円安=株高 ではない

日本経済新聞の特集記事「チャートは語る」で、「為替と日本経済『通貨安=株高』は例外」が連載されました。今では定着してきた感のある、円安=株高という通説に対して、データをもとに異議を唱える内容です。日経もやっとこういうことを書くようになったかと、、、良い記事ですね。

円高=株高 の時代もあった

シリーズ第2話では、岡三証券のアナリストの話を引用する形で、日本も80年代までは円高=株高の時代があったと伝えていました。その後自動車をはじめとする輸出型産業が日本経済をけん引するようになると、円安=株高が定着してきます。

ところが、円高で収支悪化という経験を積むうち、為替の影響を受けないように現地での生産比率を上げていくようになります。そうして現地での生産比率がかなり高くなってきた最近は、円安=株高とは言えなくなってきている。ざっくり俯瞰するとそういうことなんですね。

実態をデータに基づき説明してくれるところは、メディアの素晴らしいところです。しかし、一市場参加者の相場観的に言わせてもらうと、そんなことはもう当たり前って感じなんですね。感覚的に円安=株高の時代はもう終わったな、、、っていうのは既にありました。ただし、市場がまだそう反応するなら、当分はうまく付き合ってやるしかないな。そんな感じです。

日経のこの記事でどれだけ変化が起こせるか

市場参加者の間ではおそらくもっとも読まれている新聞ですから、それなりの影響力はあると思われます。とはいえ、円安=株高ではない、、、が定着するにはそれなりに時間がかかるでしょう。ちょうど同じタイミングで自動車産業の10万人リストラのニュースも出ていました。

花形だった自動車産業が衰退していく。これからの日本経済をけん引する主役が交代していくのにあわせて、円安=株高の常識も色褪せていくのかもしれません。