サクサホールディングス 役員等責任調査委員会の設置

委員会設置自体はかなり前、10/23に開示されました。同社における一連の不正や不適切な会計処理等において、取締役、監査役及び会計監査人の善管注意義務違反等に該当する行為があったかどうかを調査するのが目的です。

役員等責任調査委員会

なぜこの時期に取り上げたかというと、調査開始から2か月が経過しようとしていますので、そろそろ開示があるのかなぁ、、、などと思いまして。

役員等責任調査委員会、と聞いて思い出すのが、まず関西電力ですね。役員等が福井県高浜町の元助役から3億円以上の金品を受け取っていたという事件でした。関西電力の場合は「取締役責任調査委員会」という名称でした。個人株主から提訴請求を受けたことを踏まえた設置でした。

もう少し遡ると、スルガ銀行も。取締役等責任調査委員会と監査役責任調査委員会を設置しています。名称が少しづつ違っていますが、調査の目的はほとんど一緒で、取締役や監査役の善管注意義務違反が問われるべきかどうかを明らかにすることです。

サクサの場合

関電もスルガも不正の規模が大きく、かつ公共性の高い企業ですし、株主代表訴訟のリスクを想定した動きだったと思います。そういう観点で見ると、サクサはちょっとそこまで?って感じですけどね。

関電やスルガのケース、結局委員会の報告内容をもとに、旧経営陣の責任であるとして会社が損害賠償請求訴訟を起こしています。関電の賠償額は19億3600万円。このうち7億3000万円が問題を調査した第三者委員会の調査費用だったそうです。

44名の弁護士や会計士を投入し、3か月半を要したサクサの特別調査委員会。その費用は相当なものになっていて、これを損害賠償請求で取り戻す、、、というのも目的の一つでしょうね。(過去の記事で1億円くらいかと書きましたが、そんなもんではなさそうです。)

ネットワンシステムズ 外部調査委員会の調査報告書受領

ネットワンシステムズは12/14、従業員による資金流用の疑義及び原価付替の疑義に関する外部調査委員会から調査報告書を受領したことを公表しました。個人情報や機密情報保護の観点から修正を加え、可能な限り速やかに公表するとのこと。

14日に受領、16日に決算発表

なんとまぁ窮屈な展開になってしまいました。14日に調査報告書を受領し、決算書類を修正して監査法人の四半期レビュー。速攻で16日には四半期報告書の提出ということになりそうです。おそらく同日に調査報告書も公表されるんでしょう。

先日、「ぎりぎりまで引っ張っての開示っていかがなものか」、、、みたいなことを書きましたが。今度は、調査報告書の受領と決算発表を同時にするのではなく、まず受領した旨を開示しましたね。この方が良いと思います。

15日と16日の株式市場参加者は「ある程度の確度で提出期限に間に合いそうだ」と考えて対処できます。もちろん、これでやっぱり間に合いませんでした、、、では話になりませんが。

アクセス増加

当ブログのネットワンシステムズに関する記事へのアクセスが最近増加してきていたので、そろそろ動きがあるかとは思っていましたが、外部調査委員会の委員の皆さん大変だったでしょうね。相当急がされたと思います。お疲れさまでした。

ということで、昨日の開示では資金流用についても、原価付替についても調査結果は一切公表されず。今回で4回目でしたっけ、不正・不祥事等に関する公表。さてさて、16日、どんな結果が公表されるのか、、、。

ダイワボウホールディングス 決算発表 ネットワンシステムズ等は

子会社での循環取引等が発覚したダイワボウホールディングス。11/13に四半期報告書の提出期限延長を申請し、同日のうちに承認されたことを公表しました。延期後の提出期限は12/16となっていましたが、12/11、無事第2四半期の決算を公表しました。

おさらい

11/27、子会社のダイワボウノイ社で発覚した架空循環取引に関して、特別調査委員会による調査結果を公表しました。2014年度~2020年度までの7年間で、架空の売上は6,447百万円に及んでおり、たった一人の犯行だったことも判明しています。

この調査結果を踏まえ、12/11に決算発表。開示した資料の中では見付けられませんでしたが、四半期報告書も提出できたんでしょう。期限の12/16よりも早く提出できましたね。不正が今期の業績に与えた影響は、売上高で640百万円、営業利益で1,994百万円だそうです。

12/16に期限が迫る企業

ダイワボウホールディングスと同じ11/13に、四半期報告書の提出期限延長を申請し、承認を受けていた三菱マテリアルは、まだ決算発表できていませんね。ということで、これまで見てきた不正・不祥事等により決算が締められず、12/16に向けてカウントダウンが始まるのは、次の5社となりました。

アマナ(2402):売上高の架空計上や外注原価の期間帰属の誤り
ネットワンシステムズ(7518):従業員による資金流用、原価付替など
小倉クラッチ(6408):棚卸資産の過大計上や従業員による横領など
ひらまつ(2764):創業者側への業務委託料の妥当性調査など
三菱マテリアル(5711):子会社経営幹部による利益相反取引

EXILE LDH JAPAN サイバー攻撃 クレジットカード情報流出

LDH JAPANは12/8、同社が運営するオンラインショップ「EXILE TRIBE STATION ONLINE SHOP」がサイバー攻撃を受け、同サイトでクレジットカード情報の登録を行った4万4,663名のカード情報について流出が確認されたことを公表しました。

流出の概要

個人情報流出の可能性があるのは、8/18~10/15の期間中に同SHOPにおいて、新規にクレジットカード情報を会員登録した顧客、又は既に会員登録により登録済みのクレジットカード番号を変更した顧客、計44,663名のクレジットカード情報だそうです。

流出した情報は、クレジットカード名義人、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコードとしています。サイバー攻撃を受けて個人情報が流出する事件は増加していますが、多くの場合クレジットカード情報は別会社で管理されており、流出を免れていました。

今回のケースはモロにクレジットカード情報が流出。おまけにセキュリティコードまで。さらに、11/27時点で、少なくとも209名の顧客のカードが不正利用をされた可能性があるとクレジットカード会社から報告を受けているとのこと。

既にそこから2週間が経過しており、不正利用の被害は拡大していると思われます。これは相当ヤバい事故ですね。実際に不正利用が確認されているだけに、4万名を超える情報流出は、「可能性」ではなく、確実に流出していそうです。

「EXILE TRIBE STATION ONLINE SHOP」といいますから、エグザイルのチケットやらグッズを販売するサイトなんだと思われます。今現在は情報漏えいに関するQ&Aなど、しっかりした情報提供がされていますが、いかんせん情報開示が遅すぎでした。

米国の内部告発 報奨金が過去最高を記録

米証券取引委員会(SEC)が2020会計年度(19年10月~20年9月)に告発者に支払った報奨金、なんと1億7500万ドル(約180億円)。前年度比3倍で過去最高を更新だそうです。報奨金を受け取った人数は39人で、これも過去最高です。

報奨金制度

2010年のドッド・フランク法という法律の中でこの制度が拡充されたそうです。内部告発をきっかけにSECの捜査が進み、企業に100万ドル超の制裁金や利益返還が科されると、告発者に総額の10%~30%が支払われるというもの。

不正の案件とともにその報奨金額を伝えられた例として、5000万ドルを受け取った内部告発者がいるらしいです。日本円で50億円超ですよ。また、最近こちらも過去最高額を記録したそうですが、1人で1億1400万ドル(114億円超)の報奨金を受け取った人もいるとか。

こんなふうに内部告発で巨額の報奨金を手に入れる人が出てくるもんだから、米国ではこの内部告発者向けの内部告発者訴訟を支援するサービスまで登場しているといいます。

他にもあるらしい

ここまでの話は米証券取引委員会の話ですので、同委員会が携わる不正が対象ということです。ほかにも、連邦公務員を対象にしたホイッスルブロワー保護法、上場企業の従業員を対象にした企業改革法、不正請求防止法など、各分野ごとに内部告発者を保護する法律があるみたいです。

日本ではこうした報奨金制度はありません。金融関係では金融庁にディスクロージャー・ホットラインなどの各種通報窓口がありますし、証券取引等監視委員会には情報提供窓口なるモノが設けられていて、相場操縦やインサイダー取引、金融機関の不正などに関する情報提供を促しています。が、いずれもリスクを冒して通報しても見返りはありません。日本もそろそろ米国に倣うべきでしょうね。