長短金利逆転とフィラデルフィア半導体株指数

週末の日本経済新聞では、米国における長短金利逆転が伝えられています。10年物国債の金利が米財務省証券(TB)3カ月物の金利を下回ったということで、2007年8月以来で11年振りの出来事なんですね。通常は期間の長い債券の方が金利は高くなるのですが、これが逆転する現象です。たしか、当ブログでも過去に一度取り上げたことがあります。

長短金利逆転 リーマンショックの記憶

長短金利が逆転すると、それから1年以内に景気後退が始まると言われていて、実際過去はそのような動きになってきました。特に11年前にこの現象が起きた際、直後にリーマンショックが起きた記憶が鮮明に残っているため、今回の逆転現象には、より注目する向きが多いというわけです。

記事によると、この現象が10日間続いた場合、平均で311日後に景気後退が始まる計算になるそうです。当然これに併せて株価も下げに転じるでしょう。先週末に米株式市場でダウが460ドル下げた原因の一つにもなっています。長短金利逆転の状況が、このあと何日続くのか、要注目ですね。

フィラデルフィア半導体株指数の上昇

一方で、フィラデルフィア半導体株指数が米国株の先行指標として有効という記事も出ていました。SOX指数とも呼ばれ、半導体の製造・流通・販売を手掛ける企業(インテル、AMD、クアルコムなど)30銘柄の株式で構成される株価指数です。

昨年3月に付けた高値が1445ポイントで、先週1441ポイントまで付けています。週末に大きく下げましたが、今後高値を抜いてきそうな勢いではあります。「世界の景気動向を映す半導体株を米国株の先行指標として注目すべきだ」と米国のある調査会社が指摘しているとのこと。kuniはこの調査会社の名前知らなかったので、有名な会社かどうか分かりませんが。

スマホから5Gへの端境期

世界景気を牽引してきたスマホが急減速。これに米中貿易戦争が止めを刺すような恰好で年末年始の株安を誘発しました。そして今現在半導体株指数の動きを見ていると、確かにスマホ時代のピークを越えようとする動きがあります。以前当ブログでも整理してみたように、5G関連の投資が盛り上がり始めています。

こうして整理してみると、スマホ→5Gへの端境期なのかもしれませんね。米国株のみならず、日本の半導体関連株、5G関連株についても注目しておく必要がありそうです。

同じタイミングで報道された、長短金利逆転という不吉な現象と半導体関連株の復活の兆しという、相反する先行指標について見てきました。さてさて、今回はどちらが正しい先行指標になるんでしょうか。

加圧シャツ 消費者庁が9社を処分

3/23 日本経済新聞が「着るだけで筋肉 根拠なし 消費者庁、9社を処分」という記事を掲載しました。着るだけで圧力によって痩せるとか、筋肉がつくという、あれですね。ネットの広告でうんざりされた方も少なくないと思います。手掛けていた業者が9社もあったんですね。知りませんでした。

楽して痩せる 楽して筋力アップ

一時期、加圧トレーニングの効果が宣伝された時期がありましたが、これを悪用したんでしょうね。しかし、この手の商売に引っ掛かる人って、本当に着るだけで痩せるとか、筋肉が付くとか、思ってるんですかね。もしそれが事実なら、そこら中の人が痩せて、マッチョになってるでしょうに、、、と思わないんだろうかと、kuniはとっても不思議なわけです。

などと書いていて、思い出しました。kuniの友人にもそういうタイプの人がいました。いわゆるトレーニング機器で、無理せず痩せられるとか、お腹が引っ込むとかいう商品をとにかく買い続けてるやつ。すぐに飽きちゃうのか、効果がないからか、使わなくなるくせに、新商品が出てCMとか見ると、今度の商品は効果がありそうだと思うらしく、また買ってるんですね。だから、家にはものすごい数のトレーニング機器が。懲りないんですよね。

2017年以降に60万枚、約20億円売り上げた会社も

20億円ですって。一枚5,000円として40万枚?そんなに売れるんですね。書籍だったら単価は1/3くらいだから、3倍の120万部売れましたって感じですかね。これだけ売れる書籍はなかなかないですよ。消費が低迷していると言いますが、どっこい買い手はいるというわけです。

日経の間違いとこのあと

小さなことですが、日経の報道に間違いがありました。日経では「消費者庁は合理的な根拠を示す資料を求めたが、提出した社はなかった」と書いていますが、消費者庁の措置命令を読むと、9社のうち7社が資料を提出したとあります。ただ、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。」としています。

今回は措置命令ということで、違反したことを消費者に周知し、再発防止策を求めているだけで、一旦弁明の機会を与えるという意味で時間を与えます。効果に関しては既に7社が合理的な根拠を示せなかったわけですから、通常通りこれら事業者に対し、課徴金の納付を命じることになると思われます。

楽して効果は得られません

kuniは自宅にベンチやバーベル、ダンベルなどを持っていて、自宅トレーニングで身体を作っています。週に一回のトレーニングですから、大したことはありませんが、いろんな人から「良い身体しているね」って言われる程度の身体ではあります。

だからあえて言いますが、楽して効果が得られることはありません。ダイエットも筋トレも、何かしら犠牲にするものがありますし、辛いことが付き物です。皆さんも、こういう楽して~、みたいな怪しい商売に引っ掛からないように気を付けましょう。

最低賃金 労働分配率 従業員への還元

日本経済新聞で「ニッポンの賃金」という特集記事が組まれていました。上、中、下の3回連載とデービット・アトキンソン氏へのインタビュー記事。ここに来てようやくという感じですが、従業員への還元(賃金)について、様々な面から議論されるようになってきました。

働き方改革の延長線で

働き方改革により、企業における残業は着実に減少しているようです。一方で残業時間の減少により、従業員の収入の減少が問題視されるようになりました。働き方改革で従業員の満足度が下がったのでは意味がありません。記事では労働時間が減少しても、従業員の収入が減少しないように賃金を引き上げる企業として清水建設が紹介されています。

労働力人口の減少という切り口

日本の労働力人口はこれから着実に減少していくと言われています。最近では、セブンイレブンの24時間営業が怪しくなってきた件に象徴されるように、労働条件の良くない職場から順に人手不足が目立つようになってきました。今後こうした人手不足は多くの企業に拡大していくはずです。人手を確保するためにという切り口でも、賃金を上げるという動きが出てきています。

企業における金余り

企業は200兆円以上の現預金を抱えています。従来のような巨額の設備投資が不要になったということもあり、内部留保が溜まってしまったわけです。モノに投資する必要がなくなった分、今度はヒトにお金が回せるようになってきました。企業における金余りが賃金を見直すきっかけにもなっています。

ガバナンスの向上に従業員満足

一時期、毎日のように発覚していた検査データの書き換えといった企業不祥事が鳴りを潜めたと思ったら、最近ではアルバイトによる不適切動画の投稿が一気に増加しました。企業不祥事も不適切動画も実は同根のような気がします。過酷な労働条件の下、従業員やアルバイトが疲弊し、追い詰められて取ってしまった行動。そんなふうに思えるんですね。

記事でも労働分配率が高い企業ほど、株価が上がりやすいことを紹介しており、「従業員の満足度や、やる気の向上が、中長期的に株価に好影響を与えている可能性がある」と、あるファンドマネジャーが指摘していました。kuniもその通りだと思います。従業員に真剣に向き合ってこなかった従来の日本型経営に、限界が見えてきたということなんでしょう。

株主への還元の方が一足先に始まり、多くの企業に広がりを見せてきましたが、従業員への還元についても同様に、もしくは対株主以上に、早急に対応していく必要がありそうです。

QRコードの規格統一

3/18 日本経済新聞で「QRコード統一規格、月内にも公表 コスト懸念も」という報道がありました。経済産業省と産学官が立ち上げたキャッシュレス推進協議会が29日にもQRコード決済の統一規格を発表するとのこと。時間かかりましたねぇ。やっとですか。

今回の決め事は、利用者を識別する番号の割り振り方法を定め、複数の事業者が異なる利用者に同じ番号を発行するのを避けることなんだそうです。クレジットカード並みの仕様を求めているため、セキュリティーの向上が期待できるものの、加盟店や利用者にコストが跳ね返る懸念があるとも。

キャッシュレス決済、乱立模様ですが、やっぱり最後は加盟店や利用者へのコストのところで揉めてます。QRコードに関するキャッシュレス推進協議会のここまで、いかにも日本らしい展開ですね。QRコードが先に普及した中国では不正利用が頻発。最終的にはクレジットカードなど既存の決済事業者の意見が採用されて、高コストながらセキュリティーを重視する仕組みとなった。ことも書いています。お国柄というか、まさに実装の国であることがよく分かります。まず実際にやってみて、上手くいかなかったら修正すればいいという国民性ですね。

実際の使い勝手ってどうなんでしょう

kuniはこのところ少額決済はほぼPASMOを使ってます。毎日通勤で使用するカードだから、お金のチャージには困りませんし、コンビニ等での決済はメチャ簡単・スピーディ。たまに多少お高い買い物するときはクレジットカード。クレジットカードが使えないお店に出くわしたことないですね、今のところ。

こうしてみるとスマホのQRコード決済って本当に普及するんかなぁ。というのが最近の正直な感想です。お店側の導入コストやレジでの処理スキルなどに配慮すればするほど、ユーザー側に手間が増加します。ペイペイの支払い場面の説明動画を見ましたが、店のQRコード読み込んで、支払額を入力して、お店の人に確認して、やっと送信。みたいなやりとりですね。PASMOなら、「PASMOで」って言って、カードリーダーにピッとかざしておしまい。

日本のスタンダードとkuniの個人的希望

日本では大都市に人口が集中しています。そこには世界に誇る交通網が張り巡らされていて、通勤する人、通学する人のほとんどがSUICAやPASMOといった交通系カードを持っています。てな具合に考えていくと、日本における少額決済では交通系カードを軸にして発展させていくのが正解のような気がしますね。

kuniの希望はPASMOのチャージ上限を引き上げてもらって、かつ改札機での自動チャージに使用するクレジットカードに、普通のクレジットカードが使えるようにしてもらうことです。そうなるととても便利になるんですが。

再生可能エネルギー バイオマス

先週末の日本経済新聞に、東京電力とイーレックスという会社が再生可能エネルギーの電力を中心に販売する新会社を共同で設立するという記事がありました。ここでの再生可能エネルギーによる発電はバイオマス発電のことのようです。ということで今回はバイオマス発電を取り上げました。

何度か書きましたが、政府は昨年改定したエネルギー基本計画で、再生エネを将来の主力電源にすると明記しました。総発電量に占める再生エネの比率を現在の16%から22%~24%へ引き上げる計画になっています。

バイオマスはカーボンニュートラル

バイオマスという言葉は何となく知っていたものの、実際にどうやって発電するのかまでは分かりませんでした。調べてみると、直接燃焼方式、熱分解ガス化方式、生物化学的ガス化方式と、大きく3種類があるそうです。つまり、結局のところは燃料を燃やして電力を得るわけですね。じゃぁ、二酸化炭素は発生するじゃん。ってことになるわけですが、バイオマス発電については、カーボンニュートラルという考え方をするそうです。

カーボンニュートラルというのは、「バイオマスは燃焼すると当然二酸化炭素を排出しますが、もともとその二酸化炭素は植物などが成長する過程で、大気中から吸収したモノであり、トータルとして二酸化炭素の量は変化しない(増加しない)」という考え方なんだそうです。ん?分かったような、、、いまいち納得できないような、、、。

一方で、再生可能エネの太陽光発電や風力発電などが気象等に左右され、発電量が計算し難いのに対し、1日24時間の連続運転できる点がバイオマス発電の強みとのこと。うまく組み合わせることが重要になりそうですね。

イーレックスのバイオマス

イーレックスのバイオマス発電はパーム椰子の種からパーム油を搾油した後のヤシ殻を燃料にするんだそうです。屋外保存できる燃料として今注目されているとか。現在、ヤシ殻を燃料とする国内最大級のバイオマス発電所を運営していて、今後も6発電所を計画しているようです。

東京電力は水力発電

記事に戻りますが、一方の東京電力は水力発電により作られた電力を拠出すると書かれています。新会社としては、ESGへ積極的に取り組む企業向けに、再生可能エネにより発電された電力を売り込もうというお話です。

東京電力は国内に164ヶ所も水力発電を運営しているそうです。kuni的にはこの水力発電も気になっています。大規模な水力発電所の建設候補地は既になくなってしまったと言われていますが、ダムを造らない小水力発電なんてのもあるらしいです。この辺りのお話もまた別の機会に。