石井鐵工所 台湾高雄市でのタンク建設工事で死亡事故

石井鐵工所は1/17、「台湾 高雄市のタンク建設工事における事故について」を公表しました。同社の参画する台湾、高雄市の石油化学製品タンク建設工事において、1/15、建設中のタンクの一部が損壊し死亡者が出る事故となったとのこと。

石井鐵工所

石井鐵工所は、石油・ガスタンクなどのプラントの大手エンジニアリング会社。顧客は国内外の石油、化学、鉄鋼、電力、ガスなどの業界が中心。本社を東京月島に置く、創業120年を超える歴史のある東証1部上場企業です。が、従業員は130名ほど。現場では協力会社が主に作業するんでしょうね。

事故の概要

1/15、同社の参画する台湾、高雄市の石油化学製品タンク建設工事において、建設中のタンクの一部が損壊し、同社の現地協力会社作業員 2 名が死亡し、6 名が負傷する事故が発生しました。

開示されたのはこれだけ。爆発事故なのか、火災事故なのか、足場が崩れて落下されたのか。まったく分かりません。現地協力会社作業員としていますので、台湾の方ですかね。

同社もメディアも

同社の開示以外にも普通はメディアが取り上げるものですが、この事故について取り上げているメディアも見当たりません。死傷された方々が日本人じゃないから?なんだかちょっとな気がしますね。現地の元請け会社の責任なので、、、みたいな感触が。

開示では、「現地元請会社及び現地協力会社と緊密に協力しながら、原因究明に努め、再発防止に全力で取り組んでまいる所存でございます。」とだけ。調査委員会の設置等については触れられていません。

日立物流 物流センター火災 放火犯逮捕

日立物流は1/15、「火災発生に関するお知らせ(第九報)」を公表しました。昨年11月29日に発生し、ほぼ4日間燃え続けて約38,000平方メートルを焼損してしまった火災事故。火の気がなさそうなところで、ひょっとして、とは思ってましたが、やはり放火でした。

身内による放火

日立物流西日本が契約している人材派遣会社の社員による放火だったそうです。容疑者は1/15に逮捕されたとのこと。派遣社員とはいえ、身内の犯行。当初は同社のホームページで公表されたのみ。適時開示は1/17になってから行っています。

犯行が発生した理由

容疑者は大阪府内に住む派遣社員の少年19歳だそうです。現住建造物等放火の疑いで逮捕されました。少年は当時、同倉庫で働いており、1階に置いていた段ボール製の荷台に、「ターボライターで火を付けた」、と容疑を認めているといいます。

同社が入る大阪市西淀川区の別の倉庫でも、今月14日に火災があり、現場にいた少年が、二つの倉庫への放火を認めたということです。

犯行理由について少年は、「同僚から暴行を受けて一緒に働きたくなかったので火を付けた」と供述しているようです。暴行?、ってどんな程度だか分かりませんが、他の従業員によるパワハラがあったとしたら、十分な調査と開示をする必要がありそうです。

日立物流はメディアに対しては、「暴行の事実は把握しておらず、事実関係を調査する」とコメントしているようですが、17日の適時開示においても調査委員会の設置等については触れていません。従業員教育など、ガバナンスの課題として跳ね返ってきそうな事件。しっかりと調査してもらいましょう。

続く半導体関連企業の工場火災等 ASML

先日、ラサ工業 三本木工場での爆発事故について取り上げました。またしても半導体関連の工場の被災。幸い大事には至りませんでしたが、海外に目を移すと他にも同様の半導体関連企業の被災が出ているみたいです。

ASMLの部品製造子会社で火災

ASMLは、オランダ南部に本部を置く半導体製造装置メーカー。半導体露光装置(ステッパー、フォトリソグラフィ装置)を販売する世界最大の会社で、16カ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客だそうです。

そのASMLでは、1/2、独ベルリンの部品製造子会社の工場の一部で火災が発生したと発表。ASMLによると、ASML Berlinはウェハテーブルとクランプ、レチクルチャック、ミラーブロックなど、ASMLのリソグラフィシステム用の各種コンポーネントを製造している子会社だそうです。

今回の火災の影響で、もしこれらのコンポーネントが損傷していることとなれば、ASMLの手掛ける露光装置の出荷が遅れ、世界的な半導体不足がさらに深刻化するとの懸念が広がっているようです。

台湾でも地震で

半導体、特にDRAM等の製造産業が集積する台湾では、1/3、東海岸沖を震源地としてマグニチュード6.0前後の地震が発生しました。今のところ同産業に対する大きな影響は確認されていないようですが、なんとも物騒な災害が続いています。

他にも、2月に開催される北京オリンピックに向け、なんとしてでも成功に導きたいがゆえ、オミクロン株感染拡大に伴う一部の都市でのロックダウンが発生。その都市での半導体メモリの生産が影響を受けはじめているなんて話も。

去年からマジでこんな話ばかりです。オリンピック開催のための中国の政策、結構サプライチェーンに影響あるかもですね。

ラサ工業 三本木工場で爆発事故(その2)

ラサ工業は1/13、「三本木工場における爆発事故に関するお知らせ(第3報)」を公表しました。消防、警察、労働基準監督署による合同実況見分が行われたのち、同日より同社による被害状況の調査が開始されたということです。

事故の概要

1/6午前8時50分ごろ、高純度赤燐工場の原料黄燐中の不純物を除去精製する工程において、熱暴走反応によると思われる爆発が生じたということです。爆発により飛散した黄燐の自然発火により、しばらくして制御盤及び制御盤に接続する電線の一部が燃焼しました。

高純度赤燐の原料となるのが黄燐なんですか。ふーん、よく分かりません。事故発生2時間半後には、飛散した黄燐の自然発火が無いことを確認し、消防による放水により制御盤等の火災は直ちに鎮火したそうです。被害はそう大きくなかったんですかね。

被害の状況

消防他の実況見分終了後、同社による被害状況確認の許可が出たため、13日より被害状況の調査をはじめとした復旧に向けた調査を開始したとのこと。人的被害については、第1報では「負傷者 1名(当社社員)」となっていましたが、今回は「負傷者2名(当社社員)。(現在、1名は火傷により入院中。軽症者1名は、通院後業務に復帰」と修正されました。

高純度赤燐以外の製品の供給に与える影響はなく、製品在庫への影響も軽微だったとのこと。1/17より出荷可能な製品在庫を順次出荷再開する予定だそうです。高純度赤燐は、半導体デバイスの製造に必要な原料。大事に至らなくて良かったですね。

堺化学工業 湯本工場において爆発事故(その3だっけ?)

堺化学工業は1/7、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第九報) 事故調査委員会の報告書について」を公表しました。もう忘れかけてた爆発事故。発生したのは昨年5/17のこと。調査結果がまとまるのに半年を要しました。

おさらい

5/11、同社の湯本工場(福島県いわき市)において爆発事故が発生しました。協力会社社員4名の方が火傷を負われたという事故でした。社外の学識経験者および専門家を中心とする事故調査委員会を設置し、これまで事故原因および再発防止策について議論が重ねられてきたそうです。

亜鉛末事業から撤退

事故発生から約1ヶ月後には、亜鉛末製品のマーケット状況や再建にかかる投資採算性等について総合的に検討した結果、亜鉛末事業から撤退し、工場再建を断念することとしたという発表もありました。さらに、12か月にわたって役員報酬を減額することも。

事故原因等

亜鉛末の粉じん爆発であったというこの事故に関して、発生原因やプロセスについて説明されてるんですが、例によって専門知識のないkuniにはついて行けないレベルでした。

当該プラントは、1993年に小さな事故があったが、それ以降、約30年間、事故がなかったそうです。関係者には、「当該プラントは安全である」という思い込みがあったものと思われる。」としています。結局のところは油断、慢心、、、ということのようですね。

半年間にわたる調査、その都度経過を開示してきた企業としての姿勢(今回の開示は第9報です)。この会社の開示に対する姿勢、kuniは結構気に入ってます。