エルピクセル 取締役が33億円を着服(その2)

スタートアップが重宝され、メガバンクまでもがこぞって出資するようになってきました。ガバナンスやコンプライアンスの機能がまだ整っていない企業であっても、魅力的な技術があれが金は集まる時代になったということですね。エルピクセルだけの問題ではありません。

他にも似たような企業が

「当社が出資したスタートアップの〇〇は大丈夫なのか?(経営陣)」に対して、「は、はい。すぐに確認させます。(スタートアップ担当部長)」なんて会話が上場企業等のあちこちで聞かれたんじゃないでしょうか。そんなの出資する前に確認することでしょ、、、と思いますが。

これでまた監査法人の顧客層が拡大しましたね。従来は上場を意識したころ辺り、つまり証券会社が引き受けに際して態勢を求めるころから整備されてきたんですが、ガバナンス態勢はもっともっと早い段階からということになっていきそうです。

FX取引?

今回の取締役による横領事件。一番理解しがたいのが、この取締役が横領した金を主にFX取引(外国為替証拠金取引)に費消していたというお話。普通は一攫千金でお金のない奴がFXに賭け、、、そこで負けて借金を積み上げ、、、どうにもならなくなって他人のお金に手を付けるもの。

だと思ってましたが。この人、スタートアップとはいえ取締役ですからねぇ。なんでFXなんぞにはまり込んでしまったのか。何かほかにつぎ込んだ先があるんじゃないでしょうか。例えば異性とかね。つぎ込んだ金を取り返すための方法がFX取引だったとか。

最初からFX目的の横領だったとは思えないんです。プレスリリースでも「主な費消先がFX取引であることを確認しています」とビミョーな表現になってますしね。もう少し捜査が進むのを待つしかないですね。

住友重機械工業 労働組合元書記に懲役8年の判決

労働組合連合会の積み立て年金口座の資金着服事件で、口座から3億円余りを着服したとして、業務上横領罪に問われた元書記に懲役8年(求刑懲役10年)の判決が言い渡されました。今年1月に逮捕された会計を一人で担当してきた女性への判決です。

当初は10億円とも

事件発覚というか、この女性が逮捕された当時、着服金額は6億円とも10億円とも言われていました。既に時効になっているものも含んでいるようでしたが、今回の判決では「2013年12月~18年1月、37回にわたって連合会の口座から自身の口座に送金し、計約3億3660万円を横領した」とされています。

判決は

懲役8年(求刑懲役10年)の判決というのはどうでしょう。起訴された業務上横領罪は刑法253条で、法定刑は「10年以下の懲役」だそうです。 もし最高の10年を求刑されても、一般的に「7割司法」「7掛け判決」といわれるように、懲役6~8年の幅に収まるのでは、、、という予想でした。その通りになりました。

着服したお金は

着服したお金は、趣味である馬術競技馬や競走馬の入手や維持・管理費、高級外車や高級バッグなどの購入に使っていたといわれています。被告は刑事裁判で判決が言い渡されたわけですが、これとは別に、労働組合側が民事訴訟を起こして損害賠償を請求することは可能です。

しかし、過去の着服事件では、発覚したときにはほとんど被告の手元にお金は残っておらず、回収不能というのがよくあるパターン。今回のケースも逮捕時には安いアパート暮らしだったといいますから、回収は見込めないでしょうね。となると次は、杜撰な管理体制でこの横領事件を許した労組幹部も責任を問われることになりそうです。

住友重機械工業 6億円超の着服

一昨年から始まり、昨年も1月、6月と検査不正等が発覚し続けてきた住友重機械工業ですが、今度は労働組合の積立年金口座からの着服が出てきました。会計を一人で担当してきた女性が2013年から2018年2月に発覚するまで、5年間で6億円を超える横領です。

過去の不正・不祥事(備忘メモ)

2018年6月 グループ会社で大型特殊自動車の不適切な分解整備作業
2018年10月 グループ会社で圧延ロールの検査不正発覚
2019年1月 本社、グループ会社で動く歩道や大型減速機等の検査不正発覚
2019年3月 調査により数千件の不適切検査が新たに発覚

横領容疑で逮捕

今のところ裏がとれているのは5000万円のようで、逮捕容疑もそういうことになっています。ポルシェ・カイエンや馬術競技用の馬6頭などの購入に充てたんだとか。総額は6億4千万円に上るそうです。

この事件、組合幹部の交代に伴う会計調査を行おうとした2018年1月に発覚したということですから、逮捕まで2年間もかかってるんですね。調べてみると、当該検査が実施されることを知って、失踪していたみたいです。

会社行為ではないけれど

今回は従業員による横領です。それも会社のお金ではなく、従業員(組合員)のお金に手を付けたわけですよね。これ、会社は補てんするんだろうか。ここは気になりますね。

しかし、たった一人に管理を任せていたとか、5年以上も発見できなかった、、、という杜撰な管理状況。労組に出向中とはいえ、あくまで同社の社員です。企業としても不正・不祥事を連発したカルチャー。

こんなことがあると、一人一人の社員の倫理観に問題あるのでは?みたいな見方になっちゃいますよね。他の真面目に働いてる社員達が気の毒です。