことが開示されています。

一旦は売られますがその後切り返し、高値は1967円、終値も1919円で前日比96円高となっています。誤報と聞いて売った人あり。誤報ではなく単なるフライングだと理解した人あり。面白いですね、正解はおそらく後者でしょう。

これが本当に誤報だったら大変なことになっていたところですが、信じて買った人たちは儲かっています。少なくとも昨日時点では。まぁ、それでも取引所からはお目玉食らいますわな。

ユニデンホールディングス 監査役会が監査報告書で意見表明(ダメ出し)

ユニデンホールディングスは6/1、「当社第56期事業年度に係る監査役会の監査報告書における監査報告及びそれに対する当社取締役会意見に関するお知らせ」を公表しました。海外の子会社で収益を水増しするための不正会計が行われていた、あのユニデンです。

監査報告書

監査報告書は株主総会で報告される事業報告や決算関係書類について、監査役が監査を実施し、特段の問題が認められなかったことを株主に報告する書類です。が、この事業報告等に、「問題あり」と監査役会からケチを付けられた格好なわけです。

問題だとしているのは以下の3点です。

①事業報告において、不適切会計やそれに対する再発防止策の実施状況など、一切の記載がないこと
②監査役会が重要な会議と考える会議体への参加を、CFOにより拒まれていること
③内部統制システムの構築及び内部監査部門の強化は、同日時点で未だ実現されていないこと

以上3点に対して、取締役会としては「①監査法人が無限定適正意見だから問題ない、②決して拒んだりしておらず、取締役の職務に問題はない、③内部統制の強化を進めており、今後も対応していく」といった反論をしているわけです。

水掛け論にしか見えませんし、外部の人間が、公表されたこの相反する主張を読んでも判断のしようがありません。まぁ、それでも、執行側の緩さと、監査役会の飛躍した主張は少々感じました。皆さんも読んでみてください。

常勤監査役

会議体への参加を拒まれているという常勤監査役は、創業者付き顧問だったといいます。昨年9月、会計不正の責任を取るようなタイミングで、創業者の代表取締役会長が退任しているんですが、その番頭さんだったみたいですね。「天馬」や「ひらまつ」のように、ここでもまた退任後の創業者が登場しようとしているのでしょうか。

株式会社ヤギ(7460) 調査報告書を公表

不適切な取引が行われていた疑義が判明し、外部専門家を含む社内調査委員会を設置していた株式会社ヤギ。5/31、社内調査委員会の調査結果を公表しました。21年3月期の業績予想上方修正(グッドニュース)との抱き合わせ開示です。

調査結果の概要

不適切な取引は、原糸であるにもかかわらず加工糸に偽装された商品の取引でした。このうち、同社が加工を依頼した企業が実際には加工することなく出荷していた取引では、同企業が加工費を不法に受領していたようです。

そしてこの不法に受領した加工費は、今回の商流で最上流に位置する企業A社の営業担当者の懐にも入っています。つまり、ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということのようです。

原糸や加工糸が実際に流通していますので、架空取引ではないわけですが、これらのブツは数社の中で循環取引にも発展していたとのこと。

ヤギの責任とA社

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっています。外部専門家も入れた調査委員会ですから虚偽はないでしょうが、なにやらスッキリしない結末になりました。

報告書の中でA社のブランドに触れている部分があります。こうなるとこのA社はどこだ?という疑問が出てくるわけですが、当然報告書では明らかにされていません。福井の繊維系上場企業だと、セーレンやサカイオーベックスなんかがありますが、、、。

まぁ、別に本社が福井でなくてもありうるわけですね。ブランドのある繊維商社で福井に支店を持っていれば。そのA社は今年3月時点で国税の調査を受けているとか。気になります。