アルテリア・ネットワークス 特別調査委員会を設置

アルテリア・ネットワークスは6/13、「調査委員会の設置及び第7回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」を公表しました。6/9に開示していた同社従業員の逮捕を受け、事実関係や類似事案の有無等を調査する目的で設置したということです。

接続料金を不正に取得

6/9、TDnetで丸紅、アルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの3社が一斉に、逮捕者が出たことを開示しています。丸紅はアルテリア・ネットワークスの親会社としての開示ですから、実質的にはアルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの2社ですね。

通信事業者の間で通話時間に応じて接続料金が支払われる「アクセスチャージ」の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、NTTドコモから当該着信にかかる接続料金を不正に取得していたとのこと。通信事業者や通信機器販売会社の役職員等、計14人が逮捕されています。

通信事業者間では、電話をかけた側の業者が受けた側の業者に対し、通話時間に応じて「アクセスチャージ」と呼ばれる回線接続料を支払うんだそうです。この仕組みを悪用し、「かけ放題」プランで契約したドコモの回線からアルテリア・ネットワークス社の回線に大量の電話をかけ、アクセスチャージを不正取得していたということらしいです。

説明を聞いてもいまいちよく分かりませんが、昔のダイヤルQ2でよく起きていた事件に似てますね。ドコモに不正に支払わせたアクセスチャージは、大量の受信をしていたアルテリア・ネットワークスに支払われたということですかね。そのお金が共犯者等にどう配分されたんでしょう。

何社もの事業者が寄ってたかって、って感じの事件ですが、事件の中心にいるのはアルテリア・ネットワークスっぽく見えます。さらに親会社が丸紅ということもあり、特別調査委員会を設置して調査ということに。確かに同社的には会社としての組織的関与が気になるところです。

三菱UFJ信託 社員が顧客金銭着服 社長ら報酬返納

日本経済新聞は6/11、「三菱UFJ信託、社長ら報酬返納 元社員が顧客金銭着服」と報じました。昨年12月に社員2人が顧客の金銭を着服していた問題が発覚した件について、会長、社長、当時の常務執行役員の役員報酬を自主返納するというお話です。

昨年12月に発覚

いやぁ、知りませんでしたねぇ、この事件。再発防止策に役員報酬の返納という今回のお話もホームページで公表しただけで、TDnetでは開示されていません。おそらく昨年12月の発覚時もそうだったんでしょうね。日経は報道してたのかなぁ。見事に見落としていました。

日経の過去記事を検索してみると、確かに出てきました。社員2人がそれぞれ別の顧客から預かった現金を、総額約5,800万円着服したという内容。1人は50代女性で吉祥寺支店(東京)や中野支店(同)に勤務した2007~20年に顧客9人の口座から計5,370万円を着服。

もう一人は30代男性で18~20年に中野支店で、顧客2人の口座から計442万円を着服していたとのこと。行為の最後の辺りの期間は二人とも中野支店ですねぇ。50代女性の手口を模倣した行為でしょうか。

被害額が拡大

その後調査を進めていった結果、今回公表された被害額は、50代女性の方が4,380万円増えて、総額9,750万円になっています(被害顧客数は14名)。30代男性の方は442万円のままみたい。いずれも被害の全額について同行が補償を実施したということです。

2人が協力していた形跡は見つかっていないそうですが、いずれも着服した金は生活費などに充てたということです。この件の横展開の調査も行われていて、結果、2人の社員以外の社員による着服等の事案は確認されていないということです。

株式会社レスターホールディングス 特別調査委員会を設置

レスターホールディングスは6/6、「特別調査委員会の設置及び第 13 期定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」を公表しました。同社の海外子会社において、コンプライアンス違反の疑いのある取引が行われていたことが判明したためということです。

レスターホールディングス

レスターホールディングスは、半導体・電子部品などを扱うエレクトロニクス商社。ソニーなどの半導体製品の販売、開発からサポートまでのトータルソリューションを提供しています。このほか、調達事業、電子機器事業、環境エネルギー事業も展開してますね。

2009年、ユーエスシー(1973年設立)と共信テクノソニック(1961年設立)が株式移転による共同持株会社としてUKCホールディングスを設立。19年、バイテックホールディングス(1987年設立)との経営統合に伴い、現商号に変更しています。

コンプライアンス違反の疑い

海外子会社における取引の一部にコンプライアンス違反の疑いが生じたため、社内調査を実施したところ、従業員の親族が営む現地企業との取引において、逸失利益の可能性があることが判明したということです。よく見るパターンですね。今回の開示では説明はここまでです。

逸失利益とは、本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。他社でも見られたのは、親族企業に不法に儲けさせるパターン。そこには架空取引やらなんやらが出てくることが多いです。

逸失利益の算定では、はたしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく、訴訟などでもよく争点となるそうです。そうしたこともあって、今月末の株主総会も事業報告や決算報告が見送られることに。

大東建託 連結子会社における不適切な会計処理

大東建託は5/24、「当社連結子会社の不適切な会計処理に係る調査に関するお知らせ」を公表しました。同社社員が同社の連結子会社において不適切な会計処理を行っていたことが判明したといいます。

大東建託

大東建託は土地オーナーに対して、アパート・マンション経営など土地の有効活用を提案し、建築を請け負うとともに、一括借上により建物賃貸の経営を代行する事業をメインに手掛ける企業。貸家着工戸数に対して12.5%(22/3期)のシェアをもつ、賃貸住宅請負の大手です。

バブルのころは物凄い勢いで成長していた企業で、それゆえか当時はかなり悪い噂もよく聞こえてきた企業でした。あれから40年、今や大手ですし、それなりのガバナンスが構築できていると思われますが・・・。

不正の概要

管掌役員からの告発を契機として、同社社員による不適切な経費使用の疑いが発覚したことを受け、社内調査を進めてきたとのこと。調査は現在も継続中で、今般、調査チームからの経過報告を受け、適切な承認を経ない経費の使用 (約50万円 )が発覚したそうです。

さらに、当該社員の関係する不適切な会計処理が確認されています。①同社連結子会社の未払金および未払費用の過大計上(2022年3月末時点で約569百万円)。②同社連結子会社の広告宣伝費等の不適切な支払い (2022年3月期に約162百万円)。

経費の使い込みに関しては少額ですが、連結子会社における不正な会計処理はそれなりの金額ですね。これだけの金額を不正に操っていたとすると、そのお金の一部が同社員の懐へ、、、ということも十分考えられそうです。

今回の開示ではまだまだ詳細が見えてきません。外部専門家(弁護士2名、公認会計士9名)も参画した社内調査の結果を待ちましょう。

三協フロンテア株式会社 不適切な会計処理が発覚

三協フロンテア株式会社は5/17、「不適切な会計処理の判明と 2022 年 3 月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。2022年3月期を含む複数事業年度に渡って、不適切な会計処理が行われていたということです。これも不適切ではなく不正のようです。

三協フロンテア株式会社

三協フロンテアは、ユニットハウスの製造と販売、レンタルが主力。建設・土木業界を中心に、工期が短く増減築が容易で、空調・給排水などのインフラも一体化した仮設建築物であるユニットハウスを提供する企業。他にも立体駐車装置の製造なども行う東証スタンダード市場上場企業です。

不正の概要

今年2月より開始された税務調査の過程で、同社の複数の営業拠点において不適切な会計処理の可能性を認識。直ちに関係者に対して行った調査の結果、営業担当者による着服、原価の付け替え、協力業者の下でのプール金の設定、売上の先行計上という、4つの類型を原因とする不適切な会計処理が複数事業年度に渡って行われていることが判明しました。

これら不適切な会計処理の内容を明らかにするとともに、同種の事案が発生していないかを明らかにするため、外部の弁護士・公認会計士による調査委員会を設置。既に厳格な調査を行っているということです。従業員の不正行為から会計不正まで、かなりいろいろ出てきそうですね。

複数事業年度に渡っていること、4つの累計が現時点で発見されていることから、調査期間や同社に与える負のインパクトも、相応のものになりそうです。こうしたことから3月期決算発表も当然延期となっています。そのため5/18の同社株価の方もストップ安(4,215円、700円安)となっています。