浜松市の楽器大手ヤマハの30代の男性社員が、上司の男性役員による行き過ぎた指導で体調を崩し、1月に自殺していたことが20日、同社への取材で分かったとのこと。この記事は日本経済新聞で読みました。本当に同社に対して取材したのかどうか。薄っぺらな内容です。
報道の概要
自殺した男性は、課長職に起用された昨春以降、同じ部門の執行役員である50代の上司からパワハラ(「厳しい指導」と表現されている)を受け、去年6月頃から体調を崩し、精神科を受診していたようです。その後11月から休職し療養していましたが、1月に自ら命を絶ちました。
去年12月には、社内の通報窓口にパワハラを示唆する情報が寄せられていたということです。そして1月にこの社員が自殺。パワハラをしていた執行役員は2年ほど前に他社から移ってきた人らしいですが、男性の自殺後、出社しておらず、同社は3月末で退任させるとしています。
内部通報を受けて
内部通報があったのは12月とされています。そして亡くなったのが1月。それを機に執行役員は出社していないと。で、報道された(会社が事実を認めた)のは3月20日です。あと10日ほどリーク等がなければ、当案件、完全に闇に葬れたのに。そんなふうに見えてしまいます。
企業のガバナンスが非常に重要視される時代です。内部通報を受けて、会社としてどのような対応を取ったのか。この事件において、もっとも重要な事実が、どの報道を見ても明らかにされていません。
2/25付で「監査役員の新設並びに役員人事に関するお知らせ」が開示されています。この中で4名の執行役員の退任が公表されているんですね。そしてさらに、「監査機能強化のため、執行役員と同格の経営陣メンバーとしてヤマハグループにおける監査機能を担う監査役員を新設する。」としています。事件自体は公表せず、隠したままです。
ヤマハにとっては不都合な事実も含めて、第三者による適切な調査が行われることを期待しましょう。