野村ホールディングス 新社長に奥田氏

12/3の日本経済新聞、この日の日経はよほどニュースがなかったらしく、1面トップは「データの世紀」。なんと連載記事がトップを飾ってました。そして、社説よりも小さめの記事でしたが、野村の新CEOについても1面で伝えています。

毎月型投信 見直し進む

いきなり脱線なんですが、この日の日経は何かおかしい。同じく1面に「毎月型投信 見直し進む」という記事もあるんですが、これがまた何を言いたいのかよく分からない記事なんですね。毎月分配型投信の変化を伝えたいのか、バランス型投信の人気を伝えたいのか。そもそもタイトルまで変。誰かに筆を入れられて訳わかんない記事になってしまいました、、、って感じです。

で野村ホールディングス

話を戻しましょう。野村ホールディングスの新CEO、奥田氏は投資銀行部門や海外部門での経験が長い人だそうです。このCEOの席を争ってきたのが、国内部門を担当する森田氏なんだそうで、この構図、気になった方は多いのではないでしょうか。

店舗閉鎖などの構造改革を進めてきた野村。現在6割ぐらいは進んだということのようですが、これが10割進んだとしても、追い付かないのではないかと思われるほど、手数料ゼロ化の荒波がどんどん迫ってきているようです。そんな最中にこの新CEOの発表。支店で働くリテール担当の従業員たちはどう感じたでしょう。

奥田氏は悪役?

支店リテール担当の人たちは、これから始まるであろうさらなる構造改革、つまりリストラや配置換えといった、かなり暗い未来を一気に見せつけられたという感じでしょうか。これは辛いものがあります。支店営業員の離反がさらに加速するかもしれませんね。

というか、リテール部門を相応に、かつロジカルに縮小していくには、これまでのしがらみのある森田氏ではなく、奥田氏を選んだということでしょうし、この決断自体が社内外に対するメッセージそのものなのかもしれません。そしてまた、例によって下位の証券会社にもこうした流れが伝わっていくんでしょう。厳しいっすね。

日立製作所 成長戦略 Lumada(ルマーダ)

9/21付け日本経済新聞のトップ記事、「日立、成長投資へ1兆円調達 守りから攻めの財務に」。ここからの3年間に、借入金や社債で約1兆円を調達し、M&Aや設備投資を合計約4.5兆円と倍増させる。という内容です。これまで日本企業は借金返済を優先し、投資などは抑制してきたが、そうした縮み志向を抜け出す企業が増えていく可能性がある。とも書いていました。ん~、そうなると良いですね。

リーマンショック後の構造改革

米金融危機後の業績悪化を受け、日立は構造改革を進めてきました。金融や物流、工具などの事業を相次いで売却し、09年当時に22社あった上場子会社は4社まで減少したそうです。以前当ブログでも取り上げたことのある日立化成も近く売却されそうです。

海外プラントなど不採算事業からも撤退しましたし、その間投資は抑制し、有利子負債は約1兆円にまで減少しています。ここから一気に攻めの財務に転換するということなんですね。負債の増加で財務レバレッジを効かせて、ROEも向上します。

成長戦略のカギ Lumada(ルマーダ)

IoTでモノに取り付けたセンサーなどを通じて収集したデータを分析。業務の効率化などにつなげるビジネス。今後の成長市場と見込まれていて、この基盤システムを顧客に提供するプラットフォーム事業がLumada(ルマーダ)です。先日、米国にIOTの世界本社を設立、なんてニュースもありましたね。

製造プロセスで生まれる様々なデータを収集し、そのデータをAIなどを用いて分析することで、その製造プロセス等を改善、高度化するというソリューションのようですが、kuniには今のところコンサルティング業務のように見えています。もちろん、日立にはモノを直接作っているというアドバンテージはありますが。

難しい話はこれくらいにしますが、日立には昔からどうも良いイメージがないんですね。あっ、証券の世界の話ですけどね。いつも最後に遅れてくる巨人、、、って感じです。この株が動き出すと、相場もそろそろ天井、、みたいな。。。いや、今回はそんなことないと思いますが。

口座維持手数料の導入を検討 三井住友信託銀行

産経新聞の取材に対し、三井住友信託銀行の橋本社長が「口座維持手数料」の導入を検討する考えを明らかにした。というニュースがありました。

口座維持手数料

構造改革によるビジネスモデルの再構築が求められている銀行。構造改革の柱の一つと考えられているのが、この口座維持手数料の導入です。銀行の収益拡大に加え、収益の安定化をもたらすというメリットがあります。

とはいうものの、預金者にとって銀行は無手数料で預金を預かってくれると思ってますし、口座維持手数料なる言葉も知らない人が多いと思われます。導入した銀行から他行への預け替えや、複数の銀行口座を持つ預金者のメイン口座への集約といった動きが予想されます。銀行間の競争の構図が大きく変化しそうです。

まぁ、そんなことも当然考えられるわけで、以前から何度も検討はしてみたものの、実現できずにいる。というのが銀行の本音かと思います。最初にやるところは勇気いりますね。

米国の事情

この口座維持手数料、米国では結構スタンダードな手数料のようです。2017年度の口座維持手数料収益は、351億ドルに達し、非金利収入の約15%を占めています。kuniが読んだレポートでは、ウェルズ・ファーゴでは金利のつかない口座で月額10ドル、金利のつく口座で月額15ドルの口座維持手数料を徴求している。とありました。それぞれ預金残高が1500ドル、10000ドル以上あれば免除という条件は付いています。

また、すべての銀行が徴求しているわけではないらしく、おもに中小規模の銀行では口座維持手数料がかからないことが多いとも。

メガバンクから導入してみたら

日本でもメガバンクから導入してみたらどうでしょう。メガバンクと付き合う必要のない顧客は地銀や信金なんかに流れるでしょう。米国でも大手はブランド力もあり導入しているけど、中小は導入していないみたいな構図に見えますしね。同じような構造にしてみたらどうでしょうね。

「適当なこと言いやがって」って銀行の人に怒られそうです。けど、やってみなきゃ分からんよね。今回調べて、初めて知りましたが、SMBC信託銀行では月額2000円の口座維持手数料を取ってますね。ソシエテジェネラルやらシティバンクを統合してきた名残でしょうか。

日産自動車 人員削減 1万2500人

7/25、日産自動車は4~6月期の四半期決算を発表しました。予想通り大幅に悪化してますね。連結営業利益は前年同期比で99%減だそうです。カルロス・ゴーン会長が逮捕されたのが昨年11月のことでした。その後も次から次へと出てくるゴーン氏在任中の不正。さらにはルノーとの政争もあり、ブランドイメージは傷付きまくりです。

日産リバイバルプラン再び

決算の発表に併せて、構造改革策としての人員削減についても公表しています。1万2500人の人員削減です。この会社単独では従業員数2万2千人となっていますから、ここで言う1万人は連結ベースでの削減ですね。連結ベースでは従業員数13万9千人を抱えています。

20年前、1999年10月、カルロス・ゴーンCOO(当時)は記者会見を行い、日産リバイバルプランを発表しました。日産の再建計画ですね。5つの工場閉鎖や部品等の調達先の削減に加え、2万1千人の従業員削減が発表されたのです。かなり衝撃的な記者会見でした。

そして今から10年前、2009年リーマンショックの場面でも同様に、2万人の人員削減を実施しています。この時は技術派遣3000人を一斉に契約解除したことが、社会問題になったりもしていました。

この会社、どうも ***9年が鬼門のようで、10年ごとに人員削減に追い込まれてます。そして2019年、今回再び、、、ということになりました。が、ゴーン氏が会長職に留まっていたら1万人どころではなかったかもしれません。

事業環境の変化

20年間で3回目となる今回の人員削減ですが、これまで2回の局面との大きな違いが、事業環境の劇的な変化です。過去2回はいずれも景気全体の落ち込みに如何に対応するかという局面であり、その答えとして選択したのが人員削減であり、コストカットでした。

しかし、今回は自動車そのものが売れない時代であり、内燃機関がなくなる時代。それほどの大きな事業環境の変化が見込まれています。従業員を減らすことは正解なんでしょうか。削減する従業員次第では、次の事業環境の変化に対する適応力の低下を招きかねません。

過去2回の人員削減で、新車の開発力が落ちてしまったように、今回この事業環境の変化に適応できなかったり、適応スピードが不足してしまった場合、業界からの退場を余儀なくされるのではないか。そんな気がします。米中貿易戦争の一時的な影響とみることもできるでしょうが、今の日産が置かれている状況、それほど過少に評価するべきではないように思います。

三菱UFJ銀行 180店舗削減 とか

三菱UFJフィナンシャル・グループは、2023年度までに三菱UFJ銀行の店舗数を約180店舗減らす方針を明らかにしたとのこと。従来は17年度末の515店舗から2割にあたる約100店舗を減らす計画だったが、削減率を35%に積み増すんだそうです。2017年の年末辺りから、メガバンク各行が支店の統廃合競争に入りましたが、期をまたぐ毎に削減店舗数が増加するなど、わけわかんなくなってきたので、今回は三菱UFJ銀行の店舗戦略を整理しておきます。

店舗数の推移

            2016年度末   2017年度末   2018年度末
来店型店舗       665        525       509
(本支店 出張所)    624        515       500

こんな感じです。17年度から支店のカテゴリーが変更になっていますので、2016年度の本支店・出張所の数は参考程度に。こうしてみると既に100店舗以上減ってきてるんですね。

削減店舗数の上積み

今回のニュースは、2017年度の本支店・出張所515店舗を基準にしています。この基準に対して従来20%の100店舗を削減すると言っていましたが、今回それに上積みして35%削減すると言ってます。515店舗を180店舗削減するということですね。

一方で、有人対顧客窓口を有するフルバンク型の支店は50%削減とも言っています。つまり、260店舗程度だけを残して、180店舗を削減。約170店舗を機能特化型店舗に衣替えするという計画のようです。ちなみに、機能特化型店舗はMUFG NEXTなどのコンサルティングオフィスを軸に展開するという説明がされています。

また、人員についてはかなり気を使った感じで、今回も2023年までに6000人程度の人員減少を見込むとしていますが、これも自然減だとしています。業務量の削減見通しは当初の9500人分から1万人超相当分まで積み上げてますが、、、。この辺りの言い回しが三菱らしいです。

日経の社説より

5/18付け日本経済新聞の社説で「メガバンクは次世代金融へ脱皮が急務だ」というのがありました。全国に配置した支店や人員はいまや重荷だ。リテールの数少ない成長分野がシニア金融だ。ノルマを排したコンサル型営業を徹底するべきだ。海外展開やM&A助言など付加価値を高めよ。株式持ち合いを解消してその資金をスタートアップへ積極的に振り向けよ。異業種と連携してノウハウを取り込め。

こんなことが書かれてました。多くの有識者たちが異口同音にこのようなことを言ってますし、メガバンクだって既にそういう対応してますよね。こんなふうに誰もがその通りだと思う状態、みんなの意見が一致する状況で、相場は天底を打つものです。実はみんながそう思っている時代はもう終わりに近付いてたりするんですね。また今回も金融界の戦略は外れてしまうのでしょうか。外れるとしたらどの戦略でしょうか。この辺りはまた別の機会に考えてみたいと思います。