大和ハウス 再発防止策の進捗状況

11/1 大和ハウスは、戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について、再発防止策の進捗状況を公表しました。併せて、この内容は国土交通省にも報告されたとのこと。

再発防止策

再発防止策は計7つの基本方針からなります。
1 全社的な設計業務に関する法令遵守体制の再構築
2 型式適合認定制度に関する社内資格制度の導入
3 リスク情報の伝達機能の強化
4 社内監査機能の強化
5 事業所の法令遵守状況に対する適正評価
6 本社・事業所間の情報共有の強化、教育の再徹底
7 社内チェック機能の強化

リスク情報の伝達機能の強化

これらの中で基本方針3、リスク情報の伝達機能の強化については、「10月1日より、各事業所のリスク情報について、事業所長(支社長・支店長)および設計責任者が中心となり、遅滞なく法令遵守・品質保証推進本部へ報告する仕組みを確立し、運用を開始しました。」と報告されています。

本社・事業所間の情報共有の強化、教育の再徹底

また、基本方針6、本社・事業所間の情報共有の強化、教育の再徹底では、「設計部門の業務に直結した専門教育、建築関係法令の基礎知識を習得する一般教育に研修体系を見直し、8月26日より順次開始しています。今後は全社的な法令順守教育を見直し、意見交換の場を設けることで 本社と事業所間のコミュニケーション強化を図ります。」と報告されています。

経営と現場の乖離

基本方針の3と6を紹介したのは、実態を知らない、把握できていない経営のせいで、現場が孤立してしまっている。現場の失態で終わらせてはならない。という点に注目したからなんですね。この二つの基本方針はいずれも、現場と経営をどのように一体化するのかという施策なわけです。もう少し詳しい説明を聞きたいところですが、ポイントは押さえていると言えそうです。

ちなみに、不適合物件に対する改修工事等の対応はほぼ完了したようです。顧客対応はしっかりできてるようですね。元部長の4000万円キックバックの件はとうとう何も公表されずですが。

ノジマ スルガ銀行筆頭株主へ その目的

ノジマは10/30、経営再建中のスルガ銀行の筆頭株主になりました。スルガ銀行の持つクレジットカード事業が狙いではないかと言われていますが、今のところその辺りははっきりしません。11/1付の日本経済新聞で、日経がノジマ社長にインタビューをしていましたが、けむに巻かれていました。

野島社長

なんだか面白そうな人ですね。横浜ベイスターズの買収を試みたり、ITXやニフティを子会社化してきた人です。この人がM&A等で興味を示してきた企業、決してその企業の最盛期にある状況でもなさそうです。企業の持つポテンシャルに比べ、その時点での評価が低すぎる企業。そんな見方で捉えてらっしゃるんでしょう。まぁ、これが本来のM&Aのあるべき姿なんですが。

創業家の保有株式を取得

10/29付で、創業家とファミリー企業の保有する3129万株(議決権比率13.52%)を取得しています。取得金額は140億8千万円となっていますので、1株450円で取得したということですね。ノジマが筆頭株主に、、、と伝えられた直後に、スルガ銀行株は506円まで買われましたが、その後じわじわと下げてきており、この450円に収れんしつつある、そんな感じです。

ノジマは昨年中にもスルガ銀行を市場買い付けしており、こちらは1156万株(議決権比率4.99%)です。今回の取得と併せて4285万株(議決権比率18.52%)で筆頭株主になったというわけです。

純投資?

昨年、市場でスルガ銀行株を買い付けていた当時は、純投資が目的だったと言っていました。実は今でも野島社長の中では純投資に限りなく近い感覚なのかもしれませんね。

PBR0.5倍を割れた水準で取得。地銀としての収益力はかなり高い方。おまけにこの会社の最も重い病巣を全摘出(創業家との絶縁)する手術に成功したというわけです。そこにクレジットカード事業がおまけで付いてきた。そんな感じなんですかね。

洪水浸水想定区域 水防法を読んでみた

10/31付け日本経済新聞で「工業団地 580ヵ所浸水恐れ」という記事が。この記事の中に出てくる「洪水浸水想定区域」というのが気になり、「水防法」を読んでみました。水防法って、金商法みたいに略してるんだと思ったら、「水防法」で正式な名称なんですね。

2015年改正で1000年に一回しか起こらないレベルへ

法改正で「想定しうる最大規模の降雨」の定義が1000年に一度起きるかどうかのレベルに。つまり条件を厳しくしたとのこと。水防法第14条にありました。「想定最大規模降雨(想定し得る最大規模の降雨であって国土交通大臣が定める基準に該当するものをいう)」。

国土交通大臣が定める基準というのは、別途、大臣告示という方法で示されていて、「最大規模の降雨に係る基準」というのがありました。その中で「年超過確率0.1%程度の降雨」という基準が示されています。これが、どうやら年超過確率1/1000(約1000年に一回)程度という意味らしいです。この基準で地域や対象面積ごとに定められています。

この際覚えておきたい用語

洪水浸水想定区域という言葉は、日経3面の「きょうのことば」というコーナーで一通り説明されているんですが、水防法第14条から15条にかけて、このほかにも、雨水出水浸水想定区域、高潮浸水想定区域というのが出てきます。3つを整理しておきます。

・洪水浸水想定区域は
河川の増水・氾濫によって、浸水の想定される区域です。
・雨水出水浸水想定区域というのは、
公共下水道等の排水施設に雨水を排除できなくなったり、排水施設から河川等に排除できなくなったときに浸水の想定される区域のことです。
・高潮浸水想定区域は
台風等により海面水位が高まり、防潮堤を超えてくることによって、浸水の想定される区域ですね(津波は含みません)。
そして、これら3つを合わせて、「浸水想定区域」と定義されています。

明豊エンタープライズ(8927) 有価証券報告書虚偽記載

10/23、証券取引等監視委員会は、明豊エンタープライズの有価証券報告書の虚偽記載について、法令違反が認められたとして、課徴金納付命令の発出を勧告しました。一報だけは見ていたんですが、ちょっとスルーしてしまってて。この会社もアパート等のサブリースを手掛けてる業者なんですね。JASDAQに株式を公開している企業です。

課徴金 2,400万円

平成26年7月期以降29年7月期までの13四半期の報告書において、重要な事項につき虚偽の記載を行い、提出したとのことです。虚偽の内容は、中国における住宅開発事業から発生した長期未収入金および長期貸付金に係る貸倒引当金の過少計上だそうです。

これ以上詳細は分かりませんが、未収入金と言ってますから、何かの売却代金の回収が不能になっている。長期貸付金と言ってますから、貸した金が回収できなくなっている。といったところでしょうか。にもかかわらず、貸し倒れ引き当てをしていないということで、その分、期中の利益を大きく見せようとしていたということですね。

明豊エンタープライズ社のホームページでも詳細は分かりませんが、勧告の段階ではあるものの、既に「特段の事情がない限り課徴金に係る違反事実等を認める方針」とあります。

子会社の明豊プロパティーズ

明豊プロパティーズという関連会社が、マンション、アパートの管理を行う子会社です。事業の案内を見ると、賃貸事業においては、業務委託(代理)と家賃保証(サブリース)が二本柱という説明になっています。

ネットで調べても、今のところサブリース関連で悪い噂などが出てくるわけでもありません。ただし、業績面で苦しんでいることは間違いありません。ソーシャルレンディング等にも絡んでいるようですし、今後の報道等は要チェックですな。

ファインバブル ウルトラファインバブル

先日、日本経済新聞でファインバブルのどデカい広告がありました。実用化段階を迎えたファインバブル技術の紹介と、ファインバブル国際シンポジウムの開催アピールが目的のようです。参加費8,000円はちょっと高いなぁ。ここで宣伝したくらいじゃ招待券もらえないだろうか。

ファインバブルとは

私たちがイメージする泡は、水の中から浮かび上がって、水面で破裂して消えていくもの。ところがこのファインバブルというのは超微細な気泡で、水と混ざりやすくて浮かびにくいんだそうです。中でもウルトラファインバブルと呼ばれるさらに小さな気泡では、電荷を帯びることや気泡内部が超高圧状態になることなど、通常の気泡にはなかった振る舞いをするんだとか。

この特異な特性を利用して、様々な業界で実用化が進み始めているんだそうです。身近なところでは、洗濯機やシャワーなどに応用が進んでいて、社会的認知度も上昇中。おそらくみなさんもCMとかできっと見ているはずです。

様々な用途に

工作機械分野では、研削加工機の冷却液にウルトラファインバブルを使用することで、加工精度や加工スピードが大幅に改善する。機械部品の洗浄に使うことで、油分の洗浄効果が劇的に向上する。工場排水の水質浄化を効率化できる。といった成果が。

農業分野では、植物が摂取する水をウルトラファインバブルに代えることで、大麦の発芽の促進やレタスの成長が20%以上促進できたなどという話題も。医療分野でも、医療器具の滅菌において大きな成果を上げているようです。

何だか面白そうな分野です

実用化は着実に進んでいるようですが、一方で効果が発見されても科学的に説明できないこともあるようで、、、けどそういう世界って面白そうですよね。日本が圧倒的にリードしている、というか先導している分野であり、水と空気(の泡)で、洗剤(石油化学製品)等を不要にする。。。なんて、まさにSDGsに最適な技術です。

ちなみにリーディンがカンパニーと思われる「IDEC(アイデック)(6652)」って、昔の和泉電気さんなんですね。2005年に社名変更ですか。社会課題を解決する技術を持つ会社、株価にも注目しておきましょう。