株式会社ウェッズ 従業員の不正行為

株式会社ウェッズは5/13、「当社従業員並びに当社子会社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。なんとなんと、自社と子会社の両方で発覚ですか。同社及び同社連結子会社である株式会社バーデンにおいて、従業員による不正行為が行われていました。

株式会社ウェッズ

ウェッズは自動車のカスタムホイールの企画開発型商社。自動車用ホイールの卸売および製造販売事業を中核に、物流、自動車関連商品の小売、福祉などの事業を展開する東証スタンダード市場上場企業です。

不正行為の概要

同社従業員による不正行為については、東京国税局による税務調査により発覚したようです。当該従業員が顧客への商品代金の値引きを装う等、会社より不正に資金を支出させ、54百万円を個人的に取得したというもの。いわゆるキックバックですね。

子会社従業員による不正行為については、当期の決算処理作業中に確認されたとしています。現時点までの調査では、当該従業員が販売用の携帯端末を不正に持ち出し、リサイクルショップ等で売却・現金化し、累計で 61百万円分の商品を横領していたというもの。

本体では既に、調査に客観性を持たせるための独立調査委員会を立ち上げ、類似行為の調査、原因究明を実施しており、再発防止策の提言も受ける予定とのこと。

一度に2件とはね

親会社と子会社で同時に2件の不正行為が発覚ってのはなかなか見たことありませんね。行為の詳細が明かされていませんので、まだまだ分からないことだらけですが、それぞれの不正行為に関連性はなさそうに見えます。手口も全く違いますしね。ただ一つ言えることは同社のガバナンスが緩いってこと。親がそうなら子もそうなりますよね。この不正行為、この後詳細が公表されるんだろうか。

広済堂ホールディングス 子会社従業員による不正行為

広済堂ホールディングスは4/27、「当社子会社における不正行為発覚に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社である東京博善株式会社において、従業員による不正行為が発覚したということです。東京国税局の税務調査の過程で発覚したといいます。

広済堂ホールディングス

広済堂ホールディングスは、印刷関連サービスを提供する情報セグメントを基幹に、求人媒体の発行などを行う人材セグメント、斎場を運営する葬祭セグメントを展開する東証プライム市場上場企業です。葬祭セグメントでは、東京都内で火葬場を併設した総合斎場を運営しています。

子会社である東京博善株式会社では、100年近くの歴史が育んだ総合斎場を都内6カ所で運営しており、1カ所の保棺施設を運営しているそう。

不正行為の概要

開示では、「東京博善の従業員が過去複数年にわたり、斎場内において金品を窃取していた事案が発覚した」と説明されています。東京博善は、不正を行った従業員に対する民事責任の追及、刑事責任の追及を視野に入れて、当該従業員から被害金額の回収に努めるとしています。

説明はこれだけ。斎場でこの従業員はいったい誰のお金を摂取していたんでしょう。ただの香典泥棒であれば、東京博善の資産や収益には影響しないだろうし、国税局の方からも見えない犯罪ですよね。なんだか不思議な事案です。

ホームページでは「火葬場内に『花の自動販売機』を設置」なんてニュースもあるので、こんなふうに顧客が東京博善に支払ったお金を摂取していたということでしょうかね。そういわれてみると斎場には売店やらお食事処みたいなのもあったような気もします。

今回の開示ではその被害金額等については一切説明されていませんが、何やらこの開示ですべてを終わらせるような雰囲気です。業績に与える影響は軽微であり、2022年3月期の業績予想
に変更はないとしています。

メルコホールディングス 社内調査結果を公表

メルコホールディングスは4/26、「当社連結子会社社員の不正行為に係る社内調査結果等に関するお知らせ」を公表しました。調査委員会の設置が1/27でしたので、3ヶ月丁度の調査期間ということになりました。意外に時間かかりましたね。

不正行為の概要

メルコホールディングスはバッファローを中核子会社として、デジタル家電やパソコン周辺機器の開発・製造・販売・データ復旧サービスなどを行うIT関連事業が主力の企業でした。が、今回不正行為が起きていたのはまったく毛色の違う食品事業の子会社、シマダヤ関東株式会社でした。

経理業務の担当者がその職位・職権を利用して、2017年5月から 2021年12月までの間、計274 回にわたり、同社の取引銀行の普通預金口座から自己の用途に費消する目的で、自己名義の普通預金口座に不正送金を行っていたとのこと。

さらに、同社内の小口現金等の着服も行っていたようで、現預金合計約98百万円を横領していたといいます。

犯行の発覚を防ぐために、四半期毎の決算時に帳簿上の預金残高を実際の預金残高に合わせるため、経費を架空又は水増し計上しており、また、入出金明細照会表の提出を求められた際には、同社員は入出金明細照会表を偽造し、偽造した入出金明細照会表を提示する等の隠蔽工作をしていたということです。

開示では、「同従業員単独の策謀によるものであり、他の重要な業務プロセスに影響を及ぼすものではなく、これが当社グループ全体の内部統制の有効性を否定するものではないと判断している」となってるんですが、本当にそうなんだろうか。

事業の特徴を把握できていない異業種の子会社で、経理担当者にすべてを任せっきり。子会社管理という面でのガバナンスは効いてなかったのでは?

株式会社ハイパー 特別調査委員会の調査報告書を公表

株式会社ハイパーは4/25、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。調査結果を受け、過年度の決算に与える影響等を精査し、延長後の有価証券報告書の提出期限である5/2までに決算も発表する予定だそうです。

調査結果

一従業員の不正だったようです。2005年に入社し、2014年には課長。2017年にはSS営業部の部長に昇進した人。SS営業部(SSはサービス&サポートの略)の部長による会計不正ということです。

12年間で部長になられてるので、かなり早い方でしょうね。原価の付け替えなどの行為は部長に昇格する前から行われていて、部長になってからも異例の扱いで、ずっと同じ取引先を担当していたということで、不正が発覚しなかったようです。もちろん、隠ぺい工作なんかも。

仕入れ計上の先送り、原価の付け替え、売上の前倒し計上、架空の受注など、帳尻を合わせるために、かなりいろいろとやっていたようですが、その目的は予算(目標)を達成するためということらしいです。まぁ、そのことにより出世も実現されたわけでしょうが。

私的流用の疑義

ありとあらゆる会計不正が実行されてきたわけですが、同部長による会社資産の私的流用については、ちょっと怪しい話も出てくるんだけど、報告書の結論は「私的流用を認定するには至らなかった」ということです。

調査報告書にでてくる次の指摘。「当該部長を含め同社の従業員には、基礎的な会計的なリテラシーが低く、許される行為と許されない行為の線引きの理解が曖昧で、倫理観のハードルが低いことがうかがわれる。」これって結構多くの企業で認められる傾向です。

長野計器株式会社 従業員の不正行為(その2)

従業員による不正で、少なくとも約268百万円の損害を被っていたという長野計器。すべてを終わらせた後の開示や、当該従業員を切ってお終いって感じに見える対応の仕方に違和感を持ちました。ということで長野計器の第2弾です。

2016年にも

調べてみたら2016年、同社の連結子会社である株式会社フクダにおいて、不正な会計処理が行われていたことが発覚しています。売上高や売上原価の計上時期を約10年間操作(前倒し計上)していました。まぁ、足元の業績を良く見せようとしていたってヤツです。

雑な対処

昨日書いたように、不正の発覚から結果公表までを開示せず、同社にとって都合の良い調査メンバーで調査し、なにやらこれも同社にとって都合の良さそうな従業員一人の不正行為としてまとめてある感じ。これがとっても違和感があるというか、気になりました。

で、調べてみると連結子会社で過去に会計不正が起きていたというわけです。この会計不正、かなり会社ぐるみという感じが強いんですよね。長野計器に対して少しでも自社の業績を良く見せようとする行為。トップまで不正を認識していたようです。

今回起きた従業員のキックバックによる不正とはタイプが違うように見えますが、根っこのところは意外に一緒かもという気がします。本社は子会社や自社の現場のことを知ろうとしない。目標を達成することだけに注力させ、そこで行われている業務の実態を知ろうともせず、不正にも気付かないわけです。

今回こうして不正が発生したことを機に、会社を建て直すべきところ、とにかく早く終わらせて対応を完了しちゃう。なんかもったいないですね。会社のカルチャー変えるチャンスなのに。