仕事はルールとコミュニケーションのバランスが重要

コロナの影響でリモートワークというか在宅勤務が大流行りです。仕事の効率は上がったが、かなりストレスをためている人も多いようですね。特に独身の人はその傾向が顕著なように思います。小さなお子さんのいる家庭では、子供の相手と仕事の両立、なんて課題もありそうです。

ルールとコミュニケーションの関係

仕事や組織の運営はルールとコミュニケーションでできていると思っています。やたらルールをたくさん、かつ細かく作っていく組織では、やがてコミュニケーションが減少していきます。同僚や上席とのコミュニケーションが不要になるくらい、マニュアル等ですべてが定められているからですね。

このコミュニケーションの減少はいずれ組織間、階層間の乖離を生み始め、いわゆる報連相の欠如によるミスを引き起こします。kuniが見てきたコンプライアンス上問題のある組織の典型的なパターンです。組織における縦の連携や横の連携、これらを支えているのは実はルールに定められていないコミュニケーション力なんですね。

リモートワークのリスク

冒頭に書いた在宅勤務。独身者が効率は上がるがストレスがたまるというお話も、似たようなところがあるかもしれません。会社では、なんてことない雑談なんかで頭がリセットされ、息抜きができていたわけです。息抜き的な会話がない職場(自宅)は辛いと思います。

コミュニケーションは息抜きだけでもありません。ルールには書いてないけど、「これは一言あの人には伝えておかないと」だとか、「こういったことが起きていることは念のため上司の耳に入れておこう」、、、といった情報共有が不足していくとミスや事故の原因になります。

在宅勤務やリモートワークにはそういうリスク(コミュニケーションロス)が付きまといます。こうしたリスクはかなり後になってミスや事故として表面化しますので、まだそういうリスクは十分認識されていないように思います。皆さんも今のうちからコミュニケーションを意識しながら、在宅勤務、頑張ってくださいね。

現場を衰退させる形式主義

7/25 日本経済新聞コラム「大機小機」に、「現場を衰退させる形式主義」というのがありました。行き過ぎた形式主義が現場の思考停止を招いている。という主張です。

再発防止策の罠(PDCAの罠)

このコラムで冒頭に新ルールについて触れています。「不正や不祥事が発生するたび、新たな制度やルールが作られます。それら全ての規制を守ることが目的化してしまい、現場力の著しい低下を招いている」。このコラムの言いたいことがここに凝縮されているように思います。

最近のかんぽ生命のニュースを見ていて分かるように、金融機関では発生した法令違反や規則違反をすべて金融庁に届出します。速やかに届け出た後に、真因分析を行い、再発防止策にまとめてそれを受理してもらうという一連の手続きがあるわけです。

再発防止策の中には、必ず、二度と発生させないための新しいルールが盛り込まれていますし、当該ルールが遵守されていることを確認するためのモニタリングも組み込まれます。定期的なモニタリングの結果を経営がきちっと確認するための会議体やレポーティング方法も定められています。そうして新しいルールを軸とした新しいPDCAが生まれ、日常業務の中に組み込まれていくわけです。

コラムでは、「全ての規制を守ることが目的化してしまい」と書かれていますが、ルールを守るだけではすみません。ルールを守っていることを別の人たちがモニタリングし、経営に報告し、結果次第でまた新たなルール、、、というところまでのPDCAも含めて、「目的化してしまっている」と言いたいんだと思います。

形式主義

コラムの言う形式主義は、法令や規則、ガイドラインやマニュアル、と幅広く指しているようですが、こうしたものへの依存は責任の所在を分散させ、組織的に動かすには便利な手段と一定の評価を与えつつ、問題点も指摘しています。

その問題点として、「職場での対話や各人が考えたり、五感で感じ取ったりという人間本来の能力を低下させている。」と言っています。「洞察力、思考力、対話力といった能力はいったん失われてしまうと容易には取り戻せない」とも。

誰がその業務を行ったとしても、同じように業務を遂行できるよう、マニュアルやガイドラインが整備され、ことが起きるたびにそれが追加され、詳細化してきました。詳細化により組織の縦割り、いわゆる蛸壺化もどんどん進みます。形式主義で失ってしまったのは、余人をもって代えがたい職人の技だったのかもしれません。マニュアルの世界と職人の世界。上手く融合できないものですかねぇ。