アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その4)

アジャイルメディア・ネットワークは6/17、「取締役の辞任に関するお知らせ」を公表しました。役員の不正行為に関する第三者委員会による最終報告に関するお知らせ」を公表したあのアジャイルです。

公表の内容

6/17をもって、当社取締役が辞任することとなりましたので、お知らせいたします。辞任の理由は、「第三者委員会による最終報告を受け、本人の申し出によるものであります。」とだけ説明されてますね。

不正を働いた役員、身を隠したわけではないようです。現在も連絡が取れる状況のようですね。「石をも動かす力」というお名前の前取締役CFO。実際にはその地位及び権限を悪用して従業員を動かし、会社のお金を詐取してきました。まったく残念な話です。

こういう事件は、ギャンブルか異性に対する事情というのが定番ですが、その真相はどうだったんでしょうか。

役員の所有株式数の異動

この辞任に関するお知らせの翌日、同社は「役員の所有株式数の異動に関するお知らせ」を公表しています。同社代表取締役社長から大量保有報告書(変更報告書)が提出されたことを受けての開示ということです。

元役員による資金流用の疑義及び、それに伴う2021年12月期第1四半期決算発表の延期を受け、金融機関の「債権保全を必要とする相当の事由が生じた」との判断により担保処分が実行されたとのこと。

代表取締役社長が同社株式を取得するため、金融機関に借入金の担保として同社株式を差し入れていたものの、銀行が同社の不祥事と決算発表の延期を受けて担保株式の強制売却を行ったということですね。

まさに、「雨が降り出したので貸していた傘を取り上げる」という構図。これが銀行です。

ユニデンホールディングス やはり創業者が登場

6/18付け日本経済新聞の記事に、「ユニデンHD創業者、現社長らの選任反対」という記事が掲載されました。やはり創業者が登場しましたね。これを受けてユニデンHDも同日11:30に「当社に関して一部報道されております筆頭株主からの書簡の内容について」を公表しました。

おさらい

UAC(ユニデンアメリカ)、およびUAUS(ユニデンオーストラリア)で、収益を水増しするための不正会計が行われていました。そして、これに関する英語版調査報告書を日本語版に翻訳する際、経営陣の責任の所在等に関する記述を削除していたという事件が続きます。

この改ざんに関わっていたと思われる創業者である元会長は昨年10月に退任しているわけですが、元会長寄りの監査役が経営陣に監査報告で物申す展開に。これはきっと創業者元会長が動き出したのでは?と、想像していたところに、、、やはり登場されたというわけです。

創業者の主張

不正会計処理の対応を巡り、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善が進んでいないことを理由として、株主に対して、社長や取締役CFOの選任案に反対票を投じるよう求める、というものです。

「場当たり的な経営計画や配当政策」や「在外子会社の内部統制の改善の不足」を指摘したうえで、「現社長が職責を果たしていない」として反対するよう求めているようで。監査役会の3つの主張のうち、CFOによる重要会議への出席妨害の件を除く2つの主張と概ね一致しているようです。

さぁて、本当に「天馬」や「ひらまつ」のような展開になってきました。今月29日開催予定の定時株主総会。投資会社のリム・アドバイザーズに加えて、筆頭株主でもある創業者までも相手にしていくことになります。(ちなみに今回の株主総会は「株主様のご来場をいただくことなく当社役員のみで開催」だそうです。)

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その3)

アジャイルメディア・ネットワークは6/16、「2021年12月期第1四半期報告書の提出期限の延長(再延長)申請に係る承認及び第三者委員会による最終報告に関するお知らせ」を公表しました。5/31には同委員会の中間報告も公表していました。

不正の概要

この役員は、その地位及び権限を悪用して従業員に指示し、事前に使途を明らかにすることなく、会社が小口現金として管理する現金の交付を受けて、これを私的に流用していました。その金額は、累計1億3000万円程度といいます。

また、実際には取引が存在しないにもかかわらず、ソフトウェア開発等の発注業務を偽装して、取引先に送金させる方法により会社の資金を流出させ、さらに、自己又は自己が関係する会社において当該取引先から当該業務を下請受注する外観を偽装することによって、当該取引先から自己に資金を還流させたことが疑われています。この方法により会社の資金を流出させた金額は、累計1億4000万円程度。

中間報告で約2.7億円としていたこの2つの手口での資金流出は、最終報告で2億6872万円と認定されたようです。

そして3つ目に、接待交際費、旅費出張費等で、業務関連性がない経費精算が含まれている疑義が確認され、その額は約7,000万円程度であることが判明したとのこと(こちらは社内調査の結果)。

消えたCFO

報告書で「その地位及び権限を悪用して従業員に指示し」と表現されているように、まさにCFOとしてやり放題ですね。従業員70名程度の小さな会社で、よくここまで。3億4000万円は何に使われたんでしょう。

第三者委員会による最終報告(口頭報告)で分かるのはこんなところ。最終報告書はまだ受領してないようです。

堺化学工業 亜鉛末事業から撤退

堺化学工業は6/11、「亜鉛末事業の撤退ならびに湯本工場の爆発・火災事故にかかる業績への影響に関するお知らせ」を公表しました。5/11に湯本工場で発生した爆発・火災事故からちょうど1か月。この事業からの撤退を決定したとのこと。

第8報

同じ日、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第八報)」も公表されています。重傷者の一名が6月中旬に退院予定となったことや、6/5付で事故調査委員会を設置したことなどが追加されています。

そして、「亜鉛末製品のマーケット状況や再建にかかる投資採算性等について総合的に検討した結果、亜鉛末事業から撤退し、工場再建を断念することとした」、ことについても。

事業からの撤退

通常は事業から撤退する場合、あらかじめ取引先に連絡。少なくとも取引先が他からの調達にめどをつけるまでは、出荷を継続するんでしょうね。ただ、今回ばかりはそうした調整の時間はありませんでした。取引先には相応の負担を強いる格好になったと思われます。

この事故により発生する補償、撤去などに係る費用、販売を含めた事業への影響額を合理的に見積もることは困難な状況としながらも、同社としては、この事故が2022年3月期の連結業績に与える影響額の見通し(税引き前利益)は、合計3億円程度としています。

事故発生で株価も影響を受けました。直前の1900円台から一時は200円以上売られましたが、このところ次第に戻っていて、1900円台を回復する場面もありました。

ということで、あとは事故の原因究明と再発防止策の策定ですね。事故調査委員会の調査結果を待ちましょう。

OKM(6229) 従業員の不正行為 調査委員会調査報告書を公表

中国の連結子会社で、一部営業部員が関与している不明朗な取引があることが判明したとして、調査委員会を設置していたOKM。6/15に調査を終了。調査報告書を開示しました。

OKM

いきなり脱線するんですが、OKMという会社、日本では「株式会社オーケーエム」なんですが、英語社名は「OKUMURA ENGINEERING corp.」なんですね。確かに会長さんが奥村さんだし、副社長にも奥村さん(ご子息かな)がいらっしゃいます。なんで日米で違いを?

調査結果

話を戻して調査委員会の調査報告書です。結論からいうと、「中国子会社の当該営業部員による就業規則違反に関する事実は認められたものの、法令違反と断定できる事実は認められませんでした。」だそうです。最近このパターン多いですね。

「しかしながら、調査の結果、中国子会社の営業部門における経費使用に関して実態を伴わないと疑われる事象やコンプライアンス体制の不備等、当社グループの内部管理体制に不十分な点があったとの指摘がされております。」ということで、これもよく見るパターン。

まぁ、不正がなかったわけですから良かったんですけどね。そういえば前回当ブログで取り上げた際、「現地従業員が自分の親族が経営する会社に会社の金を不正に支出させていた」という事例を紹介しましたが、今回の調査でも似たような状況があったようです。

中国って親族の結束が強いイメージがありますが、現地従業員が親族とつるんで悪さ、というのはいただけません。中国に進出している企業は要注意ですね。

結果的に大事には至りませんでしたが、この件で決算発表が遅延しました。このことを重く受け止め、経営責任を明確にするため、代表取締役社長と海外子会社を管掌していた取締役専務執行役員が役員報酬を一部自主返納するそうです。