東洋証券 代表取締役社長が取締役候補を辞退

東洋証券は6/26、「第102回定時株主総会付議議案の一部撤回のお知らせ」を公表しました。同日の定時株主総会で提案する予定だった現社長の取締役選任議案を取り下げ。事前の議決権行使などの状況から現社長の賛成比率が過半に達しない見通しとなったためだそう。

東洋証券

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物言う株主

定時株主総会開催ギリギリのところで社長再任(正確には取締役再任)議案の撤回。どうやら3割弱の議決権を持つ物言う株主(アクティビスト)が主張した経営陣の刷新に、一定数の株主が同調し否決が濃厚だったためということのようです。

東洋証券は当初、社長を含む8人の取締役選任議案を提示していましたが、社長本人の申し出により議案を取り下げ、取締役候補者は7人となったものの、総会で他の取締役1名の選任議案も否決されたとのこと。

新社長には生え抜きの執行役員が選ばれたようですが、誰がやっても同じだろうね。アクティビストが要求する配当の増額と、高株価を実現するための自社株買いを迫られ、内部留保をむしり取られ続けてお終い。そんな未来しか見えてきません。

トヨタ 定時株主総会 豊田章男会長ら10人の取締役選任案は可決

グループで不正が相次いだ挙句に、大量生産に必要な「型式指定」の認証不正が自社でも出てきたトヨタ自動車。6/18に定時株主総会を開催され、不正公表後、初めて公の場で社長が謝罪しました。豊田章男会長ら10人の取締役選任案は可決されていますが・・・。

会長の再任

豊田氏については、グループで不正が続いた責任があるとして、米議決権行使助言会社2社(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイス)が取締役選任議案に反対を推奨していました。

まぁ、正直なところ今回の総会で再任されない事態はないだろうなと思っていましたが、豊田氏の取締役選任に関する賛成率は昨年の株主総会で84.57%と前年に比べて10%低下しており、今回の賛成率がどれほどだったのかが注目されていました。そして昨日、71.93%に低下(約13ポイント減少)、と公表されました。

メガバンクの動きも

三菱UFJフィナンシャル・グループと 三井住友フィナンシャルグループでは、トヨタ株を段階的に売却していくと言われています。損害保険会社4社も同様の動きがあります。こうした持ち合い解消の動きも、株主総会での安定票の減少につながりますし、来年以降の総会では波乱があるかもしれません。

御園座 社長など不起訴処分に

先日当ブログでも取り上げた御園座社長等が、株主総会を円滑に進行させる目的で「総会屋」に利益を供与したとして、会社法違反の疑いで書類送検された件。名古屋地検は3/18、不起訴処分としたようです。同地検は理由を明らかにしていませんが、起訴猶予とみられるとのこと。

おさらい

社長と総務経理担当の男性課長の2人が、2019年に開かれた株主総会の進行に協力を求める謝礼として観劇券2枚(計4万円分)を総会屋に渡した疑いで、愛知県警が書類送検していました。

別の会社が絡む会社法違反事件で起訴されている総会屋との関係で、書類送検となったみたいな感じでしたが、観劇券4万円分で・・・?、というよく分からない事件でした。で、やはり不起訴処分ということに。

不起訴処分

会社法違反(利益供与)の疑いで、「御園座」の社長と50代男性課長を書類送検した愛知県警はいったい何をしたかったんでしょうね。2人から利益供与を受けたとして同法違反の疑いで逮捕された総会屋(別の会社法違反罪で公判中)についても不起訴処分となったようです。

この総会屋さんを追い詰めるために、様々な事案での違反行為を積み上げたかったのかもしれませんが、御園座にとっては迷惑な話でしたね。ただ、だからといって御園座の社長はまったく問題なしかというと、そこはまたそうとも言えないかもしれません。

反社の世界では、いかにそういう輩との関係を断ち切るかが重要。知らなかったでは済まされません。知らなかったではなく、知るための企業としての努力、対応ができていなかったということですね。この事件、まだこの後があるんでしょうか。

関西スーパー 最高裁は 総会決議認める

関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング傘下の食品スーパー2社との経営統合を巡り、最高裁は12/14、統合手続き差し止めを求めたオーケーの許可抗告を棄却する決定をしました。決定を受けてオーケーは同日、関西スーパーの買収を断念すると発表しています。

ここまでの振り返り

発端となったのは、10/29の関西スーパーの臨時株主総会に出席した1人の株主の行動。「棄権」を意味する白票を投じたものの、投票締め切り後に本人が申告し、関西スーパーは「棄権」とした票を「賛成」と修正。議案は、可決に必要な「3分の2」をわずかに上回る66.68%の賛成で承認されました。オーケーは「票の集計に疑義がある」と主張し、統合手続きの差し止めを求めていたという件。

神戸地裁では票の取り扱いが修正された議決を「法令違反または著しい不公正がある」とし、オーケーの主張を認め統合手続きの差し止めを認めました。

しかし、続く大阪高裁は白票は誤認によるもので、株主の意思を考慮すれば賛成票と扱えるとして、議決は有効と判断。

そして今回、最高裁は、統合手続き差し止めを求めたオーケーの許可抗告を棄却する決定を。つまり、関西スーパーの臨時株主総会における決議(エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の食品スーパーであるイズミヤ、阪急オアシスとの経営統合)を有効としたわけです。

違和感あるなぁ

kuniの予想は見事に外れました。しかし、違和感あるなぁ。ていうか、総会決議の在り方云々の前に、衰退一途の百貨店系との経営統合、というところにそもそも違和感を持っているのかもしれませんが。そうそう、負けてしまったオーケーが出しているプレスリリース、メチャ格好いいすよ。是非ご一読を。

関西スーパー 臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義

関西スーパーマーケット(関西スーパー)をめぐる、大手百貨店エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と食品スーパーのオーケー株式会社による争奪戦。臨時株主総会が開催され、関西スーパーとH2Oグループとの経営統合は僅差で可決されました。が、しかし。

オーケーの主張

オーケーは11/8、「関西スーパー様の臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義の判明について」を同社ホームページで公表しました。なんと、集計作業に疑義が、、。

集計作業終了後、関西スーパーの判断として、「棄権」として扱われていたある株主の議決権を「賛成」としてカウントしなおしたというもの。これにより、「僅差で否決」となっていた結果を、「僅差で可決」にひっくり返した、という主張になっています。

関西スーパーの主張

一方の関西スーパーも、11/9、「当社の臨時株主総会における議決権行使の集計経過に関するお知らせ」を公表し、オーケーの主張に反論しています。集計結果を修正したことは認めつつ、次のような主張を。

総会における集計の途上、ある株主から総会受付に対し、自らの投票が事前に行った賛成の意思表示のとおり取り扱われているか確認してほしい旨の申出があった。集計作業終了前のことであり、当該株主からの依頼にこたえて、白紙投票=棄権、を賛成票と集計しなおした。というものです。

関西スーパーは、「株主様が投票時に示された議決権行使の意思表示を正確に反映して集計を行ったものであり、この取扱いの適法性に何らの疑義もございません」とも。いやぁ、凄いことになってきましたね。上記はかなりザックリ書いていますので、皆さんもぜひ両社の主張を読んでみてください。どちらもA4、2ページ前後の書き物です。