リープフロッグ現象 (リープフロッグ型発展)

リープフロッグ型発展とは、既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まること。リープフロッグ現象ともいう。 一例として、多くの新興国において固定電話の普及を待たずに、携帯電話およびスマートフォンが急速に普及したことが挙げられる。

また、中国におけるフィンテックの進展においても言及される。アメリカや日本などでは、新しいサービスが出ても既存サービスとの摩擦が起こり、法律の修正が必要になるため、浸透までに比較的長い時間が必要になる。一方、中国は既存の社会インフラや法律の整備が十分に進んでいなかったことから、電子決済、タクシー配車サービス、シェア自転車などの新しいサービスが急速に浸透した。

(以上 ウィキペディアより)

キャッシュレス決済 第2回 の中でサラッと書いてしまっていたので、別途整理しておこうと思いまして。リープフロッグ(Leapfrog)って「蛙跳び」の意味らしいっす。

既存サービスとの摩擦

ここ、結構重要です。金融の世界でもこれが起きてます。金融だけではないかもしれません。カメラの世界でも似たような現象が起きてますね。カメラの重鎮(キャノン、ニコン、オリンパス・・・)たちが既存サービス(デジタル一眼レフカメラ)との摩擦に悩みつつ、ミラーレス一眼カメラを推進してますが、ソニーはそういうレガシーがないので一気に推進出来ちゃうみたいな。ん~、これはリープフロッグとはちょっと違うかな。

とにかく既存サービスとの摩擦。高度成長期に巨大化した日本の大企業にとってはとても重要な課題です。あっ、それからリープフロッグ、言葉はこの機会に覚えておきましょうね。

キャッシュレス決済 第2回

キャッシュレス決済により何を実現するのか

報告書では、我が国の置かれる状況として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少による生産性の低下をあげ、キャッシュレス推進により次のようなメリットが期待できるとしています。

  1. 実店舗等の無人化や省力化
  2. 不透明な現金資産の見える化、流動性向上
  3. 不透明な現金流通の抑止による税収向上
  4. 支払いデータの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化

また、キャッシュレス化の実現プロセスで、既存の業界スキームとは異なる形態のビジネスモデルが現れることについても言及しています。これこそが既存の金融機関に大きな影響を与える、場合によっては全てぶっ壊してしまう怪物なわけです。

1番~4番のメリットについては、多くの場合4番の支払いデータの利活用がクローズアップされてますよね。ただ一方で、2番や3番って、実は国にとってかなり重要なメリットです。ちょっと他人には知られたくない買い物ってありますよね。お金持ちの場合だと、他人には知られたくないお金とかもあるでしょう。特に税務署とか。そういうのが全部デジタルに記録されていくのは非常に怖いことでもあります。(脱線しました)

第1回で書けなかったことの追記

韓国がキャッシュレス比率第1位と書きましたが、これは政府によるクレジットカード利用促進策によるものだそうです。具体的には次の3つが紹介されています。

  • 年間クレジットカード利用額の20%所得控除(上限30万円)
  • 宝くじの権利付与
  • 店舗に対してクレジットカード取り扱い義務付け

いろいろ考えるもんですね。宝くじは、1000円以上利用で毎月行われる当選金1億8000万円の宝くじ参加権ですって。

ついでに、中国。みなさんもうご存じだと思いますが、アリペイが既に5億人のユーザーを囲い込んでいて、世界200以上の都市と国、18の通貨に対応しているそうです。いわゆるプラットフォーマーとして、決済のみならず、各種サービスを提供していると紹介されています。

日本でキャッシュレス決済が普及しなかった理由

日本でも、クレジットカード普及に向けた取り組みや、電子マネー導入への取り組みが、他国と比較して遜色ない程度に行われてきたことを紹介しつつ、日本の特殊性を2つあげています。「治安の良さ」、「綺麗な紙幣と偽札の流通が少ない現金に対する信頼の高さ」これがキャッシュレスが普及しなかった理由です。これ納得感ありますね。

(第2回終わり)

キャッシュレス決済 第1回

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、10年後にあたる2027年6月までに、キャッシュレス決済比率を40%程度とすることを目指すとしています。

私、kuni のお勉強も兼ねて、キャッシュレス決済について、何回かに分けて連載という格好でまとめて行こうと思います。主に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」という報告書に基づき整理していきます。

キャッシュレス決済の定義

今年4月に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、その定義は「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」とされています。そのうえで、公表時点での具体的な支払い手段として、以下の4つのサービスをあげています。

  1. 電子マネー(交通系、流通系)ー前払い
  2. デビットカード(銀行系、国際ブランド系)ー即時払い
  3. モバイルウォレット(QRコード、NFC等)ー即時払い
  4. クレジットカード(磁気カード、ICカード)ー後払い

キャッシュレス決済比率の国際比較

2015年時点での他国との比較について、この資料では、1位は韓国(89.1%)、2位中国(60.0%)、3位カナダ(55.4%)、7位アメリカ(45.0%)、9位インド(38.4%)、日本は10位(18.4%)となっています。

韓国が1位となっていますが、これには事業会社等の支出に利用されるクレジットカード(コーポレートカード)による決済分で、20%程度上ぶれしているという注釈が付いてました。もちろん、他国もこの数字を含んでいるんですが、韓国はこの比率が高いということのようです。

上位に位置する国は、もともとクレジットカードの普及率が高かったことにより、キャッシュレス決済比率も高くなっている国と、社会インフラが未整備であったがために、スマホが爆発的に普及し、併せてアプリによるモバイルウォレットも一気に普及した国、に分類できます。日本はこうした国々を相手に、18.4%を10年間で40%まで引き上げようとしているということです。

なお、キャッシュレス決済比率は次の計算式で求めているそうです。

キャッシュレス支払い手段による年間支払額÷国の家計最終消費支出

つまり、この比率は金額ベースなんですね。キャッシュレス決済比率の報道はよく見かけますが、金額ベースであることは意外に明示されていません。用語の定義は重要です。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、用語の定義が不明確なまま迷走する会議、みなさんも経験されてません?

(第1回終わり)