公正取引委員会 次期委員長に古谷氏 64歳

3/18付けの日本経済新聞で伝えられた記事です。元国税庁長官で、現内閣官房副長官補である古谷氏が就任する見通しになったとのこと。現在の公取委の杉本委員長(69歳)は独占禁止法の定年に従って、9月12日に退くんだそうで、、、これが定年?

独占禁止法の定める定年

独占禁止法にそういう定めがあるんですね。確かにありました。第30条第3項「委員長及び委員は、年齢が70年に達したときには、その地位を退く。」これですね。へぇ、公取委の委員長の定年は70歳。ですから、古谷氏は64歳でも全く問題なしということですね。

さらに、同条では委員長、委員の任期を5年とすること。かつ、再任されることができる、と定められていますので、頑張って頂ければ70歳の誕生日まで務めることができるわけです。

国家公務員法

国家公務員の定年に関しては、国家公務員法、第81条の2に定めがありました。「定年年齢は原則として60歳」。ただし、法令に別段の定めがある場合は例外もありとしていて、検事総長の65歳、検察官63歳などがあるようです。

他にも、病院や診療所などの医師、歯科医師は65歳。守衛、用務員等は63歳といった例外があるようです。有名どころでは警視総監(62歳)、金融庁長官(65歳)大学教授、准教授(65歳)なんてのもありました。

ココから本番 デジタル規制

かなり脱線しましたが、公正取引委員会は、政府の目玉政策であるデジタル規制(GAFA等へのプラットフォーマー規制)の司令塔として、大きな期待が寄せられています。古谷氏は日経でも、「持ち味は抜群の調整力」だとか、「責任感の強い男」などとかなり高い評価をされてました。まだ半年先ですが、頑張って頂きましょう。

東レ子会社 水道機工 土木施工管理技士資格で実務経験虚偽申告

3/18の朝日新聞のスクープです。東レの子会社である水道機工株式会社で、実務経験を偽って国家資格である土木施工管理技士を不正に取得していた疑いがあるとのこと。あと、同社の子会社である水機テクノスでも。当ブログで以前取り上げた「大和ハウスの施工管理技士」の件とよく似た不正ですね。

1級土木施工管理技士

こちらもやはり国家資格で、1級と2級があるそうです。1級は学歴に応じて3~15年以上の実務経験がなければ受験できません。この資格の合格率は30~40%台ということです。

大和ハウスが実務経験を偽っていたのは、1級、2級両方、かつ、建築、土木、電気など広範囲で、合計10種の資格でした。そのため、総称として「施工管理技士」と呼んでましたが、水道機工の場合は今のところ1種類のようです。同社が報道を受けて公表した文書においても、「1級土木施工管理技術検定試験」としています。

問題の試験マニュアル

1種類だけだからマシという問題でもなさそうです。「経験がない方でもやり方次第」などと書かれた社内の試験マニュアルの存在も報道されています。同社のプレスリリースでも、「当社グループ内にて不適切な受験指導があったこと」を認めていますので、現時点で既に会社の関与が明らかということです。

同社は外部からの指摘を受けて、社内調査委員会を設置して調査を開始しており、3/10に関係省庁への報告もしているとのこと。とはいえ、朝日に報道されて後追いとなった公表。カッコ悪すぎです。今後は第三者委員会を設置して深掘りするようです。

このあとも続きそう

大和ハウスの不正が世に出たことで、水道機工の不正も・・・。そんな関係もありそうですよね。2017年から2018年に次から次へと検査不正が明らかになったように、国家試験に関する実務経験虚偽申告、この後も続きそうな予感が、、、。

トレンドマイクロ サイバー対策ソフトに6種類の欠陥

昨年11月、従業員が顧客情報を不正に持ち出し、販売していたことを公表したトレンドマイクロ。この不祥事に対する同社の対応は非常に残念なものでした。詳細は下の方に出ている関連記事「トレンドマイクロ 顧客情報流出 公表されない二つの事実」をご覧ください。

そして今回は、自社製品である企業向けのサイバー対策ソフト、「エイペックスワン」と「ウィルスバスターコーポレートエディション」、「ウィルスバスタービジネスセキュリティ」で、6種類の脆弱性の存在が確認されたとのこと。

日経では2商品で5種類の欠陥と伝えられていましたが、トレンドマイクロの製品サポートページでは3商品で6種類の脆弱性が公表されています。

周知する気はあるの?

トレンドマイクロの顧客対応。今回もやはりいかがなものか、、、という感じです。先ほど製品サポートページで公表されていたと書きましたが、顧客が自社で導入している製品をクリックし、そのサポートページが表示されるまで、脆弱性存在の事実が分かりません。

トップページでの表示もなし。プレスリリースにもなし。お知らせのページにもなし。普通に考えたら、ホームページのあちこちにリンク等の導線を作って、顧客に早く気付いてもらおうと考えるんじゃないかな。まぁ、ポリシーはいろいろあるだろうけど、まずは顧客のことを考えるべきです。

脆弱性の詳細

CVE-2020-8467、CVE-2020-8468、CVE-2020-8470、CVE-2020-8598、CVE-2020-8599、CVE-2020-8600 (この番号で分かる人には分かるんだろうか)という6つの脆弱性が報告されていて、最初の2つについては、「トレンドマイクロはこの脆弱性が実際の攻撃に利用されたことを認知しています。」としています。

サイバーセキュリティ担当者の方、修正プログラムの適用、お急ぎくださいませ。

Nuts(7612)業績予想で偽計 外部調査委員会の設置

会計上の問題を適切に解明していくため、第三者委員会や外部調査委員会を設置するケースが非常に多くなってきましたが、Nutsの場合は金融商品取引法第158条違反の嫌疑で証券取引等監視委員会による強制調査を受けた件についてだそうです。

レンタルビデオ

1977年創立、レンタルビデオ、レンタルレコードで成長した会社なんですね。1999年にジャスダック公開しています。おそらくこの辺りが会社のピークで、その後は新規事業を模索していくんですが、柱になる事業が育たない。そんな感じでしょうか。

今はパチンコやパチスロ機をメダルゲーム機に転用する事業が中核ということですが、従業員数はわずか13人。って、これ本当ですかね。前々期、前期、売上高はわずか1億円台で、連続して10億円の赤字を垂れ流している状態です。

金融商品取引法 第158条

何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。(カッコ書き部分一部省略)

監視委員会が調査しているのに?

158条の中にある「偽計」の疑いで、同社の代表取締役や株主が強制調査を受けたということですね。偽計とは、人をあざむく計略。や、その手段のことです。株価の高騰という目的をもって人をあざむいた、、、ということで金商法違反だといわれているわけです。

Nutsは昨年2月8日、会員制医療施設を開業する見込みになったと開示。さらに、これにより売上が約10倍になるという業績予想も発表したんですが、3月29日には同施設に不法侵入があったとして開業時期を延期すると公表しています。

この間、70円程度で推移していた株価は、一時100円台まで高騰したようです。上昇率は50%ですから、大きな上げですわな。問題はこの上げで誰が儲けたか。。。しかし、既に監視委員会がしっかり調べてくれているのに、いまさら同社として何を調査しようとしているのでしょう?

ALBERT(アルベルト:3906) 売上高計上の妥当性 外部調査委員会設置

データサイエンティスト育成事業に係る取引に関する売上高計上の妥当性などについて、監査法人から指摘され、決算発表を延期すると公表したのが2/14。続いて、より独立性を高めた調査を、ということで外部調査委員会の設置を2/27に決定、公表しています。

ALBERT

2005年設立で2015年、東証マザーズに上場。ビッグデータ分析、アルゴリズム開発、AI(人工知能)のシステム実装などを手掛ける。データサイエンティストの育成支援なども展開している。という会社らしいです。今時のというか、メチャ重宝されそうな会社ですね。

実は公表時のこの会社の開示情報、見逃していました。ちょっとタイミング外してしまいましたが、気になるところなどを備忘的に、、。

会社を設立したのは、山川義介氏。シリアルアントレプレナー(連続起業家)だそうです。もともとはTDKでVHSテープの開発をしていた人のようです。マザーズ上場後の2016年、同社の業績悪化という重要事実公表前に、親族等にインサイダー情報を伝えて売り抜けさせたとして地検に告発された人物です。地裁判決は懲役2年、執行猶予3年、罰金200万円。この時会社は退いてます。

株価は大きく下落

過去に傷のある同社ですが、AI関連、データサイエンティストだの、、、でここ最近は相当注目度高かったようですね。2018年5月にはトヨタと業務資本提携、10月には東京海上日動と資本業務提携、12月にはKDDIと資本業務提携しています。一流どころですね。

そして2019年7月には三井住友FGとも業務提携しています。このあたりが人気のピークですかね。メガバンクはこの手のピーク外しませんから。で、年が明けたら監査法人から指摘を受けたと。

まだ会計不正の内容については全く情報がありませんが、株価は酷いことになっています。もともと高すぎましたし、マーケット全体の下げもありますが、公表した2/14終値は8,590円。ちょうど一か月後にあたる3/13の終値は3,395円です。60%の値下がりはきついです。さて、何が出てくるんでしょう。