堺化学工業 湯本工場において爆発事故(その2)

堺化学工業は5/27、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第六報)」を公表しました。5/11の第一報から既に6回目のお知らせ。事故後の経過をきめ細かく伝えているのがよく分かりますね。亜鉛末による爆発・火災事故の経過報告です。

その後の状況

亜鉛末というのはよほど厄介な代物のようで、火災がほぼ鎮火したのちにも、時間の経過で温度が下がるのを待っているような状況。爆発の二日後の5/13には、「工場内で消火のために散布した砂中より発煙したため、巡視中の社員が消防署に通報のうえ、速やかに対応いたしました。」なんてのもありました。

第六報では、人的被害を被られた協力会社の4名について、順調に回復されているとのこと。重傷者のお一人については「症状が改善し、ICUから一般病棟に移られました」というレベルですが。

また、当局の検証等に協力しつつ、会社として独自に事故原因の究明と再発防止の徹底を図るため、社外から3名の有識者を招聘して事故調査委員会を設置することにしたようです。同委員会の構成等については、関係者との最終調整が済み次第、別途公表するとのこと。

素人にも分かるように

今回第六報で目を引いたのは次の下り。

「工場内に残存する亜鉛末の温度につきましては、最も高温な箇所において5月21日に411℃でしたが、5月27日現在は148℃まで低下しております。」

文章の書きぶりからすると、148℃まで低下してきたので、ご安心ください、、、みたいな意味なんだと思うんですが。人間が触れば大火傷しそうな温度。正直148℃で安全なのかどうか、素人には判断できません。投資家や株主のほとんどは素人なわけで、もう少し分かりやすく説明してほしかったと、、、。

堺化学工業 福島県いわき市 湯本工場において爆発事故

堺化学工業は5/11、「湯本工場の爆発に関するお知らせ(第一報)」を公表しました。5月11日(火)午前7時40分過ぎ、同社の湯本工場(福島県いわき市)において爆発事故が発生したとのこと。協力会社社員4名の方が火傷を負われたということです。

被害の状況

ここ最近伝えられた工場等の火災などでは、人的被害はありませんでしたが、今回は協力会社社員4名の方が火傷を負われたとのこと。全員意識はあるようです。「7:40過ぎ、亜鉛末工場において分級ファンを回そうとした時に異音がし、その後爆発しました。」と説明されています。

「分級ファン」? 調べてみると、粉体の粒度を揃えることを目的に、粒子径によって粉体を分ける操作を粒度分級というそうです。ファンを回して空気流をつくり、重力や、慣性、遠心力の違いなどで粒の大きさをそろえる。ためのファンのようです(例によって自信ないけど)。

12:30 時点でほぼ鎮火したということですが、建屋の側面スレートおよび屋根が破損したみたいです。まぁ、爆発ですからね。

亜鉛末

亜鉛末というのは亜鉛の粉末ですね。人間にとっても必要な栄養素でもありますが、引火性が高く、空気に触れると、自然発火することがあり、火災や爆発を生じることがあるんだそうです。消防法では亜鉛の金属粉は第二類危険物として指定されているみたい。

同工場で扱っていた亜鉛末は、主に防錆塗料に使われる製品だそうです。同社のホームページでも確認できました。「亜鉛末は、粒子径の異なる各種銘柄を取り揃え、船舶・橋梁・タンク等の重防食塗料に使用されています。」、、、だそうです。

被害に遭ったのが全員協力会社の社員。メンテナンスなどの作業中の事故だったんでしょうかね。現時点で分かる情報はここまで。第二報を待ちましょう。

京三製作所(6742) 役員報酬の一部返上

「当社設備に起因する出火ではありませんでした」としたまま、出火原因がいまだに解明されていない京三製作所。4/16には「役員報酬の一部返上に関するお知らせ」を公表しました。2021年4月分から当分の間だとしていますが、、、。

返上額

社長執行役員 基本月額報酬の25%を返上。専務執行役員 同20%、常務執行役員・上席フェロー 15%、執行役員 10%、社外取締役 10%、監査役 10%、をそれぞれ返上するとしています。1/14に発生した本社工場の火災による業績への影響を踏まえたものだそうです。

役員の責任

正直なところ、同社のこの判断、kuniには理解できません。同社の設備に起因していないとしながら、何の責任を取った役員報酬の返上なんでしょう。このあと社員達の処遇にも手を付けざるを得ないから、まず先に役員からということでしょうか。

放火の線が濃厚とみられていて、放火犯と同社経営陣に何の関係もなく、火災発生後の対応にも問題なかったのなら、このような責任の取り方は適切とは思えません。ひょっとして放火犯を犯行に至らせた原因が役員たちにあったということなんでしょうか。そう勘ぐってしまいます。

160億円の純損失は決して小さな損失ではありませんが、取締役等の業務執行にどういう問題があったのか、それを明確に説明できないままに、安易に責任を取るなんてことはするべきではないと思います。見た目には美しく映るかもしれませんが。

kuniも同じような立場に居て、損失を出してしまったことを株主に詫びたい気持ちはよく分かります。が、しかし、同社経営陣に何も落ち度がなかったのなら、今回の判断は間違いだったと思います。自然災害に被災するたびに、責任取りますか?ということになりますよね。

ダイキョーニシカワ(4246) 連結子会社エイエフティーの工場火災

ダイキョーニシカワは4/8、「当社関係会社火災に係る業績への影響額及び業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。昨年11/16に発生した同社連結子会社エイエフティー株式会社(滋賀県蒲生郡竜王町)における火災の、今期決算に与える影響についての開示です。

決算への影響

結論からいうと、火災事故に起因する特別損失は受取保険金でほぼ相殺できるようで、その他の原価低減、固定費低減活動などにより、営業利益、経常利益ともに、前回予想を大きく上回る見込みになったようです。

エイエフティーの火災

ダイキョーニシカワの開示ではエイエフティーを関連会社と呼んでいるんですが、出資比率は65%。有価証券報告書では連結子会社という整理になっています。これはちょっと謎。

火災は、第1工場 第1塗装ラインで発生し、人的被害はなかったものの、塗装ライン(約1,400㎡)が焼失したそうです。出火原因については継続調査中としています。この火災により、35%出資しているダイハツの2工場が、部品欠品のため11/16~11/29まで生産停止となりました。

樹脂部品を提供

エイエフティーが製造した樹脂部品をダイキョーニシカワがダイハツ等の完成車メーカーに納入しているようです。ホームページで見ると、「高熱と振動に絶えずさらされるエンジンルーム。従来樹脂化が難しかった部品にも、厳しいテストをクリアした私たちの製品が採用されています。」なんて書かれてました。

東洋紡が安全認証不正取得していた樹脂製品も耐熱性に関する認証を取り消されてましたね。上記のような用途で使われていて、耐熱性に問題あり、みたいなことになると困った話です。話が脱線してしまいましたが、、、。

京三製作所(6742) 2カ所同時火災 (その3)

京三製作所は3/26、「特別損失の計上および通期業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。今年1/14に同社本社工場で発生した火災による損害を見積り、2021年3月期決算において、特別損失約140億円を計上する見込みだそうです。

2/26 通期業績予想

ここまでの同社の開示を押さえておきます。2/26には通期の業績予想および期末配当予想の修正について公表しています。が、今回の火災による影響を現段階において合理的に算定することが困難だとして、いずれも「未定」としていました。

3/9 第5報

3/9には、「当社本社工場における火災について(第5報)」が公表されています。当該工場周辺への影響について情報更新ですね。工場周辺の大気の状況を調査した結果、火災発生から1週間後までのすべての日において、環境基準を満たしていることが確認できたそうです。

3/26 特別損失計上 通期業績予想

そして、今回の開示です。建物、生産設備、製品、仕掛品等の一部を損傷しており、これらの損害を見積もって特別損失として140億円を計上。当期純利益は▲160億円となっています。

火災により信号システム事業の製品が損傷し、予定していた出荷が翌期以降に繰り延べとなり、売上高、営業利益、経常利益が大幅に減少したためとしています。前期660億円の売上高が530億円まで減少してますからね。期末配当予想については、引き続き「未定」としています。

「当社設備に起因する出火ではありませんでした」としたまま、出火原因についてはまだ新たな情報が出てきません。警察当局はしっかり捜査してくださいよ。