住友重機械工業 今度は中国への防衛情報流出

度重なる検査不正等の発覚、従業員による6億円を超える横領事件、メール誤送信による個人情報の流出などなど。当ブログでも常連となっている住友重機械工業。今度は子会社を通じた中国への防衛関連情報の流出です。もうシャレになりません。

機関銃の設計図

今回の事件、陸上自衛隊向けに製作した試験用機関銃に使われた部品の設計図面が、下請け企業を通じて孫請けである中国企業へ流出したといいます。経済産業省は海外との取引を管理する外為法に下請けが違反したとして、住友重機と下請け企業をそれぞれ厳重注意しました。

この問題に関する情報は政府からの一方的な公表です。住友重機械工業はこの件に関する情報を一切公表していません。なんなんでしょうね、このすれ違いは。報道によれば、同社は「今回の件を真摯に受け止め、下請け企業の管理を徹底したい」とコメントしているらしいのですが、同社ホームページ等では沈黙を守っています。

気になること

ある報道では、同社は機関銃生産について、売り上げ拡大が見込めないほか、生産設備の維持や技術者の育成が難しいなどとして、撤退することを決定している。今後はメンテナンスや整備用部品の生産は続けるが、入札には参加しない方針。と伝えていました。

儲からない事業なので新たな受注はしない。メンテナンスだけは奉仕する。みたいなこのコメントってどうなんでしょう。政府は事業として儲かるほどの予算は付けられない。無理を言ってやってもらってることなので、重大な違反があっても厳重注意まで。罰金はとれない。

企業側としては政府からお願いされてやってる事業。あまりうるさいこと言うんだったら完全撤退するぞ。みたいな関係でしょうか。米中冷戦が今後本格化していくのに、こんな関係で国防は成り立つのでしょうか。

東邦化学工業 ニイタカ 中国連結子会社の行政処分

少し前のことになりますが、東邦化学工業は5/6、「当社連結子会社に対する行政処分について」を公表しました。同社連結子会社である東邦化学(上海)有限公司は、中国上海市金山区応急管理局から 4/30付で生産停止命令を受けました。これよりも前、4/21にはニイタカでも同様のことが。

東邦化学工業

東邦化学工業は東京都中央区に本社を置く、界面活性剤、樹脂、化成品、スペシャルティーケミカルなどの化学製品を製造・販売する、東証2部上場の企業です。同社の連結子会社である東邦化学(上海)有限公司が現地で行政処分を受けました。

4/29、国務院安全委員会事務室査察グループの安全生産に関する査察があり、ガス検知器の不足等、4つの重大な潜在的危険を含む法規制違反や要改善事項の指摘を受け、4/30付で生産の一時停止を命じられたとのこと。

停止を命じられた生産の範囲は、東邦化学(上海)有限公司における生産の全てとしています。また、停止期間は4/30から、査察における指摘事項の改善状況を政府関係当局が確認し、生産を許可するまでだそうです。

ニイタカ

ニイタカは大阪市に本社を置く、フードビジネス業界向けの業務用洗剤・洗浄剤および固形燃料などを製造・販売する、東証1部上場の企業です。

同社連結子会社である、新高(福建)日用品有限公司において製造する料理用固形燃料が、中国国内で法的規制のある危険化学品に該当すると指摘を受けました。そのため、同子会社の工場における料理用固形燃料製造設備の操業を停止したといいます。

同社では行政処分という言葉を使っていませんが、東邦化学と同じ処分のようです。いずれも市の応急監理局からの指摘で生産停止に。両社とは直接関係ありませんが、北京市の応急管理局が「危険化学品の安全生産作業を全面的に強化し、市内の危険化学品の安全を確保」という通達も出しているようです。同様の処分が今後増加するかもしれませんね。

理研ビタミン 学ぶべき教訓 チャイナリスク

理研ビタミンの上場廃止に関する記事にたくさんのアクセスをいただいています。中国の連結子会社、青島福生食品というパンドラの箱が開き、決算が締められず。監理銘柄に指定され、来週には上場廃止の危機が迫ります。中国のリスク、今一度しっかり認識する必要がありそうです。

いったい何社出てきた

グループ内の中国企業が原因となり、危機に瀕している企業は理研ビタミンだけではありません。親会社の中国企業グループに対する売掛金が焦げ付いて倒産したレナウン。中国子会社において、154億円もの債権に取立不能・遅延リスクが発生した国際紙パルプ商事。

他にも、LIXILグループや大和ハウス工業、ユー・エム・シー・エレクトロニクス、MTG、、、。いくらでも出てきますね。不正の内容は横領や会計不正、粉飾決算、キックバック、架空支払、贈収賄等いろいろですが、日本の本社から子会社のガバナンスをコントロールできていません。

お国柄

子会社の管理の難しさがあるのは間違いないところですが、加えてお国柄というのもありそうです。もう30年位前のこと、アルゼンチンがデフォルトして、アルゼンチン国債が紙切れ同然になる事件がありました。そのころに聞かされた話、「南米では借りたお金は返さないのが常識」。

まぁ、ちょっとデフォルメが効いちゃってるかもしれませんが、日本人なら当然という感覚が海外では意外に通用しないもの。お隣の韓国や中国もです。特に中国には巨大な消費マーケットがあり、従来は安価な労働力もありました。そちらにばかり目がいき、中国のお国柄には目をつぶってきたわけです。

しかし、そのツケが一気にまわってき始めました。コロナがきっかけになっているのも確かですが、中国の生産拠点やサプライチェーン、日本企業はチャイナリスクを直視し、他国への移管や国内回帰などの対応を考える時期だと思います。

中国の飲食浪費禁止令

8/12、中国共産党機関紙 人民日報は、1面に「飲食に関する浪費行動の断固阻止」という、習近平総書記の通達を掲載しました。「社会全体で、浪費は恥であり節約が誉である、という雰囲気を醸成しなければならない」という内容らしいです。

戦争準備?

これより前、7月には演説などで何度も食糧安全という言葉を口にしていたといいます。にしても唐突な感じですね。過去にも他国の侵略に備える、つまり戦時体制を整えるためにこうした通知を出して、食糧備蓄を進めたケースがあったそうです。

そういえば同じ8月中旬には、台湾政府がサイバー攻撃を受け、政府組織の職員の情報が6000名以上抜かれたという情報もありました。台湾政府は攻撃者を中国政府と考えているとのことでしたから、ある意味戦争はもう始まっていると考えておいた方が良いのかもしれませんが。

食糧危機

一方で、中国では既に食糧危機が迫っているといった事情があるとも言われています。どちらかというと、食糧危機説の方が説得力ありますね。中国が発表している統計によると(もうこの時点で信用できないかも)、国内で消費される食糧の約3割は輸入に頼っているそうです。

7月からの大規模な洪水・冠水により、農作物の被災は極めて大きなものになっていそうですし、サバクトビバッタの大量発生の被害も報道されていました。自然災害以外にも、新型コロナウイルスが検出されたとして北欧からのサケの輸入を止めたり、ブラジル産鶏肉の輸入を制限したり。

こうして考えていくと、やはり中国に食糧危機の可能性が出てきていて、冒頭の習近平総書記の通達に繋がっていると考えた方が自然かもしれません。14億人を抱える中国。コロナの次は飢餓でしょうか。これまた対岸の火事とは思えません。

新型コロナウィルスでも勝ったのは中国?

週刊東洋経済3月14日号のコラム、「中国動態」でなかなか興味深いお話が。中国武漢市で発生した新型コロナウィルス、ここでの医療体制の構築やウィルスの封じ込め、さらには経済復興という諸対応について、ジャーナリストの富坂氏が担当するコラムです。。

人民戦争方式

武漢の封鎖から6日間で全国各地から6000人の医療従事者が集められ、これまでに投入された医療スタッフは3万2千人を超えているんだとか。火神山医院はわずか10日で建設し、人民解放軍の医師たちが到着して50時間後には治療を始めたとも。

医療従事者へ配慮して報酬等に大金が投じられ、同時に復興に向けてウィルス対策で影響を受けた企業に対しても巨額の企業負担軽減策がとられているようです。まさに、ウィルス封じ込めから経済復興までをセットにして、「人民戦争方式」で戦っているというご指摘でした。もちろん、負の側面もあるのは間違いないですが。

習主席の言葉(これはkuniも新聞で読んで知っていましたが)、「中国共産党の指導と、中国の特色ある社会主義制度の優位が再び顕著に示された」、も紹介されてましたが、たしかに、、、と思わざるをえませんね。

社会主義制度の優位性

習主席、経済・貿易に関して、過去に同じような発言をされてましたね。人権など、様々なことへ配慮してコストが高く付き、スピードにも欠ける民主主義と比べ、明らかに社会主義には優位性があると。まさかその縮図を今回の新型コロナウィルス対応で見せ付けられるとは。

そんなふうに中国の強さを感じているところ、米国においても社会主義熱が高まっています。そう、民主党の予備選挙でサンダース候補が有力となってきています。中国のそれとは少し違っていて、民主社会主義といわれるやつですが、格差社会化が激しい米国で賛同を得ているということです。社会主義旋風が、、、こちらも目が離せません。