8/14 日本経済新聞で「デジタル社会を創る IT利用「負の循環」に終止符を」という社説がありました。グローバル化や少子高齢化が進むなか、社会の生産性を高めて付加価値を上げるにはデジタル技術の活用が不可欠としたうえで、それを妨げている現状を訴えています。
設備投資の中核に
社説にも書かれていたように、日本のIT関連投資は停滞してきました。ピークだった1997年から2割の減少だそうです。加えて、「そのIT投資の8割を古いシステムの運用や保守に使用しているのが実態」lという専門家の指摘もありました。いやぁ、これは耳の痛い話です。大企業の多くがそういう状況なんですね。
投資総額が少ないうえに、そのほとんどを古いシステムに使っているとなれば、米国や中国に置いていかれるのも当然ですわな。2025年にはこの構造が行き詰り、経済損失が膨らむとの指摘があるとしていましたが、社説ではこれ以上の深掘りはありませんでした。
2025年の崖 問題
「2025年の崖」、、、実はこれ、2018年9月に経済産業省が公表した「DXレポート」で指摘され、かなり話題になったお話なんです。DXは、デジタルトランスフォーメーション と読みます。で、このレポートでは、現状の課題を克服できなければ、「2025年以降、1年あたり最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある」と指摘しているんです。社説はこれを言いたかったんでしょう。
このレポートでは、DXとは新たなデジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること、と説明されています。一方この社説では、DXという用語はあえて使わず、デジタル社会という言葉で説明していますね。
このレポートが言っている克服しなければならない課題というのが、老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化してしまったレガシーシステムを放置していることです。そのためシステムの運行や保守に莫大なコストを費やすことになっているんですね。システム障害も増加します。加えて、このレガシーシステムの存在がDXの妨げにもなっているというわけです。
このような既存システムの刷新需要、かなり大きなものになりそうです。さらにシステムが刷新された後には新しいビジネスが生まれやすくなりますし、企業の経営改革も進むと思われます。米中には大きく引き離され、追い詰められた結果ではあるものの、ここから日本が再生する好機と考えるべきでしょう。