株式会社EduLab 特別調査委員会を設置

EduLabは8/2、「特別調査委員会設置及び2021年9月期第3四半期決算発表延期に関するお知らせ」を公表しました。特定の顧客との一部の取引において、一連の経緯や価格の妥当性を踏まえて、特別調査委員会で経済合理性の調査を行うということのようです。

株式会社EduLab

EduLabはエデュラボと読むんだそうです。能力測定技術の研究開発とその成果であるテスト法の実践を通じて、英語その他の能力検査の試験開発、実施、分析、教育サービスの提供等を行う企業です。英語学習者向けオンラインサービス、学力テストの受託などを手掛けています。EdTechってやつですね。

事案の概要

同社の会計監査人が、第3四半期レビュー手続の過程で、ある取引に関して経済合理性の調査を行う必要があると指摘したようです。これを受けて、同社と利害関係のない弁護士や会計士からなる特別調査委員会を設置し調査することになりました。

今のところ開示されているのはここまで。「一連の経緯や価格の妥当性を踏まえた経済合理性」と表現しています。が、これだけではちょっと分かりませんね。

経済合理性

いくつかの選択肢がある状況で、最も効率的に利益が出せる方法を選択することを、経済合理性といいます。ですから、このケースでは本来なら取るべき選択肢を選ばず、別の取引を行っていた、、、といった意味になるでしょうか。

最も効率的に利益が出る選択をしないということの裏には、何か特別の事情があり、その事情というのが別の「誰か」の利益を出すためであったりするわけですね。度が過ぎた場合や「誰か」というのが従業員や役員であれば、不正行為ということになります。特別調査委員会の調査結果を待ちましょう。

NTT 特別調査委員会による調査報告書

NTTは6/7、「特別調査委員会による調査報告を踏まえた今後の対応について」を公表しました。同社の経営層と省庁関係者等との会⾷の実態について調査してきた件ですね。3/9からでしたから、約3ヶ月間の調査ということになりました。

調査結果の概要

NTTグループ(持株、東、⻄、コミュニケーションズ、ドコモ、データ)の経営陣と総務省課⻑級以上の職員及び総務省の政務三役との間の会⾷を対象範囲として調査しています。その結果、費⽤を等分負担していなかった会⾷は29件あったとのこと(政務三役との会⾷:5件、国家公務員との会⾷:24件)。

これらの会食において、総務省幹部による便宜供与やNTTグループからの便宜供与の依頼等があったとは認められなかった。ということです。まぁ、予想した通りの結果です。ドコモの完全⼦会社化や、ドコモによる携帯電話料⾦の値下げなどについて、⾏政の判断が歪められたという事実も確認されなかったとのこと。

ただし、会⾷のうち、総務省幹部が参加しているものは、当該総務省幹部が、国家公務員倫理法に基づき定められている、国家公務員倫理規程に違反する結果を招いたものであり、NTTグループ経営陣は、その法令違反を誘発・助⻑した点で、⾮難を免れることはできない。また、総務省政務三役が参加しているものは、国⺠の疑惑を招きかねない会⾷であった。としています。

想定外のこと

見事に想定通りの結果となっているわけですが、想定外のこともありました。発生原因のところで触れられています。「国家公務員倫理法・倫理規程及び⼤⾂規範に沿った会⾷を実施するための具体的なルールを定めた社内規程が存在していなかったこと」

上場企業なら接待・贈答に関する規程、みたいなタイトルで、公務員やみなし公務員との付き合い方について、普通ルールがありますよね。それもNTTほどの大会社で、かつNTT法にも縛られる特殊な法人のくせに。このことが唯一想定外の情報でした。これってホント?

Casa(7196) 特別調査委員会 調査報告書を公表

週刊文春に、社長のパワハラや反社会的勢力との繋がりを追及された東証一部上場のCasa。特別調査委員会を設置し調査を実施していましたが、2/26、最終調査報告書を受領し公表しました。報告書の調査結果を受けて、文春はどう動くのでしょうか。

報告書の概要

調査の結果、同社代表取締役と反社会的勢力との間には一切の関係が認められなかったとしています。また、同じく代表取締役による役職員に対するパワーハラスメントも、認められなかったということです。

そもそも報道された情報は、同社元取締役のA氏が文春に提供したもののようです。取締役としての職責を果たすことができず、子会社の代表取締役に。また子会社においても同様に職責が果たせなかったみたい(報告書は任務懈怠と言い切ってます)。

監査役会からもそのことを指摘されており、社内でも相当評判悪かったようですね。その責任を追及されたA氏が、子会社代表取締役及び同社執行役員を辞任することを申し出た社長室で、逆切れして代表取締役に暴力をふるったという経緯なんだそうです。

代表取締役

暴力を受けた代表取締役、売り言葉に買い言葉って場面での発言が文春に取り上げられたようで、報告書では次のように表現されています。「某週刊誌の記事は、A氏の言い分に沿って編集され、恣意的に当社代表取締役の発言の一部だけを取り上げたものであり、事実関係を正確に報道したものとは認められない。」

なお、この報道でCasa株式は大きく下げましたが、A氏は報道の一か月ほど前に同社株1万株を売り抜けていたという話まで出てきます。

いやぁ、、、文春が描いていた代表取締役像と報告書が描く像がこれほどまで違うとはねぇ。驚きの結果です。物事、一方向からだけ見て、判断するのは危険ですね、ホント。反省、反省。

東京精密(7729) 連結子会社における前社長の不正行為(その2)

東京精密は2/8、特別調査委員会の設置と、発生した不正行為の概要について公表しました。当ブログでも一昨日に取り上げましたので、情報をアップデートしておきます。特別調査委員会は外部専門家(弁護士、会計士)と社外取締役監査等委員で構成しています。

東精エンジニアリング

不正行為の舞台となったのは、やはり東精エンジニアリングでした。東京精密100%出資子会社ですね。1969年設立で本社は茨城県土浦市、資本金988百万円、従業員は580人となっています。半導体製造装置関連製品と、計測機器製品の製造・販売が主要事業のようです。

社内調査で把握した概要

同社前社長のキックバックによる着服行為は、約10年にわたり外注先への発注を装ったもので、合計約120百万円が前社長に還流していた可能性があるとのこと。

また、海外取引先に対する長期滞留売掛金の回収については、同取引先在庫を同社の中国現地法人に販売するスキームで回収を図ったもので、約360百万円の売掛金を回収した可能性があるそうです。

こちらの売掛金の回収に関しても、金額を考えると前社長が絡んでいそうですね。10年にわたり着服行為を繰り返していたというこの方、平成16年から平成29年まで代表取締役社長を務められた U氏でしょうか。

【2/12 追記】

上記の記述につき、「前社長は先月末に交代していて、平取り再下位に降格しています。」というご指摘を読者の方からいただきました。2017年6月に社長に就任されたT氏が前社長だとのご指摘です。U氏でしょうか、とした上記認識は誤りだったようです。大変失礼いたしました。

日立金属 特別調査委員会 調査報告書

日立金属は1/28、品質不正に関し、特別調査委員会の調査報告書を公表しました。不正製品を納入した先は、計1747社にのぼっています。このうち事業撤退などの理由で連絡が取れない44社を除き、すべての顧客に納入実績があることについて連絡済みだそうです。

ここまでを振り返って

いやぁ、長かったですね。委員会の設置は昨年の4/27。そこから今年の1/25までですから、調査期間なんと9か月間です。お疲れ様です。

2020年1月に安来工場において製造する特殊鋼について、品質に係る不適切行為が行われている旨の情報提供を受けたというのがとっかかりでしたが、これってやはり内部通報ということのようです。今回は「情報提供」ではなく、「投書」と表現されています。

2015年に始まり、世を騒がせた上場企業による検査不正事案の嵐。そんな中でも不正をしっかり握りつぶしてきた日立金属。報告書では経営幹部や本社部門などが不正を認識していて続けさせている状況では、現場が不正を問題視することが困難だったと分析しています。

全編ヤラセに見えてきた

じゃぁ、なぜこの時期に「投書」が登場するんでしょう。なんかもうこの辺りからヤラセみたいな感じがしてきました。何度も不正行為に関して気付きがあり、何度も不正行為の公表のチャンスがあったにも関わらず、、、日立が日立金属を売却することを決めると途端に表沙汰に。。。

再発防止策の中に「内部通報制度の強化」というのがあるんですが、これが日立製作所コンプライアンス部に通報する仕組みというのも、、意味ありげ。良い値で売れるまでは日立が監視するのか。

売却を決定したから不正を精査、膿を出し切り、身綺麗になってから売却。このこと自体に別に異を唱えるものではありません。問題はそれまでの間、社会や顧客を裏切り続けていることです。これが日立製作所のやり方なんでしょうか。ここから売却手続きを加速するんでしたね。