大豊建設 従業員の不正行為(その2)

外部調査委員会を設置して従業員の不正を調査していた大豊建設。2/15には正式に四半期報告書の提出期限延⻑に係る承認申請を行い、これが承認されたことを公表しました。承認申請した開示において、新たな不正が発覚したことも公表しています。

見えてきた不正の概要

①建築部⻑が、⼯事下請業者に対する⽔増し発注・架空発注を通じて⼯事下請業者に預け⾦をプールさせた疑い
②上記①でプールした預け⾦から、他現場の別⼯事の原価の⼀部を補填して原価を付替えた疑い
③作業所⻑において、⼀部取引における⼟⽊部⾨の原価を建築部⾨の原価に付け替えた疑い
④作業所⻑が⾃⼰の担当する現場の⼯事において発⽣した⼯事下請業者に対する⼯事原価を、同⼀⼯事下請業者による他の⼯事における⼯事原価として付け替えた疑い
⑤作業所⻑が架空発注を通じて外部業者にプールさせた預け⾦から私物を購⼊させるというキックバックの疑い

不正の規模

不適切な取引に係る不正⾦額は約280百万円で、同社の最終損益に与える影響としては約62百万円を⾒込んでいるとしています。原価の付け替えは基本的に全社の損益に影響しませんから、約62百万円がキックバックで作業所長が懐に入れた金額でしょうかね。

当初の開示では、「東北支店と大阪支店の従業員が」と表現されていましたが、ここへきて支店名がどこかへ。代わりに建築部長が登場。組織図で見ると本社建築部門に建築部がありますから、本社ぐるみの行為になってきたようです。

それでもまだ終わらない

しかし、今回の提出期限延長申請は、上記の不正以外のさらなる疑義によるもののようで、2⽉4⽇に、それまでに把握されていなかった新たな類型の不適切な取引の疑いのある案件が発覚したとしています。さてさて、今回の不正行為、どこまで拡大するんでしょう。

ミスターマックス・ホールディングス 調査報告書を公表

ミスターマックスHDは2/15、社内調査委員会の調査報告書を受領し、公表しました。同社の従業員による会社資産の不正流用の疑義に関する調査結果です。延長承認されていた四半期報告書も同日提出されています。

不正の概要

開示文によると、「当社従業員2名が取引実体のない請求を取引先に指示して、当社に101百万円の支払をさせ、上記従業員の1名が個人的に取得し、あるいは取引先にプールして支払の補填に充てるなどしていた」とのこと。また、「この2名は上記以外に取引先2社から個人的なリベートを取得していた」とも。

懲戒解雇されたこの2名は、同社の情報システム部の部長と課長です。不正を主導したのが部長。不正が発覚するのを防ぐため、部下である課長を引き込み、甘い汁(リベート)を吸わせた、という展開だったようです。

上記のように、同社から約1億円を引き出したのは部長の方ですね。同社とリベートを取っていた取引先2社との間に、IT企業3社から4社を挿んだ格好で架空取引が行われています。同社としての被害額は約1億円ですが、これとは別に取引先2社からリベートも取ってます。

大口取引先C社

リベートを取っていた2社をはじめ、登場する企業は従業員10名程度の企業ばかりなんですが、大口取引先経由で行われた架空取引や水増し取引に登場する企業は上場企業です。

この大口取引先は報告書ではC社とされていて、1950年設立の上場大手ITベンダーと説明されています。さらに、POSレジ機器及びそのシステム、店舗システム関連機器等で業務を依頼してきたとあります。

これってどう見ても東芝テックですよね。設立年次も一致。請求書で水増し等の操作もやってるみたいだし、、、今回の事件も飛び火しそうです。

西華産業 従業員の不正行為 (その2)

税務当局からの照会を受け、社内調査を実施し、約1億円に及ぶ金銭騙取の事実が確認された西華産業100%子会社の日本ダイヤバルブ。既に刑事および民事の手続きを進めています。ここまでは前回書きましたが、大事なことが抜けています。

なぜこんなことが起きたのか

社員の金銭騙取の事実(結果)だけを警察に通報して事件を片付ける。だけではなく、なぜこのような不正が発生したのか。ガバナンスやコンプライアンスの検証は?社員がそこまで追い詰められた原因は?親会社による子会社管理の実態は? 

そうしたことを恣意性を排除して調査、検証し、再発防止に努める。他社では当たり前のように行われている〇〇調査委員会による調査と再発防止策など、この一連の対応はどこに行ってしまったんでしょう。西華産業としての子会社管理、かなり疑問が残りますね。

日本ダイヤバルブの実態

日本ダイヤバルブという会社、その実態が気になるところ。以下に読者の方からいただいたコメントを。

【いただいたコメント】

同社のある部署では残業時間が100~200時間近い部署が存在している。本来であれば異常な事態ではあるが、上司に当たる人間が何時間残業をしても平気な人間である事、また、経営陣も「あそこの部署はしょうがない」と思っている事から、一向に就業環境が良くならない。

更に、上司からの勤務時間の改ざん、休日出勤の強制といった異常行動も数多くあり、それらが原因で退職者を出している。世間一般で言う所のパワハラだ。しかし、同社としてはそのような事態を重く受けて止めてはいない。非常に重大な問題ではないかと感じている私が異常者のようだ。

今日も大崎にある日本ダイヤバルブには、明かりの消えない部署が存在している。

西華産業 ミスターマックス・ホールディングス 従業員の不正行為

昨年末12/28に公表された2つの事件。年末のバタバタで書けてませんでしたので、この辺りで備忘的に整理しておきます。西華産業は「当社連結子会社社員の不正行為に関するお知らせ」、ミスターマックスは「2021年2月期第3四半期決算発表延期の可能性に関するお知らせ」です。

西華産業

西華産業は三菱グループの総合機械商社です。各種プラントや機械装置、環境保全設備などの販売および輸入が主力事業です。その100%子会社である日本ダイヤバルブ(品川区/バルブの製造・販売/従業員205名)の社員が不正を起こしたとのこと。

10月下旬、税務当局からの照会を受け、社内調査を実施したところ、約1億円に及ぶ金銭騙取の事実が確認されたとのこと。既に刑事および民事の手続きを進めており、これまでに判明した事実を公表するに至っています。

既に警察が動いていて、捜査に支障がなくなったと判断しての公表ということですので、事件に対する捜査自体は一段落している様子です。

ミスターマックスHD

同社は総合ディスカウントストアのMrMaxを中核会社とする持ち株会社。このお知らせのタイトルは何なんでしょうね。タイトルだけチェックしていると同社で不正が起こったことを見逃してしまいそうです。これ、狙ってやってるんですかね。だとしたらタチが悪いです。

昨年11/25、同社従業員の申告により会社資産の不正流用の疑義を認識したそうです。複数の取引先からリベート等として不正に金銭を受領。その額は本人の申告によると9,000万円程度だそうです。

これを受け12/16には外部専門家を加えた社内調査委員会を設置して、実態把握のための調査を実施しているんですが、ここへきて第3四半期の決算発表が間に合わない可能性が出てきたということで公表に至ったということです。あくまで決算発表の延期のお知らせですね。

決算発表の延期も重要ですが、不正が発覚したらできる限り速やかに第一報じゃないですかね。

ネットワンシステムズ 外部調査委員会調査報告書を開示

ネットワンシステムズは12/16、外部調査委員会調査報告書を公表しました。2012年、2013年、2019年と三度にわたって大きな不祥事件が発覚した同社。今回が四度目となる不祥事です。その調査報告書をまとめておきます。

乙事案(原価付替)

報告書では主に2つの事案が取り上げられていて、甲事案と乙事案とされています。このうち乙事案というのは、売上先である会社に「リスク費」という名目で資金をプールするスキームで、当該「リスク費」を別の案件の費用の支払に使用することで、原価の付替えが行われていたという事案。

甲事案

問題はこちらの甲事案。従業員がネットワンの資金を流用していたというもの。この従業員が所属していたのは、第1営業部第1チーム。なんと年初に発覚した架空循環取引を主導した従業員と同じチームです。

前回の架空循環取引(原価付替も)の主導者と今回の資金流用をした従業員が同一人物と誤認してしまいそうな報道がありますが、、、。同じチームに所属する、別人です。

水増し取引によりネットワンから仕入先に支払われた資金のうち2,100万円と、架空発注により別の仕入れ先に支払われた資金のうち1億7,000万円が、第三者を経由するなどして流出していたといいます。

この資金は、同従業員が代表取締役を務め、発行済み株式のすべてを保有するプライベートカンパニー2社に送金されていたとのこと。合計金額は1億9,100万円、このうち1億4,732万円が出金され、従業員が個人的に費消しています。なんと沖縄に4件で7,000万円超の不動産購入も。

同じ部署でこのような不正が並行して行われていたとは、、、。もはや呆れるしかありません。最後に、この報告書には原因分析や再発防止策には触れていません。わずか1か月ちょっとの期間での調査(四半期報告書の提出を控えて)ということで、いたるところに調査の限界が見て取れます。まだ他にも不正が残っている可能性、、、ありそうです。