株式会社ヤギ(7460) 調査報告書を公表

不適切な取引が行われていた疑義が判明し、外部専門家を含む社内調査委員会を設置していた株式会社ヤギ。5/31、社内調査委員会の調査結果を公表しました。21年3月期の業績予想上方修正(グッドニュース)との抱き合わせ開示です。

調査結果の概要

不適切な取引は、原糸であるにもかかわらず加工糸に偽装された商品の取引でした。このうち、同社が加工を依頼した企業が実際には加工することなく出荷していた取引では、同企業が加工費を不法に受領していたようです。

そしてこの不法に受領した加工費は、今回の商流で最上流に位置する企業A社の営業担当者の懐にも入っています。つまり、ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということのようです。

原糸や加工糸が実際に流通していますので、架空取引ではないわけですが、これらのブツは数社の中で循環取引にも発展していたとのこと。

ヤギの責任とA社

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっています。外部専門家も入れた調査委員会ですから虚偽はないでしょうが、なにやらスッキリしない結末になりました。

報告書の中でA社のブランドに触れている部分があります。こうなるとこのA社はどこだ?という疑問が出てくるわけですが、当然報告書では明らかにされていません。福井の繊維系上場企業だと、セーレンやサカイオーベックスなんかがありますが、、、。

まぁ、別に本社が福井でなくてもありうるわけですね。ブランドのある繊維商社で福井に支店を持っていれば。そのA社は今年3月時点で国税の調査を受けているとか。気になります。

共和コーポレーション 循環取引 調査報告書を開示

共和コーポレーションが第三者委員会の調査結果を公表しました。中古ゲーム機の仕入れ、販売先のA社(アーネスト社)が破産したことを受け、架空循環取引の疑義が、、、という事件でした。調査結果でもやはり架空循環取引であったことが確認されました。

ただの循環ではなかったみたい

下の図を見ていただくと分かりやすいかな。B社から仕入れて、A社(アーネスト社)に販売するという取引ですが、中古ゲーム機が保管されているはずの倉庫には過去から保管の事実はないことが確認されたということで、架空取引であると、、、。

共和コーポレーションの一社員が、B社から共和コーポレーションへ、共和からA社への架空取引をやっていたわけですが、その後A社からB社へと循環していたことは、共和の当該社員をはじめ、共和の役職員はだれも知らなかったんだと。えー、、、そんなことありますの?

当該従業員は自分で設立した会社も

今回の報告でビックリなのは、当該従業員が自分で設立したH社、I社、J社という3つの会社を介在させ、自らも別ルートで利益を得ていたという事実です。共和コーポレーションの社員でありながら、同業の会社を設立するなどして、競業取引を行っていたということです。

と、ここまで見事な商流を築いておきながら、A社からB社への循環は知らなかったということなんですが、ホンマかいな?って感じですよね。さらに、当該社員は仕入れ先のB社に対して、仕入れ代金を水増しして多く支払うなどの取引をして、B社に資金をプールしていた事実も確認されたんだそうです。凄い人やね、このひと。

そんな、こんなで、共和コーポレーションの架空の売り上げは17億2千万円。利益は9700万円だそうです。当該従業員は個人的にどんだけ儲けてたんでしょう。

ネットワンシステムズ 納品実体のない取引に関する調査 中間報告書

昨日、ネットワンシステムズは「納品実体のない取引に関する調査 中間報告書」を公表しました。調査の過程で、類似する不正(原価付替取引)が存在することが発覚したため、最終報告の受領は3/12に延期しますということです。掘ったら何か出てくるんですね。

中間報告ということで

中間報告書、まだしっかり読めていないところもあるので、要約の要約っぽく、まとめておきます。

  • 東日本第 1 事業本部 第 1 営業部 営業第 1 チームに所属するマネジャーA氏が本不正行為に係る取引(架空循環取引)を実行していた。
  • 同社において組織的に実行されたものではなく、全容を把握して架空の商流取引であることを認識していたのは A 氏のみであり、A 氏が単独で行っていたものであった。
  • 架空循環取引の名目上のエンドユーザーは中央省庁である(防衛省かい?)。
  • 同社のほか、情報システムに関する機器等の販売等を行う甲社、乙社、丙社、丁社及び戊社の 5 社(これらを併せて「当事会社」と呼んでいます)により繰り返されていた。
  • 当事会社の各担当者が A 氏と連絡を取り合い、本不正行為のために必要な書類をやり取りしていたことは認められるが、各担当者が、本不正行為が架空の商流取引であることを認識していた事実や、A 氏と共謀していた事実については、これまでの本調査においては判然とせず、現時点で認定するには至っていない。
  • 当事会社以外の複数の業者(「関与会社」と呼んでます)に架空発注されることがあった。すなわち、戊社及び同社の発注先である業者に対し、本不正行為によって支払われた金銭の一部が流出していると認められる。

気になるのは

ネットワンシステムズを含めると6社で循環。まだ1社明かされてない会社があるということ。他社の担当者と連絡を取り合い、不明瞭な資金のやり取りまであるのに、他社の担当者は巻き込まれただけと言えるのか。

上記では「金銭の一部が流出」とまとめましたが、毎月5000万円が支払われていたとの証言もあること。こんなところが気になるところです。もう少ししっかり読んでみようと思います。 (以上、速報でした。)

日鉄ソリューションズ 調査報告書(その2)

昨日書きました調査報告書の中から、気になるところをいくつか追記します。13日にはネットワンシステムズの決算発表が控えています。おそらくそこで架空循環取引の詳細が明らかになるんでしょうが、、、ちょっと先走ってみましょう。

最初の架空循環取引

日鉄ソリューションズの調査報告書では、最初に行われた架空循環取引は2014年6月に受注しています。売上への計上は同年12月です。今メディアで書かれているように、ネットワンシステムズが主導していたということであれば、この取引相手はネットワンシステムズでしょう。

以前当ブログでも書きましたが、ネットワンシステムズは同社社員の不正行為により8億円の被害を被る事件が起きています。循環取引ではありませんが、架空取引に対する架空外注費を払わせ、これを騙し取るという手口でした。この事件が発覚したのが2013年3月です。

3月8日に第三者委員会の報告書を受理して、適時開示も行っています。ということは2013年4月以降は、こうした不正行為をいかに未然防止していくのかといった、いわゆる再発防止策の実行時期になっていたはず。しかし、そこからわずか1年3か月後には新たな不正が始まっていたことになります。まったく酷いことになってますね。

ちょっと腑に落ちないこと

ネットワンシステムズの1回目の不正行為の際、「強い支配力を持つ行為者の行動については、治外法権として聖域化していた」と調査報告書に書かれていました。聖域化することで他のものを近づけないわけです。不正を働く者の常套手段と言っていいでしょう。

話を戻して今回の日鉄ソリューションズ。調査報告書の発生原因の中に、「秘匿性の高い取引先向けの案件であると説明されていたため」というのがあります。このように聖域化する必要があったのは、行為者が架空循環取引を認識して関与していたからでは?と思うんですが。

日鉄ソリューションズ 特別調査委員会の調査報告書

昨年12月13日に設置が伝えられた日鉄ソリューションズの特別調査委員会。同社は2月6日に調査報告書を受領したとのこと。同日付で調査報告書を基に同社がまとめた概要が公表されています。

架空循環取引

同社が公表した内容をそのまま。「当社が特定取引先との間で行った複数の取引について実在性が認められず、かつ、それらの各取引はエンドユーザーが存在しない状態で当社を含む複数の会社が介在する形で複数回にわたって循環を繰り返す一連の商流の一部を構成しており、いわゆる架空循環取引と認められた」

さらに、「本件架空循環取引はA社の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は、会社としてあるいは社公事業部として組織的かつ意図的に関与したものではないことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はなく、某氏が主導した本件架空循環取引に巻き込まれたものと認められる」

まぁ、ある程度予想通りの調査結果ですね。で、ここに出てくるA社というのが、もっぱらネットワンシステムズだと言われていますが。こちらも今週辺りには調査結果が出そうなので、それを待ちましょう。

データ等

架空循環取引等は2014年度に始まり、2019年度まで、計29件が認められています。売上金額は計428億円、利益は約28億円計上されています。このうち3件はその他の不適切な取引と分類されてますので、架空循環取引は26件ですね。ちなみに、今年度は4件で、134億円の売上金額となっています。

上記の29件ですが、取引先は6社になると報告されています。ここまでの報道では、ネットワン、日鉄ソリューションズ、東芝ITサービス、富士電機ITソリューション、みずほ東芝リースの5社でした。日鉄ソリューションズを除けば4社、、、ということはあと2社残ってる可能性もあるということですね。まだまだ続きますか。