サムティ  特別調査委員会の調査報告書を公表

サムティは3/6、「特別調査委員会の調査報告書受領及び再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。そして翌日には当該調査報告書も公表されています。調査期間は約1ヶ月半でしたね。

おさらい

1月の開示では、特定の取引先との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明したということでした。

調査結果の概要

この特定の取引先等について、同社が直接又は間接的に支配している状況が存在するとまでは認められず、子会社又は関連会社のいずれかに該当するとの認定及び関連当事者に該当するとの認定には至らなかった。というのが結論だそうです。

取引先との関係性及び取引について、公正かつ透明な企業運営が特に期待される上場企業において、その公正性及び透明性に疑念を抱かせるには十分なものであった、といった指摘は受けたそうな。

代表取締役会長

代表取締役会長が特定の取引先の実印等を預かっていたほか、不動産取引について相談にのるなど懇意な関係にあった。とか、当該取引先の実質的な経営権を持っていたかも、みたいな話も出てくるんですが、疑念はあるが認定には至らず。玉虫色。

この会長さん、調査委員会設置後の2月中旬に退任のお知らせも出ていて、不正の責任を取って、、、ということかと思っていたんですが。ん~、なんだかよく分からない展開ですね。これ以上は追及しないから身を引いてください、みたいな取引でも行われたんでしょうか。

アイ・アールジャパン 第三者委員会の調査結果を公表

アイ・アールジャパンは3/7、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛のアドバイザーを請け負っていたという事案でした。この時のフィーは5億円だったとか。

調査結果

報告書では、IRジャパンの経営陣にはこの利益相反(マッチポンプ)の意図は認められなかったとしています。副社長の暴走を把握できていなかったとの結論です。この方特別な存在だったようですが、まぁ、副社長の行動を把握、管理できていなかった時点でもうアウトですね。

報告書でも、「会社を代表する肩書きを与えておきながら、監査監督を適切にすることなく、単独での営業活動を許容していた」とし、「IRJの利益相反管理体制の問題点もあってこのような事態を招いたものであり、まさに起きるべくして起きた事案である」と指摘しています。

とんでもない事件

利益相反の意図はともかく、客観的にはIRジャパンの一連の行為により、マッチポンプと見られる外形が作られたわけで、間違いなく顧客の期待を完璧に裏切ってきたわけです。利益相反というと法律が定めることに違反したというドライな見え方ですが、このケースはもっと重大なことと考えるべきだと思います。

この事案のような敵対的な買収においては、当事者間の利害が激しく対立します。たとえは悪いかもしれませんが、セキュリティ会社が泥棒に、顧客宅のセキュリティの甘いドアを教えるようなもんです。この事件は単なる利益相反取引ではなく、とんでもない事件なんです。と、kuniは考えますが、みなさんはどう?

ビジョナリーホールディングス 第三者委員会を設置 決算発表も延期

ビジョナリーホールディングスは3/7、「第三者委員会の設置及び 2023年4月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。どうやら同社代表取締役社長(同日付で代表取締役および取締役の辞任も発表されてます)による不正が発覚したようです。

ビジョナリーホールディングス

ビジョナリーホールディングスは「メガネスーパー」を主力ブランドに、直営店方式で眼鏡・コンタクトレンズの小売チェーンを全国に展開する企業。主に高付加価値・高単価の眼鏡を志向するミドル・シニア層をターゲット顧客に事業を推進する東証スタンダード市場上場企業です。株価は200円割れとなっており、既にヤバそうな感じの会社です。

不正の概要

2022年12月下旬に、代表取締役社長による同社企業価値を毀損する行為の疑いに関する情報提供を得たことから、監査等委員が選定した外部専門家に調査作業を委託して調査を進めてきたということです。内部通報でしょうか。

この調査により、同社の業務委託先その他取引先が、代表取締役社長の実質的影響力の下に経営されている、または同社取締役・執行役員の一部が出資している会社である可能性、および同社グループの利益に反する可能性のある行為が認識されるに至ったとしています。

取締役の利益相反取引

開示されているのはここまでです。どうやら取締役による同社との利益相反取引が発見されたということのようですね。会社法は、「会社の業務を執行する取締役が、会社の利益を犠牲にして取締役自身や第三者の利益を図ること」を禁止しています。これをやってしまっていたと。

「別の取締役や執行役員の一部」という表現も気になりますね。代表取締役社長以外でも不正が出てくる可能性がありそうです。

神戸製鋼所 取締役監査等委員が出張費不正で辞任

神戸製鋼所は2/28、「当社監査等委員である取締役の退任に関するお知らせ」を公表しました。開示では、不適切な出張旅費の精算が判明したため、同日付で本人より取締役を辞任する旨の申し出があり、受理したとしています。

監査等委員が・・・

開示では、辞任する旨のみ伝えていて、どのような不適切な行為だったのか全く分かりません。朝日新聞の報道によると、職務上の必要性が低い出張を繰り返し、不適切な処理が疑われる出張旅費の総額は最大で400万円規模となる可能性があるとしています。

やはりこの記事でも、出張先や使途などの詳しい内容は明らかにしていないと括っていました。ちなみに、「監査等委員会に情報が寄せられて問題が発覚した」ということですから、内部通報みたいです。

この常勤監査等委員、2018年6月に就任、約5年間にわたって監査等委員を務められています。同社に入社後執行役員にまで。その後、同社子会社のコベルコ建機で取締役を務めたのち、最後のご褒美的に同社の取締役に就任されたみたいな感じですね。

神戸製鋼所

神戸製鋼といえば、2018年、製品の品質不正問題で世間を騒がせました。調査後も外部弁護士の調査報告書の公表を避け、自社名義で概要を説明しておしまい。という、いかにも真剣に取り組んでる感のない対応にみえました。その3か月後に就任されたのがこの監査等委員の方です。

辞任のお知らせは開示されましたが、同監査等委員の不正に関する委員会等による調査を実施するという説明はなく、どうやら引責辞任で幕引きということのようです。やっぱり企業のカルチャーって、そう簡単には変わらないんですね。

カッパ・クリエイト 東京地裁の初公判で無罪を主張

日本経済新聞は2/26、「「かっぱ寿司」公判、営業秘密巡り主張対立 法人、無罪を主張 元社長は認める」と報じました。競合チェーン「はま寿司」の営業秘密を不正に使用したなどとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われた件の公判ですね。

法人と社長個人で割れたね

営業秘密を持ち出した本人であるカッパ・クリエイトの元社長は、既に起訴内容を認めています。一方、両罰規定が適用された法人としてのカッパ・クリエイトは、「データは営業秘密に当たらない」と主張しているということです。

争点はここですね。データ(はま寿司の仕入れや原価関連のデータだといわれてます)は営業秘密に該当しない、という判断になれば、カッパ・クリエイトだけではなく、元社長も救われるということになるんでしょう。まぁ、もしそういう判断になったとしても、元社長個人の復帰はありえないでしょうけど。

営業秘密

不正競争防止法が規定する営業秘密の定義は、①秘密として管理されている(秘密管理性)、②事業などに有用(有用性)、③公に知られていない(非公知性)――の3要件を満たす情報であること(多分前にも書いたと思いますが)。

個人的には十分3要件を満たしていると思うんですけどね。カッパ・クリエイトとしては②の有用性のない情報だ、として争うということですかね。情報持ち込んだけど、社内で検討してみたら全然有用性がなかったんです、、、みたいな言い分が通用するんでしょうか。いや、それ、無理でしょ。