ソーシャルレンディング エーアイトラスト 監視委員会が再び勧告

2/22 証券取引等監視委員会はインターネット経由で融資を紹介するソーシャルレンディング業者のエーアイトラストを行政処分するよう金融庁に勧告しました。同社への処分勧告は昨年12月7日にも行われており、併せて建議も行われました。その後、12/14には金融庁から、すべての金融商品取引業務について1か月間の業務停止命令を含む行政処分が行われています。

最初に処分勧告を受けた時にも当ブログで取り上げました。「ソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト株式会社」「ソーシャルレンディング 金融庁は」の二つの記事も併せてお読みいただければ。。。

やはり溶け出していた資金

やっぱりこの会社おかしいですね。一度の立ち入り検査で2回も処分勧告食らう会社ってkuniも聞いたことありません。前回、当ブログで取り上げた時点では、集めたお金がどうなったのかについては全く分からない状況でしたが、今回はその辺りが少し解明されたようです。

取締役の山本幸雄氏が同社に紹介したファンド貸付先から、山本氏が実質的に支配する法人に、少なくとも15億8千万円が流出しているそうです。これを受けて同社のホームページでは、山本氏を解任したという役員異動のお知らせが出ています。また、「山本氏及び同氏が実質的に支配する法人に対する法的措置を検討する」とも書かれています。

勧告の内容

一つ目は、高速道路事業を貸付対象事業とするファンでにおいて、大手ゼネコンJVの名称を用いるなどして、あたかも国土交通省から発注を受けた事業の孫請けをしている業者へのレンディングに見せかけ、実はそうした実体のない貸付だったというもの。もう一つも同様に実体のないファンドであり、この二つについては「虚偽の表示」を認めています。

三つ目に、実態のないファンド、とまでは立証できなかったようですが、取得勧誘時の「30億円をボトムラインとして」という説明の仕方が、最低でも30億円の売り上げが予定されているかのような誤解を招くとして、「誤解を生ぜしめるべき表示」であると指摘されています。こちらは「虚偽の表示」と比較するとやや軽めの指摘です。

そして最後に、平成29年2月から30年11月までの募集総額52憶円のうち、少なくとも15億8千万円が流出していたという指摘です。態勢面では、事業実態や貸付先におけるファンド資金の使途等を把握するための管理態勢、および貸付実行後のモニタリング態勢について言及しています。

おまけ

以前この会社のHPには役員が紹介されていたと思うんですが、今は役員名簿が載ってません。さらに、今回解任された山本という取締役、就任が去年の10月なんですね。流出したお金を集めていたころはこの人取締役じゃないわけです。検査着手から取締役就任のタイミング、解任に至るまで、どうも良く分からないことが多すぎます。この取締役だけが働いた悪事ではなさそうです。なんだか大きな事件になりそうな予感がします。

銀行業務 高額送金 地銀波乱 人材枯渇の危機

2/20 日本経済新聞に二つの記事が掲載されました。一つ目は「銀行業務、溶ける境界 決済に続き高額送金も」。もう一つが「地銀波乱 人材枯渇の危機(上)新卒が集まらない 厳しい経営 魅力も低下」です。地銀にはWパンチですね。とうとう来るところまで来てしまったか、そんな感じです。

高額送金業務の解禁

一度に100万円を超す送金業務は銀行にしか認められていませんでしたが、法改正によりこれを銀行以外にも解禁するというお話。登録制で参入しやすい少額送金とは別の、資本金などで厳しい要件を求める高額送金業者という類型を認可制で設けるという考え方です。

LINEをはじめとする送金業者は従来100万円以下の送金しかできませんでしたが、法改正後に認可を受けることができれば、高額送金も可能になります。いわゆるフィンテック企業がどっと流れ込んできそうですね。また一枚、銀行業務の垣根が崩れることになります。新規参入で送金業務の手数料等の体系は一気に価格破壊が起き、銀行にとって従来通りの手数料収入は見込めなくなるわけです。

記事では最後に少しだけ触れていましたが、マネーロンダリングやテロ資金供与に関する護りのガバナンスにおいて、どれだけ確固たる対策を準備できるかが問題になってきます。かなりのコストを要することでもありますし、一度制裁を受けると再起できない程の金額になることもあります。ここはあえて少額送金業者にとどまるという判断もありかもしれません。

地銀波乱 人材枯渇の危機

昨年12月のお話として伝えていますが、翌年4月入社の新卒採用をまだ募集していたという話。例として取り上げていたのが、西京銀行です。まぁ、よりによって西京ですか。記事では西京銀行に限らず、昨年末の時点でなお採用活動を続けていた地銀は少なくないと書いてましたが。。。

TATERUと西京銀行でアパートローン。こんな不祥事で全国区で有名になってしまった第二地銀ですからね。そりゃ人は採れないですよ。入行したと思ったらいきなり行政処分。気が付いたら流出する預金を繋ぎ止めるのが新人の初仕事、なんてのはシャレになりません。

最近念仏のようによく聞く言い回し。全国の地銀は105行。およそ半分の52行で2期以上連続本業損益が赤字。さらにその半分の23行は5期以上にわたり連続して赤字。この記事でも書かれてます。

19年新卒へのアンケート結果 最も敬遠したい業界 メガバンク・信託銀行

アンケート結果も添えられており、就活中の文系学生が最も敬遠したい業界として、第3位に地銀がランクインしています。昨年10位から大幅に順位を上げたとか。しかし、むしろ気になるのは1位がメガバンク・信託銀行になってるところです。採用枠をグッと絞ったメガバンクは、大丈夫だったんですかね。

KYB 住友精密、人件費の水増し請求 防衛省向け

少し前のことになりますが、1/29 日本経済新聞の記事です。両社ともに防衛省に納入した航空機部品で代金を課題に請求していた事例が見付かったことを公表したという報道でした。この時は何で同じ日に公表?くらいにしか思っていませんでした。

KYBに関しては、例の免振装置の改ざんに関する調査の過程で、従業員らが自己申告して発覚したといいます。まぁ、このプロセスは理解できますよね。KYBにとっても横展開ということで、当然炙り出すべきものが炙り出せたということになります。

住友精密がほぼ同じタイミングで公表してきたところがよく分かりません。KYBは航空機のブレーキなどの部品、住友精密は航空機の脚部で9割以上のシェアがあるといいますから、脚部に関しては両社で作っていたんでしょうか。防衛省に対する報告タイミングとしては同日だったようですが、KYBが「過大に計上した可能性がある」と報告したのに対し、住友精密は「報告を準備している」と連絡してきたということらしいです。何となく状況推測できますね。

防衛省に対する過大請求

防衛省ってかなり適当な管理しかしてないんですかね。昔も確かあったよな、、、と思いながら調べてみると、やはりありました。2008年には極東貿易、2012年には三菱電機、住友重機、これらの関係会社5社が、2013年には島津製作所が防衛省に対する過大請求を公表しています。

また、2018年には東京航空計器という非上場会社が26憶円を過大請求していたとして、延滞金、違約金も含め70億円を防衛省に納入しています。

これらの中でも三菱電機の件は強烈です。防衛事業では40年近く、宇宙事業では20年にわたって、過大請求をしていました。過大請求が確認できた過去17年間を対象に、グループ会社含めて合計374億円を過大請求。返納金、違約金、延滞利息の合計773億円を返還しています。この事件今だったら大変なことになってますよね。

防衛省が支払うのは血税です

防衛省への過大請求、我々民間人に直接被害が及ぶわけではありませんから、騒ぎが大きくならないように思います。今回の2社の件についても、今のところそれほど大きく取り上げられていません。

しかし、防衛省が支払うのは我々国民の血税ですからね。請求する方も支払う方も真剣な対応をしてもらわなければ困ります。防衛省に群がる防衛装備等納入業者、しっかりチェックしていきたいところ、今後の調査結果公表を待ちましょう。

再生エネ電力 選べる時代  みんな電力 積水ハウス

2/19 日刊工業新聞の記事です。皆さんは再生エネルギーによって発電された電気を選べるとしたら、再生エネ電力を使用しますか?なんて、いきなりの質問でしたが、個人の場合はこの話題にそれほど反応はまだないですよね。今より割安になるなら、、、って感じでしょう。

みんな電力

「みんな電力」という会社がこの記事で紹介されていました。世の中には頭のいい人たちがいるもんですね。どこの発電所で何をエネルギー源(再生エネ)に発電された電力かが分かる。その中から発電所を指定して使用することができるんだそうです。

みんな電力さんのホームページで確認したところ、現在、60か所くらいの発電所が紹介されてました。ここでいう発電所はかなり本格的な水力発電から、10キロワット程度の家庭用に少し毛が生えた程度のものまでいろいろあります。

「顔の見える電力」というのがこの会社のウリで、電力の生産者がわかり、そのストーリーを感じることができる、世界でも類例のない電力小売りサービス。と謳っています。

ESG投資を呼び込む

冒頭の質問に対する答え、上場企業あたりになるとかなり事情が変わってきます。そうなんです。ESGに対する取り組みが自社への評価につながってしまう上場企業等は、この再生エネ電力使用するはずです。おまけに、再生エネ電力を使用したことの証明までしてくれるとなると、まさに渡りに船ですよね。

みんな電力さんの取締役の話も交えながら、「お金を払った先が再生エネ由来の電気と言えることが重要」であり、「被災地の風力発電所から電気を買った」というストーリーを外部に伝えることができ、社会的な評価も高まると伝えています。これ以上説明は不要でしょう。

そんなことで、既に丸井グループやTBSホールディングスなどが同社の顧客だそうです。現在の株主にも、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、横浜キャピタルといったメガバンク等が並んでいます。資本金6億3,420万円ということですから、そろそろ上場準備に入っているものと思います。楽しみな会社です。

積水ハウスオーナー電気

同じ記事の中で、こちらは外販はしていないようですが、積水ハウスの話題もありました。同社の建築した住宅の太陽光発電。FITによる売電が終了する家庭から同社が電力を買い取るサービス名とのこと。いわゆるFIT終了の19年問題というヤツの解決事例ですね。

同社製の住宅に搭載済みの太陽光パネルは、年7億キロワット時を発電するとのこと。このうち2~3割を買い取れば、同社が使用する全事業の電力が再生エネ化できるんだそうです。今のところ積水ハウスには、事業として取り組む意向はなさそうですが、大手住宅メーカーって再生エネ電力小売り事業の核になって行くかもしれませんね。

インフラ輸出、風力で挽回へ 政府戦略見直し、貿易保険で優遇

2/15 日本経済新聞の夕刊にこんな記事が出ていました。記事では、「政府は風力発電などの再生エネルギー分野をインフラ輸出の重点分野とする方針だ。優遇する貿易保険を新設し、金融機関が風力発電などの輸出計画に融資しやすい環境を整える。」と伝えています。

経協インフラ戦略会議

経協インフラ戦略会議において、従来の原子力発電に代わって、洋上風力発電をはじめとした再生エネルギーなどについて、「経営参画も含めた取り組みを積極化する」と明記するようです。

経協インフラ戦略会議とは、安倍晋三政権の成長戦略を支えるために設置された組織の一つで、海外との経済協力やインフラ輸出、資源獲得の3分野を統合的に議論する会議体です。会議は官房長官が議長を務め、副総理兼財務相、総務相、外務相、経済産業相、国土交通相、経済再生担当相のほか、必要に応じて関係者が出席するとされています。

2013年3月に初会合が開かれ、安倍首相は、「企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステム輸出を後押しすることは、3本の矢の一つである成長戦略の重要な柱」と強調。経済協力、インフラ輸出を考えるうえで、
① アジアを中心とする新興国の成長を取り込み、日本経済の活性化につなげること
② 日本の優れた技術を世界に提供し、人々の暮らしを豊かにすること
③ 政府として、海外の現場で働く邦人の安全を最優先に確保すること
の3点が重要であるとの考えを示しています。

政府が動き出した

東芝や三菱重工が原子力から撤退し、つい先日は日立の英国での原発計画が凍結されたことを受けての判断のようですが、正解だと思います。当ブログでも再生エネルギーの重要性については何度か取り上げてきました。ただ、今回の判断はインフラ輸出としての国の支援ということ。国内での再生エネルギーの推進策ではありません。

とはいうものの、国内で実績のない技術が海外で通用するわけもなく、当然国内での実績は積み上がっていくと思われます。太陽光発電は電力の買取単価の魅力で一気にブレイクしましたが、洋上風力発電や地熱発電といった大きな投資を要する設備が拡大するためには、買取単価だけでは難しそうです。政府の後押し、次の施策に期待しましょう。

もう一つのインフラ 日本の高速固定通信

2/16 朝刊トップでは、「日本の光通信速度、先進国23位に転落」という記事がありました。日本の光回線など、高速固定通信の速度が低下しているということ。回線がそのままで、足もと一気に通信量が増えているわけですから、そうなりますよね。これも心配です。言うまでもなく、次の最重要インフラとなる5Gについても、遅い回線の影響を受けてしまいます。これに対しても国の支援など、適切な関与を期待したいところです。