マニュライフ生命保険株式会社 金融庁の行政処分

金融庁は7/14、「マニュライフ生命保険株式会社に対する行政処分について」を公表しました。行きすぎた節税が問題となっていた「節税保険」を巡り、マニュライフ生命保険に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出したという発表ですね。

マニュライフ生命保険

マニュライフ生命保険は、東京都新宿区に本社を置き生命保険業を営む企業です。カナダに本拠を置き、主にカナダ、米国、アジアを中心に事業を展開する大手金融サービス業マニュライフ・ファイナンシャルグループに属しています。同社はカナダの国策として設立された会社と説明されることがしばしばあるそうです。

行き過ぎた節税

問題視されたのは「名義変更プラン」と呼ばれる商品です。解約時の返金率が低いうちに契約者の名義を法人から個人へ変更し、返金率が高くなった時期に解約し、通常の所得より税負担が軽い「一時所得」として返戻金を受け取る仕組みなんだそうです。

万一の事態に備える保険本来の趣旨を逸脱した、商品開発や募集活動が繰り返されていたといいます。マニュライフ生命の前最高経営責任者(CEO)をはじめとする旧経営陣が主導し、「名義変更プラン」を開発・推進していたと指摘しています。

やはり外資系

生保各社はこれまで税制上の抜け穴を探し、企業経営者向けに節税保険を開発しては潰されるということを繰り返してきました。もちろんその他の生保も似たようなものだと思いますが、最後まで推進していたマニュライフが処分の対象になったということでしょう。

保険のことはあまり詳しくないけど、外資系って行政の注意喚起や指導に対して、そう簡単に言うことを聞きません。コンプラそっちのけで期間利益を稼ぎまくり、当局に刺されるときには主導者は転職済み。金融の世界ではよく見る光景です。

東邦化学工業 ニイタカ 中国連結子会社の行政処分

少し前のことになりますが、東邦化学工業は5/6、「当社連結子会社に対する行政処分について」を公表しました。同社連結子会社である東邦化学(上海)有限公司は、中国上海市金山区応急管理局から 4/30付で生産停止命令を受けました。これよりも前、4/21にはニイタカでも同様のことが。

東邦化学工業

東邦化学工業は東京都中央区に本社を置く、界面活性剤、樹脂、化成品、スペシャルティーケミカルなどの化学製品を製造・販売する、東証2部上場の企業です。同社の連結子会社である東邦化学(上海)有限公司が現地で行政処分を受けました。

4/29、国務院安全委員会事務室査察グループの安全生産に関する査察があり、ガス検知器の不足等、4つの重大な潜在的危険を含む法規制違反や要改善事項の指摘を受け、4/30付で生産の一時停止を命じられたとのこと。

停止を命じられた生産の範囲は、東邦化学(上海)有限公司における生産の全てとしています。また、停止期間は4/30から、査察における指摘事項の改善状況を政府関係当局が確認し、生産を許可するまでだそうです。

ニイタカ

ニイタカは大阪市に本社を置く、フードビジネス業界向けの業務用洗剤・洗浄剤および固形燃料などを製造・販売する、東証1部上場の企業です。

同社連結子会社である、新高(福建)日用品有限公司において製造する料理用固形燃料が、中国国内で法的規制のある危険化学品に該当すると指摘を受けました。そのため、同子会社の工場における料理用固形燃料製造設備の操業を停止したといいます。

同社では行政処分という言葉を使っていませんが、東邦化学と同じ処分のようです。いずれも市の応急監理局からの指摘で生産停止に。両社とは直接関係ありませんが、北京市の応急管理局が「危険化学品の安全生産作業を全面的に強化し、市内の危険化学品の安全を確保」という通達も出しているようです。同様の処分が今後増加するかもしれませんね。

第一商品(8746) 行政処分に関するお知らせ

経済産業省及び農林水産省は、8/7、商品先物取引法に基づく商品先物取引業者である第一商品株式会社に対し、商品先物取引業の停止を命じるとともに、商品先物取引業の運営の改善に必要な措置をとることを命じました。第一商品も同日、お知らせで事実を開示しています。

経済産業省及び農林水産省

商品先物取引法は詳しくなくて、商品先物取引業者に対する行政処分の内容をしっかり読むのは今回が初めてです。業者が「監督官庁」というとき、農林水産省と経済産業省のことを指しているんですが、業者に対する検査や、その結果に基づく行政処分についても共同で作業するようですね。

行政処分の内容

行政処分を受けた原因は、当ブログでも取り上げてきたように、月次報告書や事業報告書に過大に計上した資産を記載し、主務大臣に提出していたこと(法令違反)です。

で、処分の内容が、「商品先物取引業の停止20営業日(令和2年8月17日(月)から9月11日(金)まで)」という業務停止命令。併せて、法令違反行為の発生原因について調査分析し、その結果を踏まえた再発防止策などを求めています。こちらは業務改善命令です。

第一商品は

主力事業を日産証券に譲渡し、本店以外の支店を閉鎖(日産証券への譲渡含む)、244名いた役職員のほとんどを同証券に異動させてしまった第一商品。もうほとんど箱だけしか残っていません。業務停止命令の前に業務はほぼ止まっていますよね。

業務改善命令にしてもそうです。主力事業がなく、実働部隊も他社に移したわけですから、。。。命令の締めの言葉「全役職員に対し法令遵守を徹底させること」というのもなんだか空しいものがあります。

まぁ、そもそもの違反行為というのが、取締役などが関与した不正会計なわけですから、改善すべきは取締役の法令順守や取締役会、監査役の機能向上にフォーカスすればよいということなんでしょうが。。。

FXプライムbyGMOに対する行政処分の勧告 GMOフィナンシャルHD(7177)

証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、FXプライムbyGMOに行政処分を行うよう勧告しました。著しく事実に相違する表示のある広告をする行為が行われていたということです。

法令違反の概要

同社が提供する店頭外国為替保証金取引の取引ツールに係るシステムは、成行注文の場合、顧客が発注した時点から約定処理がなされる時点までの間に為替相場の変動が生じた場合、発注時点の価格と実際の約定価格との価格差(スリッページ)の発生を排除できない仕様となっているそうです。

このことを取締役や法務コンプライアンス部長等は認識しており、顧客からスリッページが発生しているとの情報も寄せられていたようです。そしてさらに、同社が調査を依頼した外部の調査会社であるA社の調査結果においても、実際には当社システムにおいてスリッページが複数回発生していたことが確認されていたとのこと。

にもかかわらず、ウェブ広告等の中に、「スリッページなし(0%)、A社調べ」という、著しく事実に相違する記事を掲載していたというものです。この行為は、金融商品取引業の実績に関する事項について、著しく事実に相違する表示であり、金融商品取引法第37条第2項に違反する行為です。

ちょっと勘違い?

今回の行政処分の勧告について、同社の親会社であるGMOフィナンシャルホールディングス(7177)は、8/4、「当社連結子会社(FXプライムbyGMO)に対する行政処分の勧告について」を開示し、顧客や株主に対する謝罪を行っています。

その中でこんな一文が。「「FXプライムbyGMO」は、証券取引等監視委員会より、著しく事実に相違する表示のある広告をする行為が認められたとして、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づく勧告を受けました。」。

監視委員会の勧告は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行うものですので、同社が勧告を受けたわけではないんですね。ここはちょっと勘違いかと。

電話勧誘販売業者 株式会社広報堂 に対する行政処分について

消費者庁は、電話勧誘販売業者である株式会社広報堂(本社:東京都港区)に対し、3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部を停止するよう命じました。自分の作品を褒められたり、社会のために役立つなどと言われ、うれしく感じる気持ち、心理などにつけ込んだ手口で、 「褒め上げ商法」と呼ばれるものです。

承認欲求につけ込む

最近、承認欲求という言葉をよく聞きます。「周囲から認められたい」、「自分を価値ある存在と認めたい」という欲求ですね。日本人には特に強い欲求のようで、様々な行動が承認欲求に基づいているといわれます。今の時代は個々人が簡単に情報発信できるようになりましたから、なおさらでしょう。

その承認欲求につけ込んで、「あなたの作品、素晴らしいですね」、「是非〇〇新聞に掲載しましょう」。と電話で勧誘され、数十万円というお金を振り込ませるのが一般的な手口のようです。

消費者庁の処分内容によると、褒め上げる対象の主なものは、短歌、俳句、絵画等の作品ということです。「年金受給者である消費者に対し、その年間の収入等に比して高額に及ぶ本件役務提供契約の締結について勧誘をし、顧客の財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っている。」といった指摘がされてますので、基本的には高齢者を狙っているようです。

実は昔から・・・

まさに最近生まれた商法かと思いきや、実は意外に昔からある手口のようです。日本経済新聞の過去のニュースでは、2011/8/9付で「消費者庁がアートライフ、現代通信、東宝堂、東広通信、アドクリエイトの5社に対して9カ月の一部業務停止命令を出した」なんてのが出てきます。

今も昔も、周囲から認められたいという欲求に変わりはないということですね。kuniなんかもこうしてブログなんか書いてると、多くの方に読んでもらいたいわけで、、、騙されてしまう気持ちよく分かります。気を付けないと。