アルコニックス株式会社(3036) 連結子会社で不適切会計

アルコニックスは12/4、同社の連結子会社において不適切な会計処理が行われていたことを公表しました。これまで社内で調査を進めてきましたが、外部専門家を委員に含む特別調査委員会を設置するとのこと。棚卸資産の架空計上のようです。

アルコニックス

創業時の社名は日商岩井非鉄販売株式会社。日商岩井、つまり現在の双日の子会社としてスタートした会社ですね。アルミニウム、銅の製品を主体にした非鉄金属の販売会社です。その後、社名を日商岩井アルコニックス株式会社に変更、2005年から現在の社名に変わっています。

今回不適切な会計処理が発覚したのは、連結子会社で銅管等伸銅品の販売を行うアルコニックス三伸株式会社。この子会社は2008年4月に設立されています。

不適切な会計処理

開示された情報によると、アルコニックス三伸の従業員により、複数年にわたり棚卸資産を架空計上し、利益を積み増す等の不適切な会計処理が行われていたことが、2020年11月中旬に、同従業員の告白により発覚したとのこと。

棚卸資産の架空計上で、売上原価を抑え利益を大きく見せることができます。社内調査で判明している情報では、現時点における影響額は約250百万円だそうです。今年同じ手口が、小倉クラッチ、理研ビタミン、UMCエレクトロニクスなどで発覚しました。

一部上場時の財務諸表に影響?

開示されている情報では、「複数年にわたり」と表現されているだけで、不適切な会計処理が行われた期間は特定できません。同社の設立が2008年。その2年後の2010年12月には親会社のアルコニックスが東証第一部に上場しています(二部からの指定替え)。

この一部への指定替えの際の審査に、今回の不適切会計が影響を与えていた可能性もあります。ハイアス・アンド・カンパニーの件で見たように、「上場市場の変更申請時の宣誓書において宣誓した事項について、重大な違反を行ったおそれがある」、ってなことで監理銘柄(審査中)に指定などということも、、、ありうるわけです。

株式会社ベクトル(6058) 不適切会計で社内調査委員会設置

東証一部上場の株式会社ベクトルは10/9、同社子会社における会計処理に関わる社内調査委員会設置に関するお知らせを公表しました。連結子会社である株式会社あしたのチームの売上計上のタイミングについて会計処理の前提となる事実の精査が必要となることが判明したとのこと。

あしたのチーム

子会社のあしたのチームは、人事評価制度に関するコンサルティングサービス及びクラウドシステムの販売を事業とする子会社です。その傘下には台湾、シンガポール、中国、香港と、4社がぶら下がってるようですね。

監査法人による2021年2月期第2四半期レビュー手続きの中で、あしたのチームにおいて、同社の特定の取引に関わる売上について期間帰属の適正性に疑義が識別され、過年度の類似事象の存否を含めた事実関係についての精査が必要となることが判明したということです。やはり、在外子会社で起きた事件なんでしょうかね。

ベクトル(6058)

ベクトルの事業内容です。PR業務代行・コンサルティング、ブランディング業務、IRコミュニケーション、キャスティング、リスクマネジメント業務、マーケティングリサーチ業務、イベントの企画/実施、SNSコミュニケーション、マーケティング・・・。

なんとも昭和生まれには理解しにくい会社です。基本的にはPR事業を中心にしているようですが、「企業と生活者の運命の出会いを創り出す、コミュニケーションのインフラを提供」する事業ならなんでも取り組むって感じですかね。

1993年に設立された会社ですが、10の事業部門それぞれに複数の子会社を置いていて、その中には東証一部上場の(株)PR TIMESなんかもあります。有価証券報告書で数えてみると、全部で41社ありました。このサイズの企業で40社の経営管理(特に経理など)は大変でしょうね。その弊害が出たということでしょうか。

理研ビタミン(4526) 特別調査委員会 やりなおし~

7/27、特別調査委員会の設置を公表した理研ビタミン株式会社。9/23、同委員会の調査報告書を受領し、開示しました。取引の実在性を確認できず、売上原価相当分である120億円ほどを特別損失に計上するという雑な結論を出していましたが、、、やっぱり次が出てきました。

青島福生食品

舞台はまたしても青島福生食品です。前回はエビ加工品の取引の実在性が問題になっていましたが、今回は鱈などを中心とした水産加工品だそうです。一部が通常とは異なる低価格で売上計上され、それに伴い約 26 億円の営業損失が計上されていたとのこと。

青島福生食品と同社との間で、在庫の仕入・製造時期についての認識に相違があることが判明し、過年度においてそれらの評価が適切に行われていなかった疑い、およびその結果と
して、過年度の連結貸借対照表上の棚卸資産が過大に計上されていた疑いが生じているとのこと。

少し前に取り上げた小倉クラッチの子会社と同じですね。期末の棚卸資産を過大に計上することで、売上原価を抑え、利益を大きく見せるという手口です。

脇の甘さ

前回の特別調査委員会が調査を終え、報告書をあげてからまだ2週間ほどです。決算を締めるためにやや強引に特別損失を計上して終わらせたツケが早速、、、って感じです。どうもこの会社、脇が甘いんですね。今回の開示文書にも次のようなくだりが。

「青島福生食品以外の海外子会社については買収によるものではなく、当社が設立から関与しております。また、当社の熟知した事業領域であり、当社から代表者をはじめとする管理者が派遣されていることから、日ごろのコミュニケーションが緊密であり、経理面や業務推進上の管理・統制が十分に図られております。したがって、今回の調査は青島福生食品のみを
対象といたします。」

ね、甘いでしょ。

小倉クラッチ(6408) 特別調査委員会を設置

JASDAQ上場の小倉クラッチは10/5、特別調査委員会を設置したことを公表しました。同社の子会社で不適切な会計処理が行われていたこと、また別の子会社では元従業員による横領の可能性が出てきたため、これらの全容解明のため同委員会を設置したとしています。

ORC(Ogura Racing Clutch)

小倉クラッチ株式会社は、群馬県桐生市に本社を置く、クラッチ/ブレーキの会社です。マニュアル車でよく聞いたクラッチ、半クラとかっていうあれです。モータースポーツ好きの方ならブランド名ORCでよくご存じだと思います。レース用強化クラッチやら、スーパーチャージャーとかも作ってますね。

多種多様な製品を提供しているようで、カーエアコン用クラッチや、オフィスで使用するプリンターや複合機(コピー機)の中で使われるマイクロ電磁クラッチなども作っています。他にも高圧クーラントやオイルミスト除去装置なども(これらはkuniには説明できません)。

棚卸資産の過大計上・横領

そんな小倉クラッチが今回公表したのは、在外子会社2社(開示情報ではこう表現されています)において、約780百万円、棚卸資産を過大計上していた可能性があるということです。また、この2社とは別の在外子会社では、元従業員による横領の可能性が判明したとのこと。

横領に関しては「現在、事実関係の把握を行っている段階」としていますが、元従業員といってますから既に解雇されていて、横領の事実までは把握済みと思われます。ただし、横領金額については触れられていません。

棚卸資産の過大計上は、企業の粉飾決算の典型的な手法です。期末の棚卸資産を過大に計上することで、売上原価を抑え、利益を大きく見せることができます。現時点で分かっているのはこの辺りまで。また調査結果が出てきましたら取り上げます。

第一商品(8746) 売上高の96%を占める主力事業を日産証券に譲渡

取締役会長、代表取締役社長、経理担当役員などが関与した不正会計について、当ブログでも取り上げました。何ともだらしない会社なんですが、今度は、貴金属、農産物など主な商品先物取引業を日産証券に9億円で譲渡すると発表しました。同社の売上高の96%を占める事業です。

譲渡までの背景

今年7月中に「金」をはじめとする貴金属市場、ゴム市場、農産物市場が、東京商品取引所から大阪取引所に移管される予定です。大阪取引所は金融商品取引所ですから、第一種金融商品取引業の登録が必要なんですが、それが出来ていないと。

このままでは顧客が突然取引できなくなってしまうため、顧客の取引環境を維持するため、第一種金融商品取引業の登録要件等を満たしている日産証券へ事業譲渡することになったということです。しかし、なんなんでしょう、このドタバタ感。。。

譲渡価額は9億円。影響を受ける顧客は約2600人だそうです。譲渡後に同社に残留する従業員は50名程度とのこと。第一商品の従業員数は240名ほどですから200名近くが日産証券に移ることになりますね。

OKプレミア証券の子会社化

5/25に妙な開示を発見しました。「(訂正)OKプレミア証券株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」です。第一商品がOKプレミア証券を子会社化したわけですが、この開示においてもしくじっていて、訂正版を出しているんですね。

何を訂正したかというと、、、。「また、大阪取引所(OSE)の取引参加者資格の取得手続きも進めており、」という一文が削除されてます。子会社化したOKプレミア証券を通じて大阪取引所に注文をつなぐことで商品先物取引事業を存続させようと考えていたんでしょうか。

25日の当初の開示は16時。上記の訂正版の開示が20時10分です。この4時間で、子会社化して存続・・・というシナリオにケチを付けたのは誰でしょう。OKプレミア証券の特別顧問に、元金融庁証券取引等監視委員会事務局長の名前があったりもします。有名な人です。