ユニデンホールディングス 監査役会が監査報告書で意見表明(ダメ出し)

ユニデンホールディングスは6/1、「当社第56期事業年度に係る監査役会の監査報告書における監査報告及びそれに対する当社取締役会意見に関するお知らせ」を公表しました。海外の子会社で収益を水増しするための不正会計が行われていた、あのユニデンです。

監査報告書

監査報告書は株主総会で報告される事業報告や決算関係書類について、監査役が監査を実施し、特段の問題が認められなかったことを株主に報告する書類です。が、この事業報告等に、「問題あり」と監査役会からケチを付けられた格好なわけです。

問題だとしているのは以下の3点です。

①事業報告において、不適切会計やそれに対する再発防止策の実施状況など、一切の記載がないこと
②監査役会が重要な会議と考える会議体への参加を、CFOにより拒まれていること
③内部統制システムの構築及び内部監査部門の強化は、同日時点で未だ実現されていないこと

以上3点に対して、取締役会としては「①監査法人が無限定適正意見だから問題ない、②決して拒んだりしておらず、取締役の職務に問題はない、③内部統制の強化を進めており、今後も対応していく」といった反論をしているわけです。

水掛け論にしか見えませんし、外部の人間が、公表されたこの相反する主張を読んでも判断のしようがありません。まぁ、それでも、執行側の緩さと、監査役会の飛躍した主張は少々感じました。皆さんも読んでみてください。

常勤監査役

会議体への参加を拒まれているという常勤監査役は、創業者付き顧問だったといいます。昨年9月、会計不正の責任を取るようなタイミングで、創業者の代表取締役会長が退任しているんですが、その番頭さんだったみたいですね。「天馬」や「ひらまつ」のように、ここでもまた退任後の創業者が登場しようとしているのでしょうか。

サクサホールディングス 監査役の交代

サクサホールディングスは5/17、「役員等の異動および組織改正に関するお知らせ」を公表しました。役員の異動については、監査役が交代するということのようです。別になんてことない開示なんですが、なにせ同社グループは架空取引も含む不適切な会計処理等で話題となっただけに、、、。

新任監査役

今さらながらですが、監査役は取締役の指示命令から独立して、会社の本来の持ち主である株主の立場になって、会社が健全に経営され、株主に不利益なことが行われていないかを管理監督します。つまり、同社が起こしたような不祥事をいかに防止するか、発生した場合にはいかにして速やかに発見、是正するか。が、求められるわけです。

今回、同社が公表した新任監査役は、現総務⼈事部⻑さんです。サクサ株式会社では執⾏役員 管理統括本部⻑ 兼 総務⼈事部⻑だそうです。監査役の候補になられるわけですから、グループで発生した会計不正等には関与されてなかったんでしょうが、ホールディングスでは役員経験ないみたいで。取締役にビシッとモノが言えるんだろうか。少々気になります。

上がりのポスト?

総務人事部長さんから監査役。ご自身が関与されてきた部署等で何か問題が出てきたときは大変ですよね。特に総務部などは会計不正、人事部ではハラスメントなど。何かしら出てくるものです。何か問題があった場合も、適切に対処していただきたいものです。

監査役というポストは、よく上がりのポストとして使われます。部長まで、執行役員までやってきて会社に貢献してきたので、上がりのポストとして監査役に。ガバナンスが重要視される今の時代でもまだまだ残っていると思います。

サクサホールディングスにおいては重大な不祥事を起こした直後ということもあり、上記のような上がりのポスト的な異動でないことを祈りたいものです。監査役というポストについて、同社の執行部がどの程度重視しているか。ココ、非常に重要です。

COTA(コタ:4923) 監査役の不正行為

コタ株式会社は1/26、同社監査役が複数年度にわたり、会社の資金約5,670千円を私的に流用していたことが社内調査において発覚したと公表しました。発覚を受け同監査役に確認したところ、事実である旨を認め2021年1月25日付で監査役を辞任したとのこと。

監査役の不正行為って?

金額自体はそれほど大きなものではありませんが、監査役の不正行為というのは珍しいですね。もちろん、結果的に監査役の不法行為が問われるケースは少なくありません。いわゆる善管注意義務違反などですね。まず取締役の責任が問われ、それを看過したことに対する監査役の責任を問う、というのが定番じゃないでしょうか。

行為の概要

2011年6月から2021年1月の約9年半にわたり、会社の資金約567万円を監査役が不正に支出し、監査役が私的な旅費等に当該資金を流用していたということです。なるほど、そういうことなんですね。

この監査役、2010年6月に常勤監査役に就任していますから、就任2年目から不正を行っていたようです。現地に足を運ばない「カラ出張」を繰り返し、旅費交通費名目で会社の資金を詐取していたということですね。

新型コロナウイルスが感染拡大している状況下にもかかわらず、「セミナー名目」の出張申請が多いことに関係者が疑問を持ち発覚したそうです。

会社法第388条

会社法第388条は、監査役がその職務の執行について監査役設置会社に対して必要な費用を請求をしたときは、会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。。。と定めています。

これを悪用したんですね。9年半で567万円。年間60万円ほどですから、会社も気付かなかったんでしょう。第3四半期決算の業績に、監査役に関係する旅費交通費及び退職慰労引当金繰入額等を合算した約3442万円の戻し入れを行うそうで、、、思わぬところでコロナ効果ですか。それにしても監査役が、、、情けない。

監査役 監査委員 監査等委員

なんでこんな名称になったのか・・・。日本の企業の経営層に関する記事では、この3種類の名称が出てきます。いずれも取締役等が適切に会社運営を行っているかどうかを監査するという機能は同じです。ではどのように違うのか、まずは大雑把に理解しておきましょう。

3種類の機関設計

現在の日本の上場企業には、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社の3種類が存在します。そしてその会の構成メンバーがそれぞれ、監査役、監査委員、監査等委員ということになるわけです。

監査役会設置会社・・・・・監査役会・・・・・監査役
指名委員会等設置会社・・・監査委員会・・・・監査委員
監査等委員会設置会社・・・監査等委員会・・・監査等委員

こんな感じです。指名委員会等設置会社の場合は、他に「指名委員会」、「報酬委員会」も設けられていて、3つある委員会のうちの一つという位置付けになります。こうした3種類の機関設計があるため、企業によってその呼び名が違ってくるわけですね。

最も大きな違い

監査役、監査委員、監査等委員の責務や権限など、会社法では細かく定められていて違いはあるんですが、実際の業務レベルではほとんど同じと考えていいと思います。

最も大きな違いは、監査委員会と監査等委員会はいずれも取締役会の中に設置されるということです。そのため、監査委員と監査等委員は取締役なんですね。取締役としての議決権も持ちます。監査役だけは取締役ではなく、議決権はありません。

監査役設置会社が監査等委員会設置会社に移行するというケースがよく見られます。今月、グリーという会社が移行するようです。移行の目的を読むと違いがイメージしやすいかもしれません。以下に引用しておきます。

「取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員が取締役会における議決権を持つこと等により、取締役会のモニタリング機能を強化し、経営の透明性を一層向上させることを目的とするものです。」

とんだとばっちり 総医研ホールディングス 社外監査役の逮捕

7/8の適時開示情報。株式会社総医研ホールディングスは同社の社外監査役(非常勤)である松井良太氏が逮捕されたことを公表しました。同社の監査役としての業務には関係なく、同社においても損害等は一切生じていないということです。しかし、トホホ、ですな。

業務上横領

弁護士が業務上横領で逮捕と聞いて、思わず回収した過払い金30億円が消えてしまった東京ミネルバ法律事務所絡みかと思いきや、、、。全然違ってました。遺産の分割に関する依頼を受けて預かっていた現金約1860万円を着服した疑いで逮捕されたんだと。

松井弁護士は大阪弁護士会に所属する42歳だそうです。法律事務所を開業する弁護士で、42歳で、1800万円くらいのお金に流されてしまうんだろうか。素直な感想です。事務所は上手くいってなかったんでしょうかね。

総医研ホールディングス

この松井弁護士、2008年9月に総医研ホールディングスの監査役に就任しています。30歳で就任ですね。監査役の任期は4年。2020年9月の株主総会までですね。あともう少しで退任されてたかも。調べても他には出てきませんので、社外監査役に就任していたのは総医研ホールディングスだけのようです。

同社のコーポレート・ガバナンス報告書には専任の理由として次のように記されています。

「当該社外監査役(松井氏のこと)は、弁護士として培われた専門的な知識・経験と高い見識を有し、企業法務に精通しているため、社外監査役としての職務を適切に遂行いただけるものと判断しております。」、、、とんだとばっちりではありますが、人を見る目はなかったということですね。