令和とクーデター

日本で新しい時代令和がスタートしましたが、これとほぼ同じタイミングでクーデターか起きた国があります。地球の裏側、南米のベネズエラです。以下日本経済新聞からの引用です。

ベネズエラの野党指導者グアイド国会議長が4月30日に呼びかけた事実上のクーデターは同調する軍人が一部にとどまり、不発に終わりつつある。独裁体制を固めるマドゥロ政権に追い詰められた野党陣営の「賭け」は自らを窮地に追いやる結果となった。野党陣営は1日、大規模デモを計画するが、政権打倒の道筋は見えにくくなった。(引用ここまで)

ベネズエラ

ベネズエラは元々コーヒーやカカオなどの農業が中心の国でしたが、20世紀前半から石油輸出額が第一次産品を抜き、1950年代にアメリカ合衆国、ソ連に次ぐ世界第三位の産油国となりました。その後1960年代、1970年代を通して高成長が続き、一人当たりGDPでは南米一に上り詰めています。

その後1983年、原油価格が下落に転じるのに合わせ、20年前の状況にまで経済状態は悪化します。このことから、ベネズエラは「失われた三十年」を経験したとの分析も存在するそうです。ちなみに原油の埋蔵量は世界一とも言われています。

資源に乏しく、そのために戦争や高度成長を経験した日本と、資源に恵まれたがゆえに原油の市況や原油を巡る外交に振り回されたベネズエラ。まったく環境の違う国ではありますが、ほぼ同じ時代に失われた30年を経験した国という共通点があるわけです。

自ら決意して変化を起こす

今回クーデターにまで発展した経緯の詳細や、クーデターが失敗しそうなことなどはともかく、グアイド国会議長たちは自ら決意してクーデターを引き起こしました。それに比べると日本の新時代は平和で計画的に訪れています。もちろん日本の方が幸せなんですが。。。

新年を迎える時も、いったんゼロリセットして新たな年というか、新たな自分をスタートさせる日本人。与えられたきっかけでしかスタートを切れない人が多いんですかね。きっかけは自分での意思で作っていきたいものです。

ほぼ同じタイミングで訪れようとした日本とベネズエラにとっての新しい時代。祝賀ムードで迎えた日本と、決死の思いで手に入れようとしたベネズエラという好対照。地球の裏側での出来事ですが、何か他人事のように思えないんですよね。

三菱UFJ銀行 本部人員半減

連休2日目の4/28、日本経済新聞一面で「三菱UFJ、本部人員半減 23年度までに 営業などに異動」というかなり刺激の強い記事が掲載されました。抜本的構造改革みたいな話は、ほかのメガバンク、野村證券などで相次ぎましたが、ここまで具体的なメッセージは初めてです。しかし、こんなニュースがなぜ連休に入ってから出てきたんでしょう。記事を読んですぐに感じたのはそういう違和感です。

気になったので三菱UFJ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループのホームページを探ってみましたが、そのようなニュースはありませんでした。「インドネシア大手商業銀行バンクダナモンへの戦略出資について」というお知らせが4/29付で出ていますので、連休中も更新はされています。

現時点では法人関係情報にも該当しないでしょうし、レピュテーショナルリスクも高くないという判断なのでしょうか。打消し公表みたいなもの(一部の新聞で〇〇が報道されましたが、当社が公表したものではありません、、、てなやつ)も出されていません。kuni個人的にはこの展開はよく理解できないです。

行員たちにとっては一大事

すでに10連休入りしており、記事を読んだほとんどの行員はお互い顔を合わせることもなく、心配しながら一週間以上過ごさないといけませんよね。経営陣は「日経が勝手に書いた推測記事だから」と完全にスルーしてるのかもしれませんが、行員たちにとっては一大事です。

業績が芳しくない会社で本社から支店への異動というのは辛いものです。こうしたケース、会社としては、「辛い営業現場に出てもらって稼いでもらう。場合によっては退職してもらうのもあり」という判断をしているわけで、異動させられる社員にしてもそのくらいのことは理解しています。

「ひょっとしたら自分もどこかの支店に、、、」。都内に家を構えたばかりなのに、とか、子供が都内で進学したばかりなのに、、、といった節目を迎えている行員も多いと思います。こんなことを考えながらの10連休なわけですよ。経営陣はそういうことまで考えてあげたんでしょうかね。

もしかして経営陣が意図的にリーク

一方で、経営陣があえて10連休というタイミングでリークしたという可能性もありですかね。今後の身の振り方を相談する相手と一緒に居られる連休。時間もたっぷりあるのでゆっくり相談して、考えておいでという意図があった、みたいな。ちょっと考えすぎですか。しかし、もしそうならこの会社鬼ですね。

構造改革を迫られる銀行業界。そのなかで現場に立つ従業員のやる気を高めて、生産性を向上させるために、組合要求の2倍のベアを決めた三菱UFJ銀行。頑張ってくれる行員にはしっかり報いていくが、人員は削減せざるを得ない。そんな舵取りだとは思われますが、連休中の報道に対するなしのつぶてはいかがなものでしょう。

日本でもやっと 量子コンピューターが

GW 皆さん楽しんでますか?帰省や旅行でとりあえず片道移動したところって感じですかね。お疲れさまです。kuniはどこへも行かず、パソコンのリニューアルに取り組んでました。10年近く前に組み立てたPCを最新パーツとWindows10で蘇らせました。ハードディスクも今流行りのSSDに換装。めちゃくちゃ速くなりました。SSDお勧めです。

4/29付け日本経済新聞に特集記事。「量子計算機に新興の知 配送ルートや新製品の配合 最適解提案、黒子役に」が掲載されました。カナダのDウエーブ・システムズが開発した量子コンピューターがかなり話題になりましたが、このマシンを使って新たなビジネスを模索するスタートアップ企業が次々登場しているということです。

もともとは日本の技術だったのに

それにしても、Dウエーブ・システムズの量子コンピューターを使って・・・というのがなんか悲しいです。この会社の量子コンピューターが採用している、量子アニーリング方式(量子焼きなまし法)。もともとは日本人の西森秀稔東京工業大学教授が考え出した理論なんですよね。2010年当時、日本の産業界が元気な時代であれば、この理論に基づき日本の企業が独走した可能性もあったのでは、、、これは残念です。

量子コンピューターには、他にも量子ゲート方式というのもあって今まさに進化を競っているところらしいです。「量子コンピューターが人工知能を加速する」という本を昨年読みまして、量子コンピューターがどういうものなのか、多少はかじったつもりです。著者はこの日経の記事に出てくる、西森秀稔東京工業大学教授と東北大学の大関真之准教授です。

新たな試合のルールがわかってきた

とまぁ、過去を悔やんでいてもしょうがないですね。今ここから日本で何ができるのか。そう考えるべきです。両氏のこの本の最後の章では、「日本が世界をリードする日は来るか」というお話が出てきます。そこにはこんなくだりが。

「D-Waveが、量子コンピューター開発の新たな方向性を示して大きな流れを生み出したことは間違いない。だが、まだゴールはほど遠い。新たな試合のルールがわかってきたところであって、本番はこれからだ。」 

やっと日本でも、こういう研究に資金が付くようになってきました。スパコンで1千年かかる最適ルート算出を1秒で実行してしまうという量子コンピューター。お二人にはこれからも期待したいと思います。

とうとうやったか「みずほ」 やっとやったか「三井住友」

4/17 日本経済新聞の金融面で、両社の「初めて」の記事が紹介されていました。みずほに関しては、中小企業向けのオンライン融資に大手で初めて参入するという話題。三井住友は年功序列制度からの脱却を目指し、若手を管理職に登用するなどの人事改革。なかなか面白いコントラストで、とうとうやったか、、、と、やっとやるんですか、、、。というメガバンクの動向が伝えられてます。

みずほ銀行

ロットの小さい中小法人向けの融資。これまでは地域金融機関が担ってきたゾーンですが、ネットの発展やAIの進化で、とうとうこのゾーンまでメガバンクが進出です。第一報はすでに一週間くらい前に日経が伝えていましたが、地銀や信金の皆さんはどう感じてるんでしょうか。

こうした法人の規模による金融機関の棲み分けも、なくなったと言われてきましたが、今回のみずほの戦略は、かなり小規模法人までを根こそぎという感じがしますね。融資業務は95%AIが業務を代替できると言われてますし、他のメガバンクも当然追随するでしょう。なりふり構わず、、、って感じです。

三井住友銀行

一方の三井住友は、年功序列から脱却して、最短8年目で管理職への登用に道を開くんだとか。また、定年を65歳に伸ばし、50代以降の給与水準を引き上げて、長く働ける環境も整えるとのことです。50代半ばで多くの人が関連会社や取引先に出て行ってしまうという銀行の文化も変わるかも、としています。

50代半ばで社外へ去るという制度、実はもう制度的に回らなくなってきてるんですよね。受け入れ先がなくなってきているということです。昔のように取引先に睨みがきくような時代ではなくなりましたし、子会社や関連会社にしても、どんどん人を受け入れられるほど景気は良くないです。銀行の人事部が受け入れ先を用意してあげられなくなってきているという事情も大きいはずです。

最短8年目で管理職へ登用というのは、良いことだと思うんですが、、、。銀行の今の文化の中で30歳になったばかりの課長さんが年上の部下を持つってのはかなり気の毒な気がしますね。まずは制度よりも、カルチャーを変えないと。処遇面でも成果主義の色合いを強めるとしていますので、こういうところでカルチャーを変えていくんでしょうね。残された時間はあまり長くなさそうだけど。

実は二つの記事、いずれも初めての領域に踏み込むというお話です。前者は踏み込んではならない業界におけるタブー領域に踏み込んだというニュース。後者はみんなそうするべきだと思っているのに、なかなかできなかった。それがやっと踏み込めたというニュース。そんなふうに感じたもので、変なタイトル付けてしまいました。

日本郵政 かんぽ株 主幹事 野村證券外し

4/17 日本経済新聞で「日本郵政 かんぽ株追加売却 主幹事野村外しの波紋」という記事がありました。日本郵政がかんぽ株の主幹事等を公表したのが今月4日。なんでまたこのタイミングでこんな記事が掲載されたのか、ちょっと良く分かりませんね。

野村不動産を巡る意趣返し

2年前に日本郵政が野村不動産を買収しようとしたものの、価格面で折り合わず、破談となったことに対する意趣返し。というのが今回描かれているシナリオのようです。もともと野村証券が持ち掛けた買収話だったんでしたっけ。しかし、そんな大人げないことやりますか?おまけに2週間も経ってから蒸し返すような話ですかねぇ。と、思います。

今年1月、もう一つ野村外しがあったようで、こちらはかんぽ生命が初めて発行した劣後債。引受先は大和、みずほ、三菱UFJモルガンの3社だったそうです。このタイミングで2回の野村外しに対してこんな記事が出るというのは、この後に控えている日本郵政株第3次売り出しに向けての牽制という意味でもあるんでしょうかね。となると、野村が書かせた記事ということになりますか。

ただ単に不芳な業者外しじゃないの?

とまぁ、いろいろと背景だとか、誰が書かせているのか、、、などと想像してしまう記事ではありますが、kuniは記事を読んで、ただ単純に「最近やらかした2社を外したんだ」と思いました。で、日本郵政の選定結果、全く違和感ありませんです。

直近3年間で4つの刑事事件、5人の逮捕者を出してしまった野村證券。3人は顧客のお金に手を付けてしまい、2人は社員寮で麻薬所持で逮捕。上場企業全部見渡しても、ここまで逮捕者出している企業はおそらくないでしょう。総合的な判断で主幹事外れて当然です。

記事では触れていませんでしたが、もう1社主幹事を外れてます。野村と同様、これまではグローバル・コーディネーターを務めていた、ゴールドマン・サックス証券です。こちらもマレーシア政府系ファンド「1MDB」の汚職問題に幹部が関与していて、壮大な訴訟に発展しています。こちらも総合的な判断で主幹事外れて当然です。

日本郵政側の判断としては、「不祥事を起こした業者は一定期間、取引先から外す」という普通の判断をしただけだと思います。日本郵政の公式な説明では「総合的な観点から選択した」とコメントしているようですね。実は証券界等では、反社会的勢力に該当する顧客との取引をお断りする際にも、「総合的な判断で」なんていう言い回しをするんですね。