日鉄ソリューションズ 調査報告書(その2)

昨日書きました調査報告書の中から、気になるところをいくつか追記します。13日にはネットワンシステムズの決算発表が控えています。おそらくそこで架空循環取引の詳細が明らかになるんでしょうが、、、ちょっと先走ってみましょう。

最初の架空循環取引

日鉄ソリューションズの調査報告書では、最初に行われた架空循環取引は2014年6月に受注しています。売上への計上は同年12月です。今メディアで書かれているように、ネットワンシステムズが主導していたということであれば、この取引相手はネットワンシステムズでしょう。

以前当ブログでも書きましたが、ネットワンシステムズは同社社員の不正行為により8億円の被害を被る事件が起きています。循環取引ではありませんが、架空取引に対する架空外注費を払わせ、これを騙し取るという手口でした。この事件が発覚したのが2013年3月です。

3月8日に第三者委員会の報告書を受理して、適時開示も行っています。ということは2013年4月以降は、こうした不正行為をいかに未然防止していくのかといった、いわゆる再発防止策の実行時期になっていたはず。しかし、そこからわずか1年3か月後には新たな不正が始まっていたことになります。まったく酷いことになってますね。

ちょっと腑に落ちないこと

ネットワンシステムズの1回目の不正行為の際、「強い支配力を持つ行為者の行動については、治外法権として聖域化していた」と調査報告書に書かれていました。聖域化することで他のものを近づけないわけです。不正を働く者の常套手段と言っていいでしょう。

話を戻して今回の日鉄ソリューションズ。調査報告書の発生原因の中に、「秘匿性の高い取引先向けの案件であると説明されていたため」というのがあります。このように聖域化する必要があったのは、行為者が架空循環取引を認識して関与していたからでは?と思うんですが。

ネットワンなど、決算発表延期 → ネットワン・東芝ITサービス・日鉄ソリューションズの循環取引

ネットワンシステムズは1/21、30日に予定していた2019年4~12月期決算の発表を2月13日に延期すると発表しました。「特別調査委員会の調査結果受領までにいましばらくの時間を要する見込みであるため」と説明されています。

ネットワンなど、、、

このタイトル、昨日の日経の記事のタイトルそのまんまです。ネットワンなど、という表現が目を引きました。たしかに21日にネットワンシステムズは延期を発表しているんですが、日鉄ソリューションズについても並べて伝えていて、そのため「など」と書いたわけですね。

しかし、一方の日鉄ソリューションズは延期の公表をしたわけではありません。自社のホームページ、IRカレンダーのコーナーで2月4日決算発表予定と表示しただけです(いつ表示したのかは確認できず)。にもかかわらず、「など」としたあたり、やはり日経も両社に関連ありとみてるんでしょうか。

ちなみに、日鉄ソリューションズの前年度の第3四半期決算短信の日付は2月1日。もう一年度前は1月30日となっているので、たしかに少し延期した感はありますが。

やっぱり3社で循環取引

とまぁ、ここまで書いたところへニュースが。ネットワンシステムズ→東芝ITサービス→日鉄ソリューションズ、という循環取引があったことが確認されたようです。22日11:13の日経デジタルのニュースです。複数の関係者が明らかにしたとのこと。やれやれ、やっぱりですかぁ。

こうなると、いまさらですが、東芝も誠意のあるお詫びと、第三者委員会の設置が必要ですね。いかにも、「子会社の子会社のことだし、東芝本体の知ったことじゃない。。。」みたいな姿勢が透けて見えるあのプレスリリースだけではいかんでしょうし、グループの膿を出し切るためには第三者による調査を徹底しないと。これが最後のチャンスじゃないでしょうか。