川崎重工業 舶用エンジンにおける検査不正 調査結果

川崎重工業は9/27、「(開⽰事項の経過)舶用エンジンにおける検査不正について」を公表しました。船舶用エンジンで燃費性能データを改ざんしていた問題で、同社は社内調査の結果をまとめ、国土交通省に提出しました。

おさらい

有害な窒素酸化物の規制が始まった2000年以降、大型貨物船やコンテナ船、タンカーなどに搭載された船舶用エンジン673台で燃費性能に関わる測定データを改ざんしていたと先月(8月)発表。特別調査委員会を設置して調査してきました。

発生原因

今回の開示で発生原因として、「燃費の性能を満たさなければならないというプレッシャー」、「コンプライアンス違反の認識があっても言いだせない組織風土」、「品質よりも納期や利益を優先してしまう意識」などが挙げられています。

ここで気になるのが、「コンプライアンス違反」という言葉であり表現。「コンプライアンス」という用語はかなり幅広い意味で使われる言葉であるため、時に問題を曖昧にしてしまうことがあります。今回の検査不正は、「顧客との契約違反や、当局や自主規制機関が定める規制に対する違反」と、明確に社内で定義するべきではないか。と感じました。

問題を曖昧にとらえている限り、従業員の意識も曖昧なままになってしまいます。こういうことを繰り返していても、会社は再生できないんじゃないかと。

輪軸組立作業不正(その3) 京王電鉄 JR九州

京王電鉄は9/19、グループ会社で鉄道の保守や整備を行う京王重機整備が実施した車輪と車軸を組み立てる作業で1786本の輪軸で圧入力値が基準値から逸脱ししていたことを公表しました。そのすべてで記録を改ざんしていたということです。

不正の概要

都営地下鉄、都電での輪軸組立作業で多くの不正が判明していたため、この結果はある程度想定できました。上記では1786本としていますが、その中には先日書いた都営地下鉄や都電における受託分も含まれていますので、京王電鉄分だけでは1500本弱という結果のようです。

なお、これらの結果について、京王重機整備の圧入作業後、京王電鉄では全ての輪軸について超音波探傷検査を実施し、傷がないこと、異常がないこと、また、3ヶ月ごとの定期検査において、車輪の内面距離(バックゲージ)を測定し異常がないことをそれぞれ確認しており、安全は確保されているということです。

JR九州

JR九州では、在来線の車両については、9 割程度の確認が終了しているとしながら、車輪の圧入力作業において、圧入力値が目安値を超過している輪軸が 328本見つかったとのこと。安全性の確認は取れているようで、こちらはデータの改ざんはなかったようです。

輪軸組立作業不正 東京メトロ、都営地下鉄、都電でも

JR貨物で発覚した輪軸組立作業不正、データ改ざんに続き、JR東海で最大圧入力値が目安値を超過している輪軸が在来線車両で11軸見付かりました(データ改ざんはなし)。そして今度は、東京メトロ、都営地下鉄、都電でも同様の問題が確認されています。

東京メトロでの点検結果

東京メトログループのメトロ車両で輪軸組立作業において、基準値を超過している輪軸が225軸あることが判明。また、同社が作業を受託していた東葉高速鉄道(2軸)と埼玉高速鉄道(6軸)でも同じく確認されており、データ改ざんも認められているとのこと。

都営地下鉄、都電

都営地下鉄、都電での輪軸組立作業は、京王重機整備という会社が受託していますが、三田線の203軸と新宿線の230軸、大江戸線の1軸、荒川線33軸で問題が確認されました。基準値を逸脱していたにもかかわらず、当局に対しては基準値内の数値に差し替えて提出していたことが判明しています。

基準値超過や不正行為の報告は今後も増え続けそうです。今のところ京王重機整備の酷さが目立っています。同社は名前の通り京王電鉄の車両整備を担当しているようですので、京王電鉄でも同様の点検結果が出てきそうですね。

東海旅客鉄道(JR東海)でも輪軸組立作業で問題が

JR東海は9/14、「輪軸組立作業の点検について」を公表しました。JR貨物で発覚したデータ改ざん問題を受け、中部運輸局から緊急点検の指示があり、同社の輪軸組立作業について点検した結果です。JR貨物の問題が出たのが9/10ですから、かなり早い対応でしたね。

JR東海

JR東海は東海地方最大の鉄道会社。東京、名古屋、大阪間を結ぶ日本の交通の大動脈である東海道新幹線のほか、東海道本線、高山本線、中央本線、関西本線、飯田線など名古屋・静岡地区の都市圏輸送を中心とした12線区の在来線を運営する東証プライム上場企業です。

点検結果

在来線車両の車輪と車軸からなる部品「輪軸」の組み立て工程で、測定する圧力が目安値を超えたものが11本あったと発表。目安を超えた場合の点検などのルールも明確に定めていなかったといいます。同社は9/14、対象の10車両の使用を停止しました。東海道新幹線では目安を超えた輪軸はなかったとのこと。

JR東海は「目安を超えた部品も安全は確保されている」としており、データの改ざんなどの不正もないということです。そりゃまぁ、良かったってことなんですが、指示を受けてわずか数日で不正の有無まで精査できるんでしょうかね。対応が早すぎて逆に心配になります。

(追伸)

9/18、「東京メトロのグループ会社が記録書き換え」という情報が・・・この件は別記事で書きます。

JR貨物(その2) 不正はさらに拡大?

JR貨物は9/11、「現在一時的に運行を停止している貨物列車について」を公表しました。同社の3車両所において輪軸組立作業時に不正行為を行っていた件に起因して、新たに確認が必要となった車両が発生したため、貨物列車 248 本の運行を取りやめたということです。

不正の実態

少なくとも不正は10年前から繰り返されていたということで、会社はさらなる検査不正の可能性があるとみて、11日午前から全列車の運行を順次停止しました。安全性を確認した車両については同日夕から運転を再開し始めたものの、不正の有無が確認できない貨車が新たに300両あると判明。

どうも断片的な情報ばかりで、実態が見えてきません。貨物車両の数は数百両といった単位ではないでしょうから、不正が行われた可能性がありそうな数字だけが独り歩きしているような感じ。すべての車両について信頼できる作業データが存在するのかどうかも微妙です。

事案の影響

国内貨物に占める鉄道輸送の割合は数%にとどまるそうですが、その半面、JR貨物は関東から九州など長距離の幹線輸送を担っているだけに、不通となればトラック事業者にも広く影響が及びます。

ドライバー不足の「2024年問題」で輸送網を鉄道に切り替えるモーダルシフトの機運も高まっていましたが、見事に水を差された格好です。9/12、品質確認が遅れていた300両のうち新たに67両の貨車で不正があったという情報も。