SBI SBIソーシャルレンディングの取り扱いファンド 損失補填

SBIホールディングスは4/2、子会社のSBIソーシャルレンディングの取り扱う一部ファンドにおける、未償還元本相当額の償還に向けた取り組みの開始についてを公表しました。ソーシャルレンディング貸付先の事業運営に重大な懸案事項が生じている可能性が認められ、第三者委員会を設置していた件ですね。

事案の概要

SBIソーシャルレンディングのソーシャルレンディング貸付先の事業運営に、重大な懸案事項が生じている可能性が認められたとしていますが、詳細については今のところ分かりません。今回の開示で、「投資家に出資いただいたファンドの一部について、その取得勧誘にあたり結果的に金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」としています。

出資対象事業持分取引契約に関する事項や、同運営に関する事項、経理に関する事項といった、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる事項について虚偽の説明等があったということでしょうか。今のところ、「金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」としか、、、。

損失補填

この業界では顧客の損失を補填することは、約束することも、実行することも禁止されています。金融商品に関する公正な取引、円滑な流通、公正な価格形成等を確保することを目的としたルールです。投資家が安易な取引をすることにより、投資家の自己責任原則が害されるという考え方ですね。

ただし、例外があって、金融商品取引業者(証券会社やソーシャルレンディング会社)が不適切行為や違反行為を行うことで実行された取引については、証券事故として扱われ、業者による損失補填が可能になります。

SBIは第三者委員会の結論を待つものの、現段階でも証券事故である可能性が高いとして、この損失補填を行う予定だと公表したわけですね。

すてきナイスグループ 元会長ら3人を逮捕 第三者委員会報告書も

東証一部上場のすてきナイスグループの粉飾決算事件で、横浜地検が同社元会長の平田恒一郎ら3人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕しました。また、逮捕前日の7/24には、同社が設置していた第三者委員会の報告書も公表されています。

不正な売り上げ計上

報道では、在庫物件などを会計上の子会社に売却する形で、約30億円の不正な売り上げ計上があったと報道されていました。第三者委員会の報告書を読んでみると、ここで会計上の子会社とされている会社は、元会長が個人的に100%株式を保有する会社で、ナイスグループとは全く関係のない別会社の子会社です。

ちょっと分かりにくいですね。平田恒一郎氏が100%保有する「エイワ設計株式会社」という会社があり、その100%子会社に「ザナック設計コンサルタント株式会社」(以下、ザナック)という会社があります。このザナックという会社が約30億円の在庫物件を買い付けた会社です。

資本上はナイスグループと一切関係ないわけですね。報告書ではこの会社をグループ外支配会社と呼んでいます。また、このザナックが買い付けに投じた30億円は、実はナイスグループから融資された資金。資本関係はないが、平田恒一郎氏が支配する会社を舞台に、在庫物件を売却して、会計上認められない売り上げを計上し、利益も上げていたということです。

おまけにこの平田恒一郎氏、「エイワ設計株式会社」の株式を100%保有しているにもかかわらず、株主名簿上では他人の名義にしていたとのこと。ナイスグループや同氏と関係があることが外形上分からなくして、いろいろと裏取引みたいなことをしてきたようです。

創業家の強い影響力

創業家の二代目であった平田恒一郎氏。筆頭株主であり、ナイスグループ内では圧倒的な影響力を持っていたようです。役員等の人事権も当然掌握してます。スルガ銀行の件と同じですね。ザナックとの取引が通常の取引とは思えない、何か問題があるのではないかと懸念したとしても、取締役をはじめ、役職員がこれをけん制することはできなかったと見ているようです。

監査役 会計監査人

監査役にもザナック案件について、事前には情報が届いていなかったようです。かろうじて期末監査の際(つまり事後的に)ザナック案件を知り、会計上の疑義を持ち、会計監査人に相談をしています。ところが、会計監査人は「会計上の問題はない」という回答をしているみたいです。監査役および会計監査人が、ザナックを実質的に支配しているのはナイスグループであることについて、どこまで知っていて判断したのかに関しては、報告書からは読み取れませんでした。。。長くなってきたので、今日はここまで。