東亜建設工業 従業員の不正行為(その2)

先日取り上げた記事。東亜建設工業の100%子会社である信幸建設で、従業員らが水増しや架空発注等を行った上で、その水増し又は架空発注額の一部を従業員らが自らに還流させ、着服していた件。その2です。

2016年にも

複数名の従業員が関与しているような書きぶりであり、非常に規模の小さい100%子会社であること。取締役5名のうち4名が兼務者であることなどから、子会社での組織的な不正や、場合によっては親会社までを巻き込んだ不正もあったりするのかも。などと感じていました。

少し調べてみたら2016年にも不正が起きていたんですね。空港施設での薬液注入工事における施工不良と虚偽の報告という事案です。東京国際空港、福岡空港など6カ所で不正が行われており、いずれの工事においてもその一次下請けが信幸建設という組み合わせでした。

もともとこういう不正が起きていたことを考えると、今回の件への対応が社内調査委員会で良かったのかどうか。委員長と1名の委員は外部の弁護士ですが、他は東亜建設工業の監査等委員2名と取締役執行役員管理本部長です。

特に取締役執行役員管理本部長さんは秘書室統括なんかもされていて、経営陣には最大の配慮がされそうで、、、。この際、委員の方も全員外部の方に変更して、出直されたらいかがかと。

イトーヨーカ堂 元社員が詐欺容疑(カラ出張)で逮捕

総合スーパーを運営する「イトーヨーカ堂」から、出張の名目で新幹線の乗車券などをだまし取ったとして、警視庁は10/5、同社元社員の容疑者(57)を私電磁的記録不正作出・同供用と詐欺の疑いで逮捕したと発表しました。

イトーヨーカ堂

イトーヨーカ堂は資本金400億円、店舗数228店舗、従業員は約24,000人。総合流通グループであるセブン&アイ・ホールディングス(7&i)の100%子会社であり、同グループの祖業にして中核企業です。2020年には創業100周年を迎えました。

不正行為の概要

容疑者は同社営業本部の販売促進部で管理職の「マネジャー」で、昨年1月ごろ、青森や大阪などへの架空の出張情報を社内システムに入力し、新幹線のチケット計24枚(計約19万円相当)をだまし取った疑いだそう。実際に出張はせず、チケットを換金して着服していたようです。

2015年4月から昨年3月までの約7年間で、逮捕容疑も含め架空出張を755回繰り返し、計約2,400万円相当のチケットをだまし取ったとみられています。全国の店舗の改装に関する打ち合わせという名目が多かったといいます。

生活費や趣味にあてていたということですが、凄いねこれ。755回も繰り返して、2,400万円ですって。やった奴もとんでもないけど、それを看過してきたイトーヨーカ堂の管理態勢も滅茶苦茶やね。カラ出張で潤ってきたやつ、この容疑者だけではないんじゃない?他も調べた方が良いよ。

東亜建設工業 連結子会社(信幸建設)で従業員の不正行為

東亜建設は10/3、「連結子会社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。同社の連結子会社である信幸建設株式会社において、現在実施されている税務調査の過程で、従業員による不正行為の疑いが8月下旬に発覚したといいます。

東亜建設工業

東亜建設工業は祖業である海上土木工事に強みを持つ中堅ゼネコンです。海上土木、陸上土木、浚渫・埋立、建築工事の請負などを手掛けるほか、海外にも展開しています。羽田空港、中部国際空港など、大規模プロジェクトの参画実績を有する東証プライム上場企業です。

不正の概要

不正の舞台となったのは同社の100%子会社で資本金5,000万円の信幸建設という会社。特定の工事下請負業者と共謀して、当該会社から水増し又は架空発注を行った上で、その水増し又は架空発注額の一部を従業員らが自らに還流させ、着服していたことが判明したということです。

架空発注等の行為は複数年にわたり行われてきたようで、現時点で、その総額は約7億円になるとしています。既に外部の弁護士を委員長とする社内調査委員会を9/5に設置しており、同日より調査を開始しているとのこと。

直近の有報で確認すると、信幸建設の従業員数はわずか174名。行われていた不正について、開示では「従業員ら」と表現されており、複数名の従業員が関与していたものと思われます。こんな小さな所帯で、です。

みずほ信託 元社員の顧客金銭着服 調査結果を公表

みずほ信託銀行は9/28、「元社員の不祥事件に関する調査結果および再発防止策等について」を公表しました。今年2月に公表した、富山支店の元社員(50 代・女性)が顧客の金銭を着服していた問題に関する調査結果ですね。

着服の概要

2月時点で、複数の高齢であるお客さまに対して虚偽の説明を行い、現金を届ける際にその現金の一部を着服する等の方法により、生活費や遊興費等に使用していたことを公表していました。被害総額は約6千万円ということでした。

調査の結果、新たに見つかったのは1顧客100万円ということで、被害総額は6,076万円ということになったようです(被害顧客数は14顧客)。被害の全額について、みずほ信託が補償を実施したとのこと。

調査範囲は全店に拡大し、当該元社員以外の社員による同様の着服行為等の有無についても調査を実施しており、類似事案は確認されなかったということです。調査結果公表にあわせて、社長と常務2人が役員報酬の一部を自主返納することも公表しています。

入行は2008年?

元社員は50代とされていて、同行への入行は2008年となっています。50歳だとしても入行時35歳ということになるので、どこか他の銀行から転職してきた人なんだろうか。もちろん、もしそうだったら前職の銀行でも調査が行われてると思うけど。

東京産業 警視庁が元社員を詐欺容疑(循環取引?)で逮捕

日本経済新聞は9/29、「東京産業元社員『循環取引』か 詐欺容疑で逮捕、警視庁」と報じました。当ブログでも昨年一度取り上げましたが、やっと元社員を逮捕するに至りました。

おさらい

東京産業は電力および環境、化学業界などに各種機械、プラントなどを販売する三菱グループの機械商社。昨年5月に不適切な会計処理が発覚したと公表し、特別調査委員会を設置して調査を開始しました。その後7月末には調査委員会の調査結果を公表しています。

調査委員会としては架空循環取引を認定しており、そのうちの一部の資金が行為者である元社員及び元社員の配偶者個人名義の預金口座に入金されているとしていました。

日経の報道では

警視庁は容疑者が関与した循環取引は約70件あり、同社の支出総額は約37億円に上るとみて調べている、としています。逮捕容疑は「虚偽の書類を作成し、仕入れ代金として東京産業に約2,400万円を支払わせ詐取した疑い」です。借金の返済やギャンブルなどに使ったといいます。

特別調査委員会の調査結果では、東京産業から流出した資金約6億6千万円のうち、、複数の会社を通して同容疑者及びその配偶者の口座へ約3億円が還流した可能性があるとしていましたので、今後の捜査で詐取した金額は3億円近くになっていくんでしょう。

容疑者は現在37歳とされています。2017年頃から架空取引を行っていたようですので、30歳そこそこでこれだけの会計処理を任されていたということ。こんなことしなければちゃんと出世できたんだろうに。