PHC ホールディングス株式会社 外部調査委員会を設置

PHC ホールディングスは12/25、「当社子会社(株)LSI メディエンスの不適切事案に係る外部調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。12/8には、第1報として「「当社子会社(株)LSI メディエンスの中央総合ラボラトリーにおける品質管理に係る不適切事案についてのお知らせとお詫び」を公表していました。

PHC ホールディングス

PHC ホールディングスは、1948年の大新鉱業設立をルーツとし、パナソニックから独立したヘルスケア機器メーカーの持株会社です。各種ヘルスケア機器・サービスの開発・製造販売。糖尿病ケアに強みをもつ東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社の子会社である株式会社 LSI メディエンスの中央総合ラボラトリーで、免疫関係の検査 85 項目において、月次で測定機器の精度管理図を作成する際に、実測値と異なる数値を意図的に用い、不適切な精度管理図を作成していたことが判明したといいます。

「精度管理図」というのは注釈で説明されてるんですが、よく分かりません。臨床検査において、検査結果の品質を確保するためのツールのようなものみたいで、そのデータを意図的に書き換えていた。つまり、検査ツールの妥当性を意図的に都合の良いデータに置き換えていた、みたいなことだと思います。

いずれにせよ、まぁ、結果的に検査不正なわけです。12/8時点で検査データについて問題があったことは確認されておらず、また、本件に起因した健康被害の報告もないとのことですが、調査委員会でしっかり事実をあぶり出してください。

ダイハツ工業 品質不正問題がさらに拡大 全車種を生産停止に

ダイハツ工業が新車の安全性を確認する試験で、これまで6車種において不正をしていた問題。第三者委員会の調査で対象が大幅に拡大することが判明したようで、全車種の出荷を停止することが分かったと日本経済新聞が伝えました。

不正の概要

ダイハツ工業は軽自動車市場では3割のシェアを持ち、スズキと首位を争っている企業です。今年4月に最初の不正が内部通報で発覚。当初4車種としていたものの、その後5月には計6車種での不正が明らかになっていました。

当初発覚していたのは、側面衝突時の安全性を確認する試験の認証手続きにおける不正でしたが、どうやら排ガスなど環境面に関するデータの改ざんもあることが分かったもよう。ダイハツが生産する多くの車種に不正があったため、全車種の生産・出荷を停止することになりました。

海外で生産している4車種で始まったこの事案、その後国内にも飛び火し、とうとう全車種で、、、みたいな話になってきました。調査委員会の調査に対して、アンケートや通報窓口に対して従業員からいろいろと問題意識が寄せられたんでしょうね。

トヨタが開示した

2016年にトヨタの完全子会社になっていますから、その後従業員には相応のストレスがかかっていたんじゃないかと推測します。これを書いている最中に珍しくトヨタが開示しました。新たに25の試験項目において、174個の不正行為があったことが判明。64車種・3エンジンだそうです。

しかしまぁ、これだけの車種に拡大するというのはさすがに致命傷か。日野自動車のようになってきました。

大日本塗料 不適切行為に関する第3報

大日本塗料は11/6、「今回の不適切行為の詳細に関するお知らせ(第3報)」を公表しました。工場火災等ではよく見る第〇報、検査不正に関する第3報って珍しいですね。特別調査委員会の調査が継続している中での中間報告的なもの。

不適切行為の概要

岡山化工での不適切行為の詳細について、それなりに問い合わせが来ているようで、同社が 2023年10月26日付けで公表した検査不正に関して、現時点で判明している事項について公表した、という事情のようです。この姿勢は評価できます。

行為の概要は、「JIS 製品の社内検査規格に係る検査値の改ざん・規格外品の出荷」とまとめられています。JISの3つの認証区分で計17種の対象製品において、比重値の規格外出荷および比重値の書き換え。光沢値の書き換え。粘度値の規格外出荷が行われていたということです。

大日本塗料本体は?

10/27付けで特別調査委員会が設置されているんですが、この開示改めて読んでみると、不適切行為の事実関係の解明、原因分析と再発防止策の提言とされていて、見る限り岡山化工の調査だけで、大日本塗料本体や他の拠点等は調査対象になってないようですね。

上記の通りかなりの対象製品で不正が行われていたことが判明しているのに、岡山化工の調査だけでいいんかしら?

愛知製鋼 特別調査委員会から調査報告書を受領?

愛知製鋼は10/20、「特別調査委員会からの調査報告書受領のお知らせ」を同社ホームページでひっそりと公表しました。4か月前の5/17には、「当社の一部鋼材製品における長さ公差外れ 出荷に関するお知らせ」を、これまたホームページでのみお知らせという形で公表していたんですね。まったく知らなかった。

愛知製鋼

愛知製鋼は主原料である鉄スクラップと、ニッケルなどの合金鉄から特殊鋼を製造販売する企業。電磁品の製造販売も行う東証プライム上場企業です。トヨタ系で2023年3月末時点のトヨタ自動車の議決権所有割合は24.0%。またまたトヨタ系です。

不正の概要

同社知多工場で製造した特殊鋼鋼材の一部につき、顧客の要求仕様である鋼材長さ公差(-0+40mm 以内)に対し、(-0+60mm 以内)と上限を超える鋼材を出荷していたということです。彼らは「公差外れ」と呼んでいますが、要するに顧客が要求する規格を外れた製品を出荷していたということ。

調査の結果、知多工場のほかにも刈谷工場でも同様に、規格外製品の出荷があったことがわかったということです。調査委員会は「重大な法令違反などはない」と結論づけたそうな。役員5人がそれぞれ月額報酬の30%分を3カ月分返納するらしいけど。

発覚時、特別調査委員会の設置時、調査結果と役員処分に至るまで、一切の適時開示はなし。ホームページのお知らせのみという徹底ぶり。これがトヨタ流、ですかね。

大日本塗料株式会社 連結子会社で検査不正 JIS マーク表示の一時停止

大日本塗料は10/26、「当社連結子会社における不適切行為及び JIS マーク表示の一時停止等について」を公表しました。同社の連結子会社である岡山化工株式会社において、社内で定めた検査規格に係る検査値の改ざん等の不正行為が判明したということです。

大日本塗料 岡山化工

大日本塗料は防食・重防食技術をコア技術としてあらゆる塗料分野に展開する塗料メーカー。主力の塗料事業のほかに照明機器事業、蛍光色材事業も手掛ける東証プライム上場企業です。塗料業界では売上高第5位の企業ですね。ちなみに岡山化工は資本金8,000万円の100%子会社です。

不正の概要

JIS に係る認証を受けた製品について、社内で定めた検査規格から逸脱した検査結果が得られた場合に、当該検査結果を規格値内に収まるように改ざんするなどして出荷していたということです。例によって同社は不適切行為と言ってますが、立派な検査不正です。10/26付けでJIS マーク表示の一時停止の通知を受けています。

この件が発覚したのは、「社内コンプライアンスアンケートにて社内手続違反に係る不適切行為の疑義が生じた」ことから、としています。これも内部通報制度の一種ですね。「本件の重要性に鑑み、より客観性・独立性を高めた事実解明を行うための対応を検討」しているといいますから、近く調査委員会が設置されるんでしょう。