千代田化工に1500億円支援 三菱商事

10連休最後の日の日本経済新聞の一面トップ記事です。三菱商事はプラント会社大手、千代田化工建設の経営再建を支援する方針を固めたとのこと。千代田化工は2019年3月期に大幅な最終赤字になる見通しだが、液化天然ガス(LNG)プラントの高い技術をもつ千代田化工の再建を支援していくそうです。

最終赤字は1500億円に拡大

千代田化工の2019年3月期の業績については、昨年から報道されていましたが、昨年11月時点では最終赤字1050億円とされていました。それが一気に1500億円まで拡大。主因は米ルイジアナ州で14年から工事を進めるシェール由来の液化天然ガス(LNG)プロジェクト「キャメロン」。記事ではハリケーンの復興需要によるとしていましたが、労働者不足を背景に人件費の単価が上昇し、約850億円の追加工事費用が発生したということです。

自己資本比率は18年3月末の37.5%から12月末に7.7%まで落ち込んでいるようで、自己資本比率の改善のため、33.4%の株式を保有する大株主の三菱商事が再度、再建に向けた優先株による第三者割当増資を引き受け、融資も実施するということです。

プラント事業の怖さ

千代田化工がこうした危機で支援を受けるのは3度目です。ということは過去2回についてはちゃんと再建したということ。今金融の世界で起きている危機とは全く異質のような気がします。記事にもありましたが、今後の液化天然ガス(LNG)プラントに関する将来性はかなり明るく、高い技術をもつ千代田化工の再建は日本のインフラ輸出戦略の試金石となるというわけです。

千代田化工は、クリーンエネルギーとして注目されているLNGの製造プラントにおいて48%という驚異的なシェアを持っているそうで、これほど世界ブランドとしての地位を確立している日本企業は今では珍しいですよね。しかし、そんなブランド企業でもこんなふうに業績が一気に悪化してしまうというのがこの業界の恐ろしいところです。

工期が長く、その間の原油、LNG市況の変動や、資材の価格変動、製造要員の人繰りなど、いわゆる受注案件の工程管理の難しさがこの業界のキモのようです。その工程管理能力を向上させるために三菱商事が乗り出し、さらに今回三菱商事流の管理を浸透させようということのようで、一昨年には三菱商事出身者が社長に就任しています。

三度目の正直

とまぁ、非常に難しい業界ではありますが、三菱商事の力の入れようからもこの業界の将来性は窺えるというもの。ESGの推進という環境の後押しもあり、同社の再建が成功するのか見守っていきたいと思います。一度目の再建場面では、kuniの友人のアナリストが当時ボロ株だった同社株を強く推奨していて、その後株価が大化けした記憶があります。今回も期待したいところです。頑張れ千代建。