毎月分配型投信が人気回復? 地銀における顧客本位の業務運営(2)

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)は、その後も残高が増え続けているようで、9/26時点で8185億円となっています。日経の記事で紹介されていた8月末時点から500億円の増加ですね。

9月は中間期末、各金融機関は何とか収益が欲しい場面です。また、この商品は販売する金融機関が非常に多く、証券会社が37社、銀行が58行となっていて、各社とも困ったときにはもってこいなんですね。

ネットで検索してみると

この「商品名」と「投資信託販売ランキング」で検索してみました。出てきた金融商品取引業者のホームページで、投資信託の8月の販売ランキングを見てみるとやはり想像していた通りの現実がありました。

まず、最も嫌な予感があったスルガ銀行。やはりピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)が販売金額ランキングトップになっています。前月比横ばいの表示になっているので、7月もトップだったということでしょう。他にも日経で紹介されていた純資産残高9位のラサール・グローバルREITファンドが3位に入っています。何も変わってないですね、この銀行。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)が販売金額ランキング上位になっている地銀は、十六銀行(1位)、山形銀行(2位)、北海道銀行(1位)、足利銀行(2位)、大分銀行(2位)、福岡銀行(1位)などが出てきました。ちなみに、山形銀行と大分銀行は7月販売分が1位のようです。

あくまで、検索結果で上位表示された銀行を見てきただけで、チェックした地銀の半分以上がこんな具合でした。メガバンクや証券会社ではこういう状況はみられません。金融庁の毎月分配型投信への批判のトーンがダウンしたこと、逆に稼げない銀行には金融庁からキツイ指導が入るという危機感が増してきたこと。。。

こんな状況で、なりふり構わず、収益第一で走らされてるんでしょうね。経営者たちは気付いてるんだろうか。

毎月分配型投信が人気回復? 地銀における顧客本位の業務運営

少し前になりますが日本経済新聞に「投信、毎月分配型が人気回復 実力を見極めるには?」という記事がありました。毎月分配型投信は5月から4カ月連続で純資産が増加しており、8月末の投資信託の純資産残高上位10本のうち8本が毎月分配型とのこと。

毎月分配型投信には需要がある?

金融庁の強力な指導の下、大きく残高が減少していった毎月分配型投信でしたが、ここへきて復活してきたようです。高齢者にとって毎月収入があるというのは魅力であり、顧客ニーズはある。営業員たちは必ずそう言うんですね。確かにそういうキャッシュフローの金融商品に対するニーズはあるでしょう。

ただし、それはあくまで毎月分配金が受け取れることに対するニースであって、その原資が何に投資されているかとか、高い手数料とかに対して十分な理解を得たうえでのものかどうかが重要です。多くの場合、これらについて高齢者は営業員任せで理解していません。

今でも元本を取り崩して分配(いわゆるタコ足)していることを理解していない顧客もいるのではないかと思います。顧客のニーズではなく営業員のニーズであることが多いんですね。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)

8月末時点での純資産残高1位は、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)で、7657億円。6~8月の3か月間で1078億円の増加となっています。この商品なんかも、先ほどの注意点が理解されているとは思えない商品です。

販売時手数料は3.24%(税込み)で、信託報酬等が1.8%程度の商品です。要するにこの投信を購入して1年間運用した時点で、顧客が支払う手数料等は5%に及びます。この低金利の時代に5%ですよ。販売した業者には手数料と、信託報酬の半分程度が入ってきますので、1000万円販売したら約40万円の収益、、、とまぁ、非常においしい商品なんです。(販売手数料は販売業者により差異があります)

このように、顧客本位とは言えない投信販売がまた復活し始めたのでしょうか。長くなりましたので、、、続きは明日。

かんぽ生命 日本郵便 金融庁立ち入り検査

9/11付の日本経済新聞は「かんぽ『過剰ノルマ』焦点 不正問題 金融庁きょうから検査 経営体制の大幅見直しも」と報じました。日経は「過剰ノルマ」が焦点だと書いてますが、そうでしょうかね。ほとんどの金融機関がノルマ廃止に舵を切っているのに、いまさらでしょう。

検査の焦点は経営

kuniとしては検査の焦点は経営陣だと思っています。営業現場の実態を経営はどれほど知っていたのか。そこで行われていた営業の実態と、その違法性に関しての認識はどうだったのか。さらに、認識があったのなら、認識した時期はいつか。

特に日本郵政がかんぽ生命株式を売り出した4月当時にどういう認識だったのかについては重要になるわけですが、、、落としどころは「認識したのは4月以降」ということになるでしょう。そうなれば逆に、経営陣は不正が発覚するまで認識できていなかったということになります。

4月の売出しに関してはお咎めなし。発覚に至るまで不正の状況を把握できず、放置して法令違反や顧客本位とは到底言うことのできない業務運営を繰り返してきたことについて、経営陣の責任を問う。こんなシナリオですかね。ところで、日本郵便には通話録音システムとかあるんですかね?これがないと金融庁の検査官も裏取りとか大変だろうね。

日本郵政株式 第3次売却

今年の冬以降となる公算が大きくなったとされている第3次売却。政府が復興財源と見込む売却額を手にするためには、1132円の株価が必要だそうです。938円まで下げた株価は、9/11に久し振りに1000円を回復、昨日は1024円。

日本郵政並みにだらだらと下げ続け、640円ほどの株価を付けていた株が、今週、社長解任のニュースで一気に上昇に転じました。9/11には720円辺りまで。わずか一週間ほどで12.5%の値上がりです。もうお気づきだと思いますが、日産自動車です。

日本郵政もそう。金融庁検査でバッサリやられ、経営陣の交代を発表。これがベストシナリオですね。その時もし1000円近辺で株価が推移していて、12.5%急騰すると、株価は1125円。政府の希望価格にほぼ手が届きそうです。

かんぽ生命 全顧客に意向確認 2900万件

7/15付け日本経済新聞の記事です。「かんぽ生命保険で多数の不適切販売があった問題で、同社と販売を受託している日本郵便が、すべての契約者に保険の契約内容が希望に合っているかなどの意向を確認することが分かった」と伝えています。

手紙の送付や直接訪問を通じて、顧客と一緒に内容を確認する。意向に沿わない契約だったと申し出があれば、契約時の状況を確認し、場合によっては取り消しや保険料の返還などに応じるとしています。

契約件数 2900万件

全契約件数は2900万件に上るとも書かれています。ものすごい数ですね。契約者数とイコールではないでしょうが、意向確認の作業、大変な業務不可になりそうです。かんぽ生命のホームページでは、「かんぽ商品に係る当面の業務運営について」というプレスリリースが出ています。7/14付け、日曜日ですね。

「当面の間(7~8月)は、お客さまからのお問い合わせ、ご訪問依頼に最優先で対応させていただきます。 また、お問い合わせ等のないお客さまに対しても、ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げるとともに、今後ご通知等を通じてご契約内容の確認等を行わせていただきます。」とあります。

顧客側から問い合わせや訪問依頼があった場合は、電話や訪問により意向確認等を実施し、なかった顧客に対しては通知等(郵送)で意向確認するということですね。

契約の取り消しや保険料の返還

ホームページのプレスリリースを受けて、日経の取材に応じたんだと思われますが、日経が書いている「意向に沿わない契約だったと申し出があれば、契約時の状況を確認し、場合によっては取り消しや保険料の返還などに応じる」というくだりは、ホームページでは確認できません。メディアには良いこと言って誠意を見せるが、ホームページの顧客向けメッセージには載せないってのはいかがなものでしょう。

また、日経の記事には、「新契約を減少させる影響があるが、販売費用の減少も見込まれるため、現時点で業績予想は修正しないとしている。」と書かれていますが、この業績予想に関するお話もホームページにはないんですね。

「新契約の減少と販売費用の減少が相殺する」という前提もかなりいい加減な話で、9月辺りに業績予想の下方修正を迫られるのは間違いなさそうです。何もかもが後手後手になっています。そして、今後の業績に関する見通し等を、一部のメディアに対してのみ提供するという脇の甘さも、、、。なんだかねぇ、これからもまだまだメディアを賑わせそうです。

三井住友信託の投信販売 R&Iが「S」評価

6/27付け日本経済新聞の小さな記事です。「三井住友信託の投信販売を評価 R&I、2番目の『S』」というのがタイトルです。格付投資情報センターのR&Iが、三井住友信託銀行の投資信託の販売姿勢の評価を「S」に格付けしたと発表しました。「S」は5段階評価で2番目に高い評価で、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー=FD)の観点から「多くの優れた要素がある」と判断したとのこと。

半年ぶりの第2弾の公表

記事としてはこれくらいのことしか書いてなくて、三井住友信託さんには非常に気の毒というか、、、。おまけに、2番目の評価と書いていますが、最上位の「SS」は未だ取得した販売会社はありません。そのくらいは書いてあげないとね。実質的には最上位の格付です。

今回の発表は第2弾にあたり、前回の発表が昨年12月ですから、半期に一回のペースで開示していくんですかね。せっかくですので、第1弾で発表された販売会社を載せておきます。

「S」評価の販売会社
野村證券、福岡銀行、みずほFG、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、三井住友FG、三井住友銀行、SMBC信託銀行、

「A+」評価の販売会社
いちよし証券、伊予銀行、大和証券、北洋銀行、丸三証券、SMBC日興証券

「A」評価の販売会社
四国アライアンス証券

評価の概要と手続き

銀行、証券会社などが、いかに投資信託の販売において「顧客本位の業務運営」を行っているか、その取組方針や取組状況を依頼に基づき、中立的な第三者の立場から評価します。投資信託の購入に際してアドバイスを必要としている個人投資家が販売会社を選ぶ際に、この評価を参考指標として利用することを想定しています。(R&IのHPより)

この概要の中にもあるように、この格付は販売会社からの依頼(もちろん有料です)に基づき評価されます。そのため、各社ともそれなりに高い評価が得られるという自信のある販売会社だけが格付けの依頼をするものと思われますし、低い評価結果がないのはそのためだじゃないかと思います。

アドバイスを必要としている個人投資家のためになる情報提供を目指しているわけですから、「評価結果の良くなかった販売会社は公表しない」ということではないと思うわけです。しかし、そう考えると第一弾が発表された後、格付けの依頼をした販売会社が三井住友信託1社だったということになりますね。これも少し考えにくいなぁ。

格付の依頼って結構お高いですし、依頼すると必要な資料等の請求があって、この資料の提出も事務方にはかなりの負担になります。だから、思ったほどに依頼が集まっていないのかも。などと推測しますが、、、R&Iさん、こんな感じなんでしょうか?

*** あとから追記 ***

6/28付でR&Iが追加発表しています。横浜銀行は「A+」、横浜銀行の子会社である浜銀TT証券は「A」の格付けが付与されました。