東京精密(7729) 連結子会社における前社長の不正行為(その3)

子会社の東精エンジニアリングの前社長が、キックバックによる着服行為で約10年にわたり、合計約120百万円を還流させていた可能性があるとして調査を進めている東京精密。見落としていましたが、2/15に追加の開示をしていました。

もう一つの不正

追加で開示されたのは、「海外取引先に対する長期滞留売掛金の回収に係る不適切な取引」に関するものです。2021年3月期第3四半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出に関するお知らせと一緒に開示されています。

東精エンジニアリングの海外取引先に対する長期滞留売掛金回収のため、同取引先在庫を東精エンジニアリングの中国現地法人に販売するスキームで滞留売掛金の回収を図ったもので、約360百万円の売掛金を回収した可能性があります。(ここまでは以前の開示内容)

東精エンジニアリングの子会社の中国現地法人が購入し、在庫となった製品の販売活動サポートを、東精エンジニアリングが日本の外注先に委託した際の経費約22百万円が、東精エンジニアリングにおける無関係な他の製品の原価に組み入れられた可能性があります。(これが追加開示の内容)

長期滞留売掛金(実際に販売していたのかは不明)を中国の子会社に払わせて回収。中国の子会社で在庫となってしまった製品を他社に転売するにあたり、国内で委託した仲介者への委託費をまったく別の製品の原価に付け替えていた、、、ということでしょうか。

ところで前社長

前回の記事で前社長を取り違えてしまいました。公表された事実に「前社長」と「約10年にわたり」というキーワードがあったため、社長職を10年以上務められた前々社長の行為と間違えてしまったんですが、、。どうもkuniと同じように間違えてしまう人、多いらしいです。

不正行為の全容解明にはもう少し時間がかかるでしょうが、現時点で分かっている行為者や関係者は先に開示してあげても良いのでは?

東京精密(7729) 連結子会社における前社長の不正行為

東京精密は2/5、同社の連結子会社において不正行為が発覚したことを公表しました。東京精密は、半導体製造装置と精密計測機器の製造販売を行うメーカーで、東京証券取引所第一部上場企業です。週末金曜日20:35に開示されました。

不正行為の概要

今回の開示では不正行為を2件併記しています。そのうちの一つが、「連結子会社前社長が国内設計会社との間で、数ヶ年に亘り行われた仕入取引の代金をキックバックにより着服したとみられる行為」だそうです。社長がキックバックとは、、、。こりぁヤバいわ。

そしてもう一つが、「連結子会社において長期滞留した売掛金の、回収の過程で行われた不適切な取引行為」だそうです。こちらには前社長の行為とは書かれていませんね。今のところ分かっているのはここまでです。

社内調査を進めてきたようですが、調査を徹底するため、利害関係のない外部専門家(弁護士・公認会計士)を含む特別調査委員会を設置して調査を実施するとしています。

連結子会社

今年1月下旬より開始された税務調査の過程で確認作業をしていたところ、連結子会社で不正行為が発覚したということですが、その連結子会社がどこなのかは公表していません。

有価証券報告書で確認してみると、連結子会社は国内6社、海外11社。先ほどの不正行為の概要に「国内設計会社との間で」とありますから、国内子会社の可能性が高そうです。

国内6社は、㈱東精エンジニアリング、㈱トーセーシステムズ、㈱アクレーテク・クリエイト、㈱東精ボックス、㈱アクレーテク・パワトロシステム、㈱アクレーテク・ファイナンスという面々。この6社の中では東精エンジニアリングが最も大きな企業ですね。

マースグループホールディングス 子会社役員、社員の不正行為

少し前になりますが、マースグループHDは11/27、同社の子会社であるマースプラニング社の役員、社員による不正行為が判明したことを公表しました。数年間にわたり宿泊・食事等の売上代金から現金を着服し、私的に流用していたようです。その総額は1億65百万円になるとのこと。

マースプラニング社

マースグループHDは、「アミューズメント関連事業」、「自動認識システム関連事業」、「ホテル関連事業」を子会社を通じて営む企業グループ。その中でホテル関連事業を担当するのがマースプラニング社です。

マースガーデンウッド御殿場、マースガーデンホテル博多の2ホテルを経営。他にもレストラン事業も手掛けていて、上記ホテル内に加え単独店として銀座や福岡に鉄板焼や寿司店を展開しています。「宿泊・食事等の売上から着服」としていますから、現場はどちらかのホテルでしょうね。

不正の概要

発覚の端緒は今年8月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、同社の売り上げが減少するなか、売掛債権が減少しない疑義が生じたとのこと。これを受けマースグループHDは社内調査委員会を立ち上げ、約2か月にわたり調査を実施。今回の公表に至っています。

例によって11/20には役員、社員を懲戒解雇しており、公表時の表現は、「元役員及び元社員」となっています。人数は書かれていませんがおそらく二人での犯行でしょう。この二人、着服した金銭を返金する意思を示しているとか。普通こういうお金はほぼすべて消えてるもんですけどね。

11/13に公表された同社の第2四半期決算。連結損益計算書の貸倒引当金繰入額として、165,096千円が計上されていました。さて、着服されてしまった金銭、どこまで回収できるでしょう。