日本軽金属ホールディングス 検査不正の調査結果

日軽金は3/29、「当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について」を公表しました。めちゃくちゃ時間かかりましたね。特別調査委員会設置から2年近く経過しています。

おさらい

グループ中核子会社である日軽金名古屋工場で製造及び検査に関連する不正が発覚し、その後、社内調査により日軽新潟株式会社、日軽形材株式会社、日軽蒲原株式会社においても同様の不正が立て続けに判明。「特別調査委員会」を設置する事態へと発展していました。

調査結果の概要

調査報告書によると、国内31社、56事業所について調査を実施し、その結果、18社36事業所において、合計214件(報告・公表に関する事案10件を除いた製造・検査等に関する不正は204件)の不正が明らかになったということです。半分以上の子会社、事業所で不正が行われていたんですね。いやいや、ここまで拡がってしまうとは。

もの凄いボリューム

今回開示された情報は、調査結果の概要等で5ページ。会社が取りまとめたその詳細と再発防止策で56ページ。特別調査委員会の調査報告書が205ページ。と、もの凄いボリュームです。ここまでしっかり調査したわけですから、これを機に良い会社になってもらいたいものです。

おまけ

今回の開示とは全く関係ないんですが、調べものしてたら、「駿河湾のサクラエビ異変 日本軽金属『令和の公害』問題」なる報道を見付けました。山梨県の雨畑ダムというところで、高分子凝集剤入り汚泥の大量不法投棄が・・・、みたいな。かなり大変そうな事案も抱えてるみたいです。

川崎重工業 子会社の川重冷熱工業で検査不正 調査結果

川崎重工は3/24、「川重冷熱工業の不適切行為に関する特別調査委員会の調査結果について」を公表しました。昨年6/7に設置した特別調査委員会でしたから、調査に要した期間は約10か月に及んでます。

おさらい

川崎重工の100%子会社である川重冷熱工業で、主にビルなどの空調システム用として製造・販売した一部の吸収式冷凍機に関する検査不正(顧客向けのデータ虚偽記載)が数千件も出てきたというもの。実は発覚したのは一昨年の7月末でした。

調査結果

これまでに判明していた顧客向けのデータ虚偽記載に加え、東京都や環境省などが機器の環境性能を認定する制度でも、虚偽データで申請するなど、類似事案として新たに5種類の不正が見つかったようです。冷凍機に関する検査不正についても新たに306台の不正が見つかったようです。

時間かけすぎ

グループ全体における潜在的な品質問題を徹底的に洗い出すことを目的に、各事業部門および関連会社等も対象とした「全社検査工程総点検」を実施してきたということなんですが、それにしても時間かかりすぎでしょ。

発覚が2021年7月、特別調査委員会の設置が2022年6月。そして調査完了が2023年3月です。発覚からもう既に2年近く経ってます。この苦い経験もグループ内では既に風化し始めているのでは?

昭和電線ホールディングス 検査不正の追加報告?

昭和電線ホールディングスは1/20、「当社グループ製品の不適切な品質管理に関する調査結果の報告について」を公表しました。2021年10月末に調査結果の報告を終えていた子会社の昭和電線ケーブルシステムにおける検査不正。あれから1年2ヶ月も経って追加の報告です。

おさらい

2021年7月、子会社の昭和電線ケーブルシステムにおいて検査不正が発覚。特別調査委員会を設置し調査を行い、3ヶ月後には調査結果報告と再発防止策を公表しました。横展開がしっかり行われておらず、かなり適当な調査結果だと感じていました。

そして追加の報告

あの時の調査対象は、「外部から指摘を受けたすべての製品(7製品)」ということだったんですね。で、調査結果を報告した後も、調査対象を同子会社のすべての製品に拡大して調査を継続していたということです。その期間、なんと1年2ヶ月です。

調査の結果、やはり9件の検査不正が判明しています。が、しかし、「特定のお客様との間で定められた仕様に基づき製造された製品が対象であり、汎用製品は含まれていない。同社としては、品質の健全性に問題がないことを確認している」。といつもの感じです。どうやら調査はこれでおしまいということのようです。

「2017年にグループ会社に対して品質問題に関する調査を実施した際に、当時の昭和電線ケーブルシステム経営者の一部、品質保証部門上層部が今回発覚した不正の一部を把握しながら、報告すべき事実を報告しなかったということも判明した」などという課題も見付けておきながら、、、。もうこのあと本体やほかのグループ会社への横展開はしないんだろうか。

日立金属 検査不正の後始末

トップ自ら特殊鋼・磁性材を巡る検査不正に関与し、長年にわたりそれを隠蔽し続けてきた日立金属。調査委員会の調査結果では、不正に及んだのは35生産拠点で顧客は1,747社に上りました。しかし、例によって、「調査で安全・性能上の問題は確認されなかった」、という結論に。

安全・性能上の問題

安全・性能上の問題があるかどうか、これって非常に難しい問題です。例えば農家が出荷する野菜。「こんなんじゃ売り物にならん」という小売りもいるでしょうし、「安く仕入れられるなら売ってやってもいいよ」、なんて判断もあるかもしれません。この例えが良いかどうかはよく分かりませんが。

ある企業の場合

実は、仕入れてきた粉末特殊鋼(HAP材)の品質が問題だとして、日立金属を訴えている会社さんからご連絡をいただきました。2年前から地方裁判所で、仕入れ代金の返却や材料製造瑕疵・を認めよ、という内容の訴訟を戦っているとのこと。

表向きには、「安全・性能上の問題は確認されなかった」とされてきましたが、やはり水面下ではこだわりのある業者さんから訴えられている、みたいな状況があるんですね。勉強になりました。

2022年12月末

日立金属は昨年12月末をもって上場廃止になりました。ここからは大勢の株主に対する開示義務がなくなります。これまで、「安全・性能上の問題はない」と、強気の対応をしてきたのは、個別の訴訟等の開示が怖かったからかも。ここからは世間に開示する必要もないので、個別案件の対応(損害賠償等)が本格化するのかもしれません。

日本製鋼所 新たな検査不正が

今年5月、子会社である日本製鋼所M&E 株式会社において検査不正が発覚したことを公表していた日本製鋼所。8/31には、新たに火力発電所のボイラーなどで使われる鍛造鋼管でも不正があったことを公表しました。(5月に判明したのは、タービン・発電機用ローターシャフト、発電機用リテーニングリング)

特別調査委員会

前回の不正公表後、特別調査委員会を設置して調査を続けていましたが、8月上旬に同委員会による調査により新たな不正が把握され、その後同社及びM&E社にて製造記録等の社内調査を実施して事実であることを確認したということです。

対象商品は火力発電所向けボイラー用鍛造鋼管(2014年8月~2019年3月までに製造されたもの)。顧客と合意した仕様に基づき実施すべき試験を、顧客へ説明・承認を得ることなく省略していました。なお、この不正に起因する、製品の品質・性能に影響する具体的な問題は確認されていないということです。

日野自動車と違って

調査開始後2カ月が経過したところで新たな不正が見付かったわけで、経営陣等はがっかりしたでしょうね。しかし、先日の日野自動車のように、社内調査で見落とし、特別調査委員会でも見逃して、当局の検査で見付かる展開を思うと、調査期間中に判明したことは喜ばしいことです。

不正の一部が内部通報で発覚。その後社内調査で不正の概要を一定程度まで掘り下げ、特別調査委員会を設置。その調査委員会が調査の過程で新たな不正を発見。こう整理してみると、ここまでの展開は一応理想的な流れですね(あくまで不正発見から始まる事後対応の話ね)。日野の件があったし、委員会も気が抜けません。