8/10付け日本経済新聞に、「企業に問う『なぜ中国』 市場混乱、世界に警告」という記事がありました。本社コメンテイターの方が書かれている記事です。当ブログでも以前から指摘してきた、日本企業と中国の関係について論じた記事です。
中国に進出する意味
そもそも「中国に進出することの意味」が分からなくなってきていると思います。従来から言われてきた中国進出の大きな意味は二つ。「安くて豊富な労働力」と「巨大な消費市場」でしょう。
このうち前者の「安くて豊富な労働力」については、既にそう大きなメリットはなくなってきているといいます。では後者についてはどうでしょう。越境ECなど、日本で生産して商品を中国に売るという枠組みが十分整備されつつあります。中国に拠点を持つ意味合いは薄れてきていると思うわけです。
ガバナンスの観点で
当ブログでは、理研ビタミンを取り上げました。中国の連結子会社で会計不正が発覚し、すったもんだしましたね。他にも多くの企業が中国の子会社等で不正が発生し、日本からのガバナンスが非常に難しいことを示しました。ガバナンスの強化は当然コスト高を招きます。ガバナンス面でも中国に拠点を置くリスクが顕在化しているのです。
その後、理研ビタミンは不正を起こした中国連結子会社を手放しました。その報道を受けて株価は上昇、今でも高い水準を維持し続けています。投資家は既にそういう見方(いつまで中国なんだ)をしているということだと思います。
国際政治の大きな枠組みが大きな転換点を迎えていることは確かでしょう。密接だった米中の経済関係の分離がどこまで進むのか分かりませんが、日本企業は既に中国に拠点を多く保有しています。経営陣はこれらが仇になることのリスクを、もう少し真剣に考えるときなのではないでしょうか。