東京ドーム オアシス・マネジメントが臨時株主総会を請求

東京ドームは10/19、同社の上位株主で香港のアクティビストファンドのオアシス・マネジメントから、臨時株主総会招集の請求に関する書面を受領したと公表しました。臨時株主総会招集の目的、議案は長岡社長を含む取締役3名の解任です。

オアシス・マネジメント

オアシスはイスラエルで従軍歴を持つセス・フィッシャー氏によって設立された資産運用会社。香港を拠点に日本企業への投資でも注目され始めています。今年最も話題になったのが、4月に開催された、ジャスダック上場パチンコ機器メーカー、サン電子の臨時株主総会で勝利を収めた件。

取締役4人の解任と新たに5人の取締役選任を求める株主提案が、過半数の賛成を得て可決されました。オアシスにとっても日本で株主提案を成功させたのは初めてといわれています。19年6月の定時株主総会では取締役5人の再任に反対表明しましたが、そこでは一度負けています。二度目で成功という訳ですね。

サン電子は超優良な子会社を持っていましたが、これを活かせていなかった。むしろ株主価値を棄損するようなファイナンスもあったりしたようです。そして、多くの株主が経営に対する不満を募らせており、取締役の再任についても賛成比率が毎年下がってきていた、という背景がありました。そこにつけ入れられたということですね。

東京ドームは

東京ドームに関しても似たような状況があります。読売ジャイアンツという人気球団を抱えながら、東京ドームの価値を十分に発揮できていないという点です。オアシスは、デジタルサイネージの採用や、命名権の活用、隣接するドームホテルや遊園地の活性化などを主張していて、松戸競輪場の売却なんてのもあります。他の株主にとっても納得感のある提案です。

で、今回社長を含む取締役3名の解任が議案になるわけです。長岡社長を除く二人の社外取締役は、今年4月の定時株主総会でも賛成割合が80%前後と他の役員に比べて低くなっています。こういうところを狙ってくるんですね。

鉄建建設 ランサムウェアによる甚大な被害 京セラでも

鉄建建設が保有するサーバ約70台のうち、台数で約95%が暗号化などの被害を受けています。加えて、同社の社員が使用するPC約3000台のうち、アンチウイルスソフトがアンインストールされる被害が、約10%のPCにおいて確認されているそうです。半端ない被害です。

新しいタイプのランサムウェア

9月23日朝7時頃に社内システムの障害を検知したとのこと。翌日には「システム障害発生のお詫びとお知らせ」を開示しましたが、調査の結果、新しいタイプのランサムウェアにより、約95%のサーバが暗号化などの被害を受け、被害を受けたサーバに記録されていたデータの
一部が窃取され、特殊サイトに掲載されていることが確認されます。

顧客や関係者に影響を及ぼす二次被害などは確認されていないようですが、企業として壊滅的な被害ですね。基幹システムが復旧したのが9/30ですから、ほぼ一週間はまったく仕事にならなかった。事業継続に支障をきたしたということです。

特にメールサーバの被害が大きく、復旧にはさらに時間を要する見込みとのこと。事業が停止してしまった期間分の被害額、どのくらいになるんでしょう。被害を受けたサーバ内に、英文による攻撃者への連絡先URLの存在を確認したといいますが、身代金は支払われたのでしょうか。

京セラでも

京セラは10/16、従業員のパソコンがマルウエア(悪意のあるソフト)に感染し、最大で約1万4千件の個人情報が漏洩した可能性があると発表しました。従業員を装った不審なメール(マルウエアに感染させるためのファイルが添付されている)が社内外に約3万通送信されたことも確認されたようです。

鉄建は今のところ感染経路を明らかにしていませんが、京セラのケースは、従業員が在宅勤務中で社内システムへの接続に使われるVPN(仮想私設網)を使用。9月に取引先から受信したメールの添付ファイルをダウンロードし、感染した可能性があるとしています。

旧タカタ シートベルトでも品質不正 JSSJ

欠陥エアバッグ問題で2017年に経営破綻したタカタ。この主要事業を引き継いだ企業で、今度はシートベルトの品質不正が発覚しました。タカタは18年に米社JSSによる買収で再出発しましたが、不正の温床は放置されていたようです。

JSSJ

問題が発覚したのはJSSJ(ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン)です。車安全部品の米大手であるJSSの日本法人ですね。事業を引き継ぐ際、当時問題となったエアバッグ以外の事業を引き継いでいます。エアバッグに関してはタカタは米国にはめられたなどという闇もあるらしいですが、、、今日は触れません。

主力の滋賀県彦根市の工場で、法令で定める強度を満たしていないシートベルトを自動車メーカーに供給していたとのこと。少なくとも20年前から、社内検査でデータを改ざんして出荷していたようです。タカタ時代から行われていたということですね。

大半の自動車大手と取引があり、世界でも3割弱のシェアを持っているとされ、大量のリコールが発生しそうだと各紙は伝えています。工業製品の検査不正が続出していたころ、「基準は満たしていないが、使用上問題はない」、なんて言い訳をよく聞きましたが、安全性能を満たさない可能性がある場合は、、、やはりリコールになるんでしょうね。

この事件、タカタが、タカタが、と報じられてますが、JSSの責任ももっと追及するべきでしょう。当時問題になっていなかった高いシェアを誇るシートベルトの事業だけを引き継いでおいて、エアバッグの件に類似した不正等がないかどうかの確認を怠っていたわけです。

今年4月には内部通報により経営が不正の存在を把握していました。9月末という国交省への調査結果の報告期限も破っているとか。この辺りを掘り返すと国際問題になるので、タカタのせいにしておきたいんでしょうかねぇ。しかし、いま外走ってる車の3台に1台がリコールとはねぇ。読者の皆さんの車は大丈夫でしょうか?

NTT 菅政権の政策を支える企業

通信料金に関して菅製値下げを迫られていたNTTドコモでしたが、NTTはそのドコモの完全子会社化を決めました。通信料金の値下げは受け入れるものの、その見返りに関する交渉は既に水面下でまとまっているかのように見えます。この辺り興味ありますよね。

NTT IWON 再生エネ

ドコモ以外にもこのところNTTの周りに話題が豊富です。トヨタとの資本・業務提携や旧電電ファミリーのNECへの出資など。そして、以前当ブログでも取り上げたIWON構想。NTT、インテル、ソニーが中心となり、先日はエヌビディアも参加を決めた、ネットワークから端末まで全てを光で伝送するという技術に関する国際フォーラムでした。

政府内に「NTTを軸に日本の先端産業を立て直し、次の6Gで主導権を取り戻そう」という考え方が出来上がりつつあるんじゃないかと思います。当然NTT自身もそのつもりでしょう。世界がNTTを受け入れるよう、全国にある7000の電話局を再生エネ拠点とし、脱炭素化も積極的に進めています。

コグニティブ・ファウンデーション

そしてもう一つNTTが取り組んでいる、楽しみな事業がコグニティブ・ファウンデーション。ちょっとこの技術は難し過ぎてkuniには説明できませんが、、、簡単に言うと、世界から高い評価を得ている米国ラスベガス市のスマートシティ化、これをNTTが実現した土台になっている技術といえばいいでしょうか。

こうしてNTTの取組みを整理していくと、いずれも菅政権がこれから力を入れていく国策そのものなんですね。冒頭で「見返り」なんて言葉を使いましたが、行政のデジタル化、5G普及、6Gで主導権、再生エネ拡大、スマートシティ、、、と、国策におけるNTTの役割は相当デカいと思われます。

NTTが世界で戦うために

しかし、NTTが世界で戦うためには一つ課題があります。NTT法ですね。今のままだと後ろに政府がいる日本企業なわけで、言ってみれば中国の企業と一緒です。NTT法の改正か撤廃か。世界で戦うためにはこの法律を何とかしないと。と思うのですが。

理研ビタミン 上場廃止カウントダウン ベクトルも続くか

10/15、理研ビタミンは第一四半期報告書について、提出期限の延長承認された期限である10/16までに提出できない見込みとなり、例によって同社株式が監理銘柄(確認中)に指定される見込みとなったことを公表しました。同じ日にベクトルも提出期限の延長に関する開示をしています。

理研ビタミン 監理銘柄(確認中)

延長後の提出期限を10/16に控えておいて、10/7に特別調査委員会の設置ですからねぇ。あの手強い連結子会社の青島福生食品が再び調査対象です。こうなるのは当然といえば当然です。監理銘柄(確認中)に指定され、期限の8営業日目となる10/28までに提出できないと上場廃止です。

特別調査委員会に与えられた調査期間は16営業日。土日もフル稼働させるなら22日間です。あまりに短すぎますが、理研ビタミンのこと、ウルトラC、、、出してきますかね。同じ監理銘柄(確認中)に指定されていたサクサホールディングスは、最終期限に間に合わせ、10/13に無事上場廃止を回避しました。

同じく監理銘柄(確認中)に指定されているハイアス・アンド・カンパニーの最終期限は、理研ビタミンより二日早い10/26です。10月の最終週、両社は上場廃止を回避できるでしょうか。

ベクトル

子会社における会計処理に関わる社内調査委員会を10/9に設置したベクトル。10/15、第2四半期報告書の提出期限の延長申請が承認されたことを公表しました。本来の提出期限は10/15、延長後の提出期限は11/13となっています。ちなみに13日は金曜日ですね。

問題となっている子会社の下には在外子会社が4社あり、調査対象がここまで広がることになると、1ヶ月という調査期間ではちょっとしんどいかもしれません。ただ、この日の開示では「11/13までに提出を完了させる予定であります」と、強気のコメントになっています。が、はたして、、、。