運転免許自主返納で電動アシスト自転車?

最近、運転免許証を自主返納した高齢者の電動アシスト自転車利用が増えてきているそうです。高齢者によるブレーキの踏み間違いで、多くの人たちが犠牲になってきたことを思うと、良い傾向です。。。と言いたいところですが。本当にそうなんでしょうかね。

自転車に轢かれそうになった

先週の日曜日、雨のせいでウォーキングをいつもより遅い時間にスタート。細めの歩道を歩いていたら、前から高齢者が乗る自転車が。kuniと電柱の間を上手く通り抜けようとしてるんですが、必死の形相でハンドル握りしめ、身体が硬直している様子。見ているこっちが怖くなって、何とかかわしました。

ブレーキとアクセルを踏み間違えている高齢者も、あんな感じなんだろうなと思いましたよ。ブレーキかけて、いったん止まるとかすりゃいいのに。「あの間をすり抜ける」ことに集中して、というか、他の選択肢を考える余裕がないんでしょう。意外にスピードも出てましたしね。

高齢者に新たな武器

運転免許の自主返納は良いんですが、それで新たに電動アシスト自転車は止めてほしいな。今度は堂々と歩道を走れるんですよ。調べてみると、電動アシスト自転車は、時速10キロまでは踏む力の2倍でアシスト、10キロから24キロまでは2倍から0倍までアシスト力が下がっていくように作られているようです。道路交通法で定められてるんですね。

乗ったことがないので、正確なことは分かりませんが、時速10キロ~20キロ近くまで、高齢者でも簡単に出せてしまうと考えてよさそうです。20キロともなるとかなりのスピードですよ。これで歩道上で無防備な人に突っ込んでこられたら、、、と考えると。これ、やっぱり立派な武器です。おまけに突っ込んでくる方はヘルメット着用してたりするし。

シンガポールでは、時速10キロに制限されていた電動キックボードですら、死亡事故が起きるなどで、事実上禁止されたそうです。

とまぁ、いろいろぼやいてきましたが、、、団塊の世代が作る最後のブームになるんですかね。こりゃどうにも止まりませんな。

高齢化 認知症 BPSD

日本経済新聞が行った小池知事へのインタビュー記事。先週の記事だったと思います。超高齢社会に備え、都内で認知症対策を加速する考えを表明されてました。

「これから東京で加速度的に高齢化が進む。認知症対策は重要な課題だ。認知症患者の9割が発症する、暴言や介護の拒絶などBPSDは症状を点数化、見える化する。データをつくって医者や介護福祉士など複数の職種による総合的なケアにつなげていく」

こんなことを語ってたんですね。BPSDという言葉は残念ながら知りませんでした。で、さっそくネットで調べてみました。

BPSD

認知症では、脳の病的な変化や病気などによる脳の障害により脳の細胞が壊れます。その脳の細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状を「中核症状」と言います。一方、中核症状によって引き起こされる二次的な症状を「行動・心理症状」や「周辺症状」と言います。ここまではkuniも知ってました。一応認知症サポーターなので。

この「行動・心理症状」や「周辺症状」のことは「問題行動」「迷惑行動」とも呼ばれていましたが、最近、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)という略語も使われているんだそうです。

具体的には、行動症状として攻撃的行動、徘徊、拒絶、不潔行為、異食などがあり、心理症状としては抑うつ、人格変化、幻覚、妄想、睡眠障害などがあります。小池知事はこれを点数化、見える化するとおっしゃってるわけです。

数値化、見える化

「不安」、「妄想」、「興奮など」各項目に分けて重症度を点数化します。点数が高い項目からその人の行動の背景や求めている支援を検討し、実践することが出来るんだそうです。これにより、ケアの優先度が誰にでも見えるようになり、具体的なケアの計画を立てて介護する人全員で共有することができます。

認知症の人は、普通の人にように自分の心の状態を言葉でうまく伝えられません。だからこそ、見守る側でBPSDを数値化、見える化して、認知症患者の心の不安、恐れ、寂しさなど心の状態を把握してあげることが重要ということなんですね。

心の状態を把握することにより適切な対応法が明らかになり、しかも誰もが実践し易いために、介護する職員のやる気も引き出せるんだそうです。

金融機関の高齢者勧誘ルール

3連休の日経電子版の記事に「その投信・保険、本当に必要? 高齢者でトラブル多く」というのがありました。この記事は電子版だけなんでしょうかね。このところのゆうちょ銀行、かんぽ生命の投資信託や保険の不正販売を受けた、高齢者等へ注意を喚起する記事です。

国民生活センターに寄せられた相談から、十分な説明を受けないまま契約に至った高齢者の取引事例が紹介されています。最近は国内金利の低下で円建て商品の提供が困難になってますので、当然、米ドルや豪ドルなど外貨建て保険の取り扱いが増加、これをめぐるトラブルが目立ってきているという内容。

高齢者勧誘ルール

日本証券業協会が高齢者取引のガイドラインを定めており、ほとんどの金融機関がこれに沿った社内ルールを整備しています。記事では以下のようなことが書かれていました。

「多くの金融機関が無理な販売に歯止めをかけようと社内規定をつくりながら、現場で徹底していない現状が明らかになった。保険商品の内容を複数回にわたって説明するルールを設けている金融機関は78%だった一方、実施率は61%にとどまった。69%の金融機関で親族の同席を求めるルールがあるのに、実行に移されている割合も30%と低調だった。」

これはちょっと読む人を誤認させかねない書きぶりですね。複数回に分けて説明するルールを設けても、顧客が強く要望する場合はやむを得ず一度の説明で済ませてしまうこともあるでしょう。親族の同席についてはより深刻で、高齢の顧客がその資金の運用について、親族に知られたくないという方は少なくありませんし、同席すべき親族がいらっしゃらない方だっていらっしゃいます。

そういう高齢の顧客が一定程度居るため、これらのルールはマストにはできないんですね。おそらくどの金融機関でも、顧客がどうしてもそう希望される場合は、その証跡を残すことで例外的な対応をすることを許可していると思います。

しかしながらこの記事では、例外対応等には言及することなく、単に「金融機関自身が設けた社内規定を全然守っていない」ように伝えてしまっているわけです。高齢者を保護することは大切ですし、不適切な勧誘をしている金融機関があることも事実ですが、もう少し丁寧な(正確な)記事を書いてほしいものです。

金融庁 老後2000万円問題 想定以上の効果

昨日、公取委を取り上げましたので、本日は金融庁を。老後2000万円問題、国会で散々もめた末に、参院選の争点になってしまいました。何ともくだらないことを、、、と思いながら見ていた人は少なくないと思います。こんなことしか争点にできない野党って、残念でしょうがないです、ホント。

金融庁にとっては自身でも想定外の効果

ここで少し整理しておきます。問題となったのは6/3に公表された、金融審議会 市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書です。皆さんも時間があったらご覧になってください。kuniは読んで何の違和感もありませんでした。

思いもよらない大炎上になってしまい、とうとう金融庁企画市場局長が謝罪するという結果になってしまいました。役所の機能からすれば、与党を窮地に追い込み、確かに残念なことになってしまったわけですが、彼らの目的とするところについては、想定以上の効果が得られたのではないかと思います。

金融庁は個人に対して、資産形成に対する意識を高めるべく、様々なことに取り組んできましたが、その効果はそれほど感じられませんでした。今回の大炎上は違ったようで、このことで明らかに多くの国民が、自分の老後に備えた資産形成のことを考え始めているようです。

6月に入って、金融機関等が主催する資産形成セミナーは応募が殺到しているそうですし、大手のネット証券ではIDECOの申し込み件数が報告書発表前の2倍近くに急増したとか。まぁ、言ってみれば副作用で野党を勢い付かせてしまいましたが、金融庁が企図した長期資産形成の勧めに関しては、期待した以上の反響があったわけです。

まとめ

老後2000万円事件をきっかけに、日本ではなかなか根付かなかった、投資や運用に関するリテラシーが大きく向上してくれるのではないか。正直なところkuniも期待しているところです。金融庁はこれまで、個人の資産形成を阻害してきた金融機関の営業姿勢を是正させるべく、フィデューシャリー・デューティーや顧客本位の業務運営を浸透させてきました。

顧客の資産形成に向けた主体的な行動を補う仕組みとして、「第三者による金融機関の業務運営の評価(例えばR&IによるFD格付など)」や「顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化(IFA)」なども支援してきました。

そして今回の老後2000万円問題が、とうとう「顧客の主体的な行動」を誘発することとなったわけです。『「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組み』で示した工程表通り、、、結果的に勝者は金融庁かもしれませんね。

ゆうちょ銀行、高齢者向け投信で不適切販売

ゆうちょ銀行が勧誘時の健康確認を怠るなど、不適切な手続きで高齢者に投資信託を販売していたことが分かった。と、日本経済新聞は6/15に伝えました。18日には定時株主総会が開かれ、社長が冒頭のあいさつで「守るべきルールが順守されていなかった点を厳粛に受け止め、深く反省している」と述べたそうです。

ゆうちょ銀行HPには何もなし

円滑に運営し、すべての議案を可決させてほしい株主総会ではお詫びして見せたものの、ゆうちょ銀行のホームページではこの件について一切触れていません。念のため、この報道から一週間待ってみましたが、やはり何も知らせるつもりはなさそうです。

この報道があったのち、株式市場は米国の利下げ観測を材料に反発しましたが、ゆうちょ銀行は反発の気配なし。上場来安値の更新をうかがっている状況です。コーポレートガバナンス体制、コンプライアンス態勢、お客様本位の業務運営に関する基本方針に、その取り組み状況。美しいお話がそこら中に掲載されていますが、肝心な顧客と正面から接するという姿勢がない。そんな感じです。

不適切な対応とは

日経が伝えている不適切な行為というのは、以下の2点です。

①社内で定めた書式を使っていない
②勧誘時に行うべき健康状態の確認を購入の申し込み時に一緒に実施

①についてはよく分かりませんね。日本証券業協会が定めたガイドラインでは、75歳から79歳までの顧客と、80歳以上の顧客で違ったルール(手続き)を定めています。「書式」というのは、例えば80歳以上の顧客なのに、手続きが比較的シンプルな75歳から79歳までの顧客用の書式を使用していた。みたいなお話でしょうか。

②についは、本来、顧客の健康状態の確認を商品の勧誘を行う前に実施することになっているんですが、商品を勧誘し、購入することを決めた後に行っているというものです。ここでいう健康状態の確認というのは、高齢のそのお客様に認知症等の兆候が見られないか、投資信託の商品性やリスクについて理解でき、そのうえで投資を判断できる状況か、、、と言ったことを確認する作業です。

そのため、商品やリスクを説明し、顧客が「じゃぁ、買ってみようかしら」という判断をしてから、健康状態の確認をしても意味がないわけですね。この②については日証協の高齢者ガイドラインに抵触しています。①については何とも言えませんが、②のルールが守れない組織が、あらかじめ日証協のガイドラインより厳しい自社ルールを作るとは到底思えません。おそらく①についてもガイドラインに抵触していると思われます。

何も変わってないみたい

何年前だったか忘れてしまいましたが、彼らが金融庁検査でかなりたくさん指摘を受けた際に、コンプラの方が改善に向けての施策等について相談に来られたことがありました。「そんなことも出来てないの?」というレベルでしたが、あれから何も変わっていないみたいです。金融機関の中で圧倒的なアドバンテージを持っているのに、、、もったいない話です。