アイ・アールジャパン 第三者委員会の調査結果を公表

アイ・アールジャパンは3/7、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛のアドバイザーを請け負っていたという事案でした。この時のフィーは5億円だったとか。

調査結果

報告書では、IRジャパンの経営陣にはこの利益相反(マッチポンプ)の意図は認められなかったとしています。副社長の暴走を把握できていなかったとの結論です。この方特別な存在だったようですが、まぁ、副社長の行動を把握、管理できていなかった時点でもうアウトですね。

報告書でも、「会社を代表する肩書きを与えておきながら、監査監督を適切にすることなく、単独での営業活動を許容していた」とし、「IRJの利益相反管理体制の問題点もあってこのような事態を招いたものであり、まさに起きるべくして起きた事案である」と指摘しています。

とんでもない事件

利益相反の意図はともかく、客観的にはIRジャパンの一連の行為により、マッチポンプと見られる外形が作られたわけで、間違いなく顧客の期待を完璧に裏切ってきたわけです。利益相反というと法律が定めることに違反したというドライな見え方ですが、このケースはもっと重大なことと考えるべきだと思います。

この事案のような敵対的な買収においては、当事者間の利害が激しく対立します。たとえは悪いかもしれませんが、セキュリティ会社が泥棒に、顧客宅のセキュリティの甘いドアを教えるようなもんです。この事件は単なる利益相反取引ではなく、とんでもない事件なんです。と、kuniは考えますが、みなさんはどう?

ビジョナリーホールディングス 第三者委員会を設置 決算発表も延期

ビジョナリーホールディングスは3/7、「第三者委員会の設置及び 2023年4月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。どうやら同社代表取締役社長(同日付で代表取締役および取締役の辞任も発表されてます)による不正が発覚したようです。

ビジョナリーホールディングス

ビジョナリーホールディングスは「メガネスーパー」を主力ブランドに、直営店方式で眼鏡・コンタクトレンズの小売チェーンを全国に展開する企業。主に高付加価値・高単価の眼鏡を志向するミドル・シニア層をターゲット顧客に事業を推進する東証スタンダード市場上場企業です。株価は200円割れとなっており、既にヤバそうな感じの会社です。

不正の概要

2022年12月下旬に、代表取締役社長による同社企業価値を毀損する行為の疑いに関する情報提供を得たことから、監査等委員が選定した外部専門家に調査作業を委託して調査を進めてきたということです。内部通報でしょうか。

この調査により、同社の業務委託先その他取引先が、代表取締役社長の実質的影響力の下に経営されている、または同社取締役・執行役員の一部が出資している会社である可能性、および同社グループの利益に反する可能性のある行為が認識されるに至ったとしています。

取締役の利益相反取引

開示されているのはここまでです。どうやら取締役による同社との利益相反取引が発見されたということのようですね。会社法は、「会社の業務を執行する取締役が、会社の利益を犠牲にして取締役自身や第三者の利益を図ること」を禁止しています。これをやってしまっていたと。

「別の取締役や執行役員の一部」という表現も気になりますね。代表取締役社長以外でも不正が出てくる可能性がありそうです。

三菱マテリアル 決算発表延期 子会社における利益相反取引の調査で

11/2、三菱マテリアルは11/6に予定していた、2021年3月期第2四半期の決算発表を延期すると発表しました。このところ相次ぐ不祥事調査のための決算発表の延期ですが、今度は三菱マテリアルも仲間に加わりました。非鉄金属の大手ですね。

連結子会社での不適切取引

ダイワボウホールディングス、ネットワンシステムズと、社内又は連結子会社における不正等の調査を実施するため、第2四半期の決算発表が延期となりました。そして今度は三菱マテリアルです。創業明治4年、グループ従業員数が3万人に近い、かなりの大企業ですね。

延期のお知らせによると、同社の米子会社MCCD社の子会社RRM社ほか2社(いずれも三菱マテリアルの連結子会社)において、RRM社の一部の経営幹部により、当該幹部らが個人的利害関係のある企業との間で、重機や原材料・資材の購入等の取引が行われていたといいます。

一部の経営幹部とか、当該幹部らが、と表現されているところがビミョーですが、一人の取締役だけではなさそうに見えますね。端緒となったのはRRM社の従業員と称する者からの匿名での内部通報のようです。

これを受けて、MCCD社では利害関係のない独立した外部専門家を起用して調査を進めているといいます。通報自体は8/12といいますから、既に2カ月半が経過しています。現地が調査の主体ですから、調査は相応に進捗していると思われます。

利益相反取引

ここまでの調査で、RRM社の一部の経営幹部が共同で出資する企業との間で取引が行われていたことを確認しているようです。「共同で」としていますから、やはり複数の経営幹部ですね。日本の会社法でいうところの「取締役の利益相反取引」に該当するかどうか、またそれが財務諸表にどう影響を与えるのか。その辺りの調査に時間を要しているようです。