UMCエレクトロニクス(6615) 調査報告書を公表

同社宮崎工場において、棚卸資産に関する不適切な会計処理が行われていた可能性があるとして、事実関係の解明のため、コンプライアンス委員会の下で、外部の有識者を構成員に含めて調査を開始。5月26日、その調査結果を公表しました。

内部通報は

調査の結果はというと、宮崎工場および佐賀工場における会計処理については、意図的な不正ではなく、複数の誤謬があったことが認められた。ということらしいです。調査開始時には宮崎工場の従業員からの内部通報がきっかけという説明がされていましたが、、、。

今回の調査では、問題となる在庫の実在性を裏付ける客観的証拠の存在が確認できたそうで、不正の線はなくなったとしています。そのため、前回「内部通報」と表現していた事象についても、今回の調査結果では「証言」と修正されています。

工場従業員の証言で、同社としても不正を疑って調査したものの、従業員の勘違いで、実際には一部の実在性が確認され、残りは実在するが資産性に疑問があるもの、誤謬により二重に計上されたものであったと説明されています。

複数の誤謬

棚卸資産の過大計上や二重計上は行われており、会計処理上66百万円に及んでいるんですが、いずれも意図したものではなく、適切な在庫管理が出来ていなかったために、複数の誤謬が発生していた(要するに間違いが発生していた)。という結論です。

2名の取締役副社長の関与の下、有価証券報告書等に虚偽記載を行い、東京証券取引所から上場契約違約金4,800万円の支払いを求められた。という去年の出来事があっただけに、、、。調査結果を素直に納得できなかったりします。

ALBERT(アルベルト:3906)(その2)

外部調査委員会の調査報告書が5/13、開示されました。データサイエンティスト育成事業に係る取引に関する売上高計上の妥当性について、監査法人から指摘され、外部調査委員会を設置して調査をしていました。

売上計上の妥当性

報告書を読んでも良く分からないところが多いです。人材サービス提供会社の社員をALBERTが育成し、スキルが上がったところで再度派遣社員として受け入れ、働いてもらうというスキームのようです。ところが今回、受け入れた派遣社員が使い物にならず、費用ばかりが発生してしまう状況に。

そこで受け入れた派遣社員を再研修することになり、人材サービス提供会社から5000万円受け入れます。ALBERTからみて、派遣受け入れ(お金の支払い)と再研修(お金の受け取り)という複雑なお金の流れがあるもんですから、ややこしい。

で、結論はというと、収益を認識するための要素が欠けており、適正な会計処理ではないというものです。現行の会計制度においては、収益として認識するためには以下の2点が必要とされています。
① 財貨又は役務の提供が行われ
② 対価として現金または現金等価物を受領した時

②に関しては認められるものの、「役務の提供」の実態がないため、売上げとして計上するのは妥当ではないという結論です。

取引そのものも変

報告書では純粋に会計処理上の判断を書いていますので、上記のような話になるんですが、金は受け取ったが、再研修なんてやってねーし。っていうことなんですね。再研修の話はまとまったかもしれませんが、そのことがALBERT内で共有されていないために、ほぼ詐欺状態に見えます。

再研修と言われてポンと5000万円払う会社もどうなんだかって感じです。で、その後再研修の実態についても確認してなさそうですし。この人材サービス提供会社とALBERTの関係も良く分かりません。AI関連、やはりバブルなのか、、、何だかもっと裏の事情があるのか、、、。

ALBERT(アルベルト:3906) 売上高計上の妥当性 外部調査委員会設置

データサイエンティスト育成事業に係る取引に関する売上高計上の妥当性などについて、監査法人から指摘され、決算発表を延期すると公表したのが2/14。続いて、より独立性を高めた調査を、ということで外部調査委員会の設置を2/27に決定、公表しています。

ALBERT

2005年設立で2015年、東証マザーズに上場。ビッグデータ分析、アルゴリズム開発、AI(人工知能)のシステム実装などを手掛ける。データサイエンティストの育成支援なども展開している。という会社らしいです。今時のというか、メチャ重宝されそうな会社ですね。

実は公表時のこの会社の開示情報、見逃していました。ちょっとタイミング外してしまいましたが、気になるところなどを備忘的に、、。

会社を設立したのは、山川義介氏。シリアルアントレプレナー(連続起業家)だそうです。もともとはTDKでVHSテープの開発をしていた人のようです。マザーズ上場後の2016年、同社の業績悪化という重要事実公表前に、親族等にインサイダー情報を伝えて売り抜けさせたとして地検に告発された人物です。地裁判決は懲役2年、執行猶予3年、罰金200万円。この時会社は退いてます。

株価は大きく下落

過去に傷のある同社ですが、AI関連、データサイエンティストだの、、、でここ最近は相当注目度高かったようですね。2018年5月にはトヨタと業務資本提携、10月には東京海上日動と資本業務提携、12月にはKDDIと資本業務提携しています。一流どころですね。

そして2019年7月には三井住友FGとも業務提携しています。このあたりが人気のピークですかね。メガバンクはこの手のピーク外しませんから。で、年が明けたら監査法人から指摘を受けたと。

まだ会計不正の内容については全く情報がありませんが、株価は酷いことになっています。もともと高すぎましたし、マーケット全体の下げもありますが、公表した2/14終値は8,590円。ちょうど一か月後にあたる3/13の終値は3,395円です。60%の値下がりはきついです。さて、何が出てくるんでしょう。

ネットワンシステムズ 新たに発覚した原価付替取引

2/13に公表された、「特別調査委員会の中間報告書受領及び公表に関するお知らせ」では、調査期間を1カ月延長し、3/12を目途に最終報告書を受領する旨の説明がありました。その中では、調査の過程で、「原価付替取引」が存在することが発覚したため、、、という話もありました。

原価付替取引(ゲンカツケカエトリヒキ)

今では全部で9社が関与したといわれ、注目を集めていますので、ついつい架空循環取引の方に目が向いてしまいますが、新たに原価付替取引も発覚したようです。公表文の中では次のような表現になってました。

「特別調査委員会による調査の過程で、本不正行為に類似する不正(原価付替取引)が存在することが発覚し、当該不正の疑いに係る会社との平成20年以降の直接取引を対象として追加調査を実施することが必要になったことから・・・」

原価 付け替え

原価とは、商品を提供するために必要とした費用といっていいでしょうか。かなり雑な説明ですが。材料費に加え、労務費や光熱費などすべての費用を足し込んだものです。例えば、売上げ1000万円のシステム開発に800万円の原価が計上されていれば、200万円の利益ということになります。

逆に800万円の売上しかないのに、原価が1000万円かかってしまうと、200万円の赤字ということになります。この時、会計上原価として認識していた1000万円のうち、300万円分を他のプロジェクトに掛かった費用として不正に計上すると、100万円の利益が出せるわけです。この行為を原価の付け替えと言います。

昨年6月に電気興業(6706)という会社が、この原価付替取引の発生に関する調査結果を公表していました。コンプライアンス意識の欠如や原価計上ルールの不徹底など、発生原因が分析されていましたが、最も大きな原因は「赤字案件を発生させないというプレッシャー」でした。

赤字案件を戒める過度な手続き(経営への赤字上申書など)がプレッシャーとなり、原価の付け替えという不正の動機になっています。おそらくネットワンでも同じ状況があるんでしょう。ここでも見積書の案件名の書き換えなど、協力している業者が出てきそうですね。

2/13 ネットワン、ダイワボウ情報システム 2/14 東芝の公表 を受けて アップデート

2/13にネットワンシステムズが「納品実体のない取引に関する調査 中間報告書」を公表したところまでは、当ブログでもお伝えしました。その後、日本経済新聞が、ダイワボウ情報システムも絡んでいたことを伝え、ダイワボウは日経の記事の誤りを指摘。また、東芝も調査結果を公表しました。

6社目はダイワボウ情報システム

ネットワンシステムズが主導した一連の架空循環取引に、ダイワボウ情報システムも関与していたことを日経が伝えました。2014年度から2016年度に合計50億円の売上高を架空計上していたという内容です。

ネットワンの中間報告書では関係する企業名は一切伏せられていたんですが、、、これ誰がリークしたんでしょう。ネットワンの上層部だとしたら酷い話です。報告書の上ではきれいごとを並べて、甲社、乙社なんて書いておいて、裏では他社の社名平気で出してるわけですからね。

で、翌日の適時開示ではダイワボウHDが、架空の売上は50億円ではなく、約7億円であると公表しています。金額はまぁともかく、日経が書いたら翌日すぐに調査結果を公表って、、ここまで知ってて隠してきたわけで、、、これまた残念な話です。

東芝も決算発表に合わせて公表

東芝も調査委員会を設置して調査していたようで、2/14、決算短信と一緒に調査結果を公表しました。2015年11月から2019年7月までの間に24案件、435億円の架空売上を計上していたとのこと。架空のエンドユーザーはやはり官公庁です。

担当者等の取引への主体的な関与や、主導してきたネットワンの某氏との共謀についても否定しています。また、報告書では見つからないんですが、新聞等が伝える会見の記事では、「一連の取引には東芝ITを含め、9社が関与していた」とされています。芋づる式公表はまだまだ続きそうです。